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デザイン会社入社日に「あなたにデザインのことは期待していないから」と言われた

こんにちは。
いきなりこんな見出しですみません。
これは私の初めての転職で、転職先のデザイン会社の社長に入社したその日の一番最初に言われた言葉です。
まあ業界未経験だったので仕方ないのですが、後に「あなたに期待して良かった」と言っていただきました。
未経験なりにデザイン業界に足を踏み入れたお話をちょっとさせていただければと思います。

2大Web雑誌に衝撃を受けた

私が新卒で入社した2001年、ウェブデザイニングとウェブクリエイターズというWebデザイン専門雑誌が刊行されました。当時半ばイヤイヤ配属された営業部にいた私は、なんとなく悶々とした気持ちになりながら、クライアント訪問の時間調整で立ち寄った書店でこの2冊に出会い、衝撃を受けました。読んだ瞬間「これからはWebの時代が絶対来る、10年後にはなくてはならないものになっている」と勝手に悟り、迷わずその2冊を購入しました。
毎日舐めるように読み漁り、知識を付けていきました。

ボーナスをすべてWebスクールに注ぎ込む

当時いた会社はWebに対する未来感がなく、もうここではやっていけないと考えていました。そこで3年目に入りそこそこボーナスももらえるようになったので、デザイン会社転職を目標にWebスクールに通うことに決めました。
当時3つの大手スクールがあったのですが、その中でも一番厳しいと言われていた「デジハリ」に決めました。毎週通い、出される課題もたんまり、そして卒業制作の出来によっては制作会社から指名されるオーディションにも出場できるという、かなり厳しいものでした。でもどうせやるならオーディションに出てやる!という意気込みで入学しました。

温度差の違いに戸惑いつつ、4人の師匠に出会う

私は当時キャリアコースというクラスに入りました。これはすでに基礎が終わっているクラスに中途で入学し実践を積むコースでした。自動車教習で言うところの仮免取得済み、路上教習から、といったところでしょうか。
そのクラスは学ぶ人の温度差があり、私みたいな雰囲気の人は残念ながらいませんでした。とはいえ、そこで出会った4人の師匠に半ば強引に弟子入りを志願し、プロとして、仕事としてやっていける技術力を備えるために、必死に食らいついていきました。

デジハリの紹介でデザイン会社を受ける

当時デジハリには就職を斡旋してくれるシステムがあり、3社ほど面談をさせていただきました。結果としてはどれも不採用。しかも1社においては向こうの手違いでとっくに募集はしていないと。このままではと思い、とにかくオーディションに選ばれるように研鑽を積みました。

1社から連絡がきて・・・

そんな中、すでに募集をしていない会社から連絡が入り、急遽面談をすることになりました。一応ポートフォリオとか、前職で作った社内サイトとかを持っていったのですが、社長はいっさい見ることもしませんでした。
その代わり、3つの質問を受けました。

・毎日終電近くなるけど大丈夫か?
・パソコンとかプリンターとか、社内LANとかには詳しいか
・サーバーは触れるか

当時調布に住んでいたので、会社のある渋谷までは余裕の通勤エリア。他についても前職で経験済みだったので特に問題なく即答しました。結果として採用。しかも採用通知の次の日にオーディション出場が決まりました。

「あなたにデザインは期待していない」

オーディションも無事に終わり、退職手続きも滞りなく済んで、2004年8月1日にあこがれのデザイン会社に出社しました。私服OK、スニーカーOK、10時出勤、渋谷、当時の自分の憧れをすべて叶えた初日の朝はとても清々しかったことを今でも覚えています。

そして朝礼後に社長のもとへ行き、これからよろしくお願いしますと頭を下げると、社長が一言。

「勘違いしないで、あなたにデザインは期待していないから」

これは本当に衝撃でしたね、今でもよく覚えています。
そして最初にふられた仕事は、既存ページにある写真の差し替え作業。60ページ近くあるWebページに対して差し替える写真は200枚近く。これを2日でやる訳なんですが、いままで我流でやっていた自分としては出しても出しても返され、「これじゃアップできる品質に達していない」と何度もダメ出し。ついに社長は業を煮やし「ちょっと、マスク教えてあげて」と、若手デザイナーに声をかけました。
幸いにもこのデザイナーさんは優しい方で、Photoshopのマスクの使い方を丁寧に教えてくれました。そのお陰で無事に作業は完了し、OKももらいました。しばらくはこの作業を1ヶ月近くしていたましたが、Webデザイナーというのはソフトの使い方はもちろんのこと、効率的な使い方、時間の測り方を考えながらフレームワークもやらないといけない、とても大変な仕事なんだなと感じました。
それからはもうがむしゃらになって技術を身に付け、社長から上がってくるカンプデザインを読んで技術を盗みつつ、さまざまな視点を養ってきました。

はじめてのデザインは既存ページのリニューアルでしたが、たった1ページとは言え、全力で取り組みました。その結果1発OKをもらうことができました。そのときは同僚のデザイナーさんも声を上げて喜んでくれ、社長もなんだか嬉しそうでした。

今振り返れば厳しくも優しい言葉

いまこうしてWebデザイナーとしていろいろなお仕事ができるのも、厳しいスクールに入り、厳しい現場を経験したからなのかもしれません。デザイン会社を辞めるとき、社長は「はじめは期待していなかったけど、あなたには私たちと違うものを持っているね。あなたが来てから会社が明るくなったし、毎日楽しかった、ありがとう」と言ってくれました。
業界未経験でも、営業やシステムエンジニア、社会人経験があったからこそ社長はそこを見抜いてくれたのだと思いますし、できないならできることをすることで、会社の雰囲気も良くなり、自然とデザインの仕事を任せられるようにもなります。

もしこれを読んでいただいている方の中に、将来Webデザイナーになりたい方がいらっしゃるとしたら、やはり制作会社の経験はあった方がいいと思います。さらに独立するのであれば、社会人経験があるとなお良いと思います。

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