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Ricoh R1s

Ricoh R1sは、1995年11月に発売されたコンパクトフィルムカメラで、パトローネ部分を除いてボディの厚みが25mmというとてつもなく薄い元祖スナップシューターです。
前年に前機種のR1が発売され世界から絶賛されたカメラでしたが、R1sではさらにマルチコートレンズが搭載されシルバーカラーが追加されました。

左 : R1s、右 : R1

以前フィルムカメラ時代にR1を所有していましたが、デジタル機を使うようになって手放してしまいました。でも、旅先で使うのに邪魔にならない大きさで使い勝手が良かったので、もう一度オークションで同じR1を落札してみました。残念ながらこのR1は不動機で、シャッターボタン辺りから水没しており電気部品が腐食していました。

と言うことで再度オークションでR1sを落札して多少傷があっても動作品でしたので一安心しました。
R1sはカラーが、グレイッシュグリーン、チタニュウムブラウン、プラチナムシルバーの3色あります。写真のカメラはチタニュウムブラウンで落ち着いたクラシック感のあるカラーでお気に入りです。

R1sは、上面液晶パネルの表示不良の個体が多いようでこのカメラも一部表示不良があります。
幸い表示しないのはほんの一部なので、モードやフラッシュのボタンの順番を記憶して頭の中で補完しながら使えています。

底面には三脚ねじ穴があり三脚に立ててセルフタイマーやリモコン(RC-3)で自撮り撮影もできます。
こうして見るとボディの薄さが際立っています。翌年に発売されたGR1は26.5mmなので0.5mmR1sの方がボディが薄いです。

側面左側には、フィルム巻き戻しボタンと裏ぶた開閉ノブがあります。
フィルム巻き戻しボタンは、強制的にフィルムを巻き戻す時のみに使用します。電源をオンにして細いピン状のものでフィルム巻き戻しボタンを押すとフィルムが巻き戻されます。

側面右側には、デート表示パネルとデート用ボタンがあります。この部分が電池ぶたになっています。
この小ささの中に考え抜かれた部品配置に感服します。パトローネの分厚さはグリップにして持ちやすくしたりとか、25mmの厚さの中に完全に沈胴するレンズとか、ほんとこのカメラを作った人天才ですね。

電池の入れ方

R1sで使用する電池はCR2を1個使います。今でも比較的入手しやすい電池です。

右側側面に電池ぶたがありますので底面のBATT.にある矢印部分に爪を入れて開きます。電池の±を確認して+側が底面に来るように入れます。

電池を入れるとフィルムが巻き上がる音が数秒して止まります。電池ぶたを閉じます。

フィルムの入れ方

R1sはとても簡単にフィルムが入れられます。
電池が入っている事を確認してから裏ぶた開閉ノブを底面方向に引き裏ぶたを開きます。フィルム室にフィルムのパトローネを入れフィルムを左下にあるフィルム先端マークまで引き出し裏ぶたを閉めます。

裏ぶたを閉めるとフィルムの巻き上げけが始まります。最後まで巻き上がるのが終わるまでしばらく待ちます。

※写真のカメラは一部液晶表示不良がありますのでご了承ください。

このカメラはフィルムの最後から撮影し巻き戻されるので通常のカメラとは反対方向に撮影していきます。誤って裏ぶたを開いても撮り終えた部分はパトローネに入っているので感光することがないという利点があります。

ファインダー右にあるON/OFFボタンを押し電源を入れるとレンズが出てきて撮影が出来ます。
裏ぶたのフィルム確認窓から何のフィルムを入れたか確認できます。

フィルムを撮り終えると自動で巻き取られ上面の液晶がEマークになります。このマークが表示されたらフィルムを取り出せます。

モルトの確認と交換

どんなフィルムカメラでも経年劣化でモルトがもろくなり光漏れがするようになるとフィルムが感光します。
R1sは、裏ぶたのフィルム確認窓の部分にモルトがありそのモルトがが劣化すると下写真のような光漏れが写ってしまいます。

モルトの劣化による光漏れの例

裏ぶたを開くとフィルム確認窓の部分のモルトが確認できます。下写真のようにモルトが潰れてしまってポロポロ取れるようならば交換しましょう。

モルトは厚さごとにシートで売っていますが、R1sは形が複雑でカットするのが難しいですし、GR1と同じモルトを流用できますので、モルト張り替えキットを購入することをお勧めします。

モルトの交換は、まず古いモルトを取り除きます。綿棒に無水エタノールをしみこませモルトを含む接着剤まで綺麗に取り除きます。
エタノールが揮発したら新しいモルトを貼り付けます。キットのモルトは、両面テープが付いていますので貼り付けるだけです。
このモルトは少し分厚いですが、光をしっかりと遮断するので効果があります。ただし、モルトキットに含まれる裏ぶたの溝用のモルトを付けるとR1sの裏ぶたはプラスチック部品でたわむのでこのモルトは付けないで使用することをお勧めします。

作例

Ricoh R1s + Kodak Gold 200
Ricoh R1s + Kodak Gold 200
Ricoh R1s + Kodak Gold 200
Ricoh R1s + Kodak Gold 200
Ricoh R1s + Kodak Gold 200
Ricoh R1s + Kodak Gold 200
Ricoh R1s + Kodak Gold 200

R1sは、フォーカスも露出もカメラがすべてオートで設定するのでどのような写りになるか現像するまで分かりませんが、そこが面白いカメラで思っていた以上の写真が撮れていた時に感動します。
30mm F3.5のレンズですが思っている以上に広角で左右に行くほど横伸びして周辺減光もあります。このレンズの特性を生かして平面的な構図ではなく、中央に消失点がある線遠近法の構図で撮ると効果的な写真が撮れます。
更にパノラマやWIDEパノラマで撮ることも可能です。WIDEパノラマ時には、24mmの超広角レンズになり広大な風景写真を撮る時に有効になります。

WIDEパノラマ