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ハイレベルな5区(富士山女子駅伝)

12月30日は富士山女子駅伝。1日空けて1月1日はニューイヤー駅伝で、2, 3日が箱根駅伝。今日から5日中4日が駅伝レースである。走る選手たちは年末年始に大変だが、ファンとしては1年で最も楽しい数日間であろう。今日の富士山女子駅伝では、色々と記録が生まれた。

まず、名城大学の4連覇。さらに4年連続2冠(全日本女子駅伝と富士山女子駅伝)という、女子大学駅伝界は1強の様相である。そもそもエントリー選手7名中6名が5000m15分台で、エース区間以外の選手も他校に行けばエース区間を走れそうである。1区から先頭を譲らずにそのまま逃げ切ってしまった。危なげなシーンもなく、そのレース内容だけなら(名城関係者以外の)見ている側は退屈なレースだったかもしれない。

しかし、注目はエース区間だった。先日、10000mで日本歴代2位の記録を出した不破聖衣来選手(拓殖1年)。すでに日本トップレベルにある彼女が今回5区(10.5km)に出走した。結果は32’23"で、従来の区間記録を2分近く更新した。今回の5区では鈴木優花選手(大東文化4年)と和田有菜選手(名城4年)も従来の区間記録を更新し、ハイレベルな5区となったが、不破選手は次元が違った。

鈴木選手は最初のうちは並走していた。むしろ入りの1kmは鈴木選手のほうが速いくらいだった。しかし、カメラが切り替わるうちに不破選手が引き離していた。解説陣が全員絶賛するほどの見事なフォーム(金さんはマラソンの世界記録も出るといって、実況に「それは気が早いです」と窘められていた)で、前への推進力が違う。まるで留学生ランナーが日本人ランナーを抜いているかのような映像であった。

女子選手は、筋力の関係で腕振りが横になる選手が多い。しかし、不破選手は前後の腕振りになっていて、男子選手のようなフォーム、いや、男子選手よりも綺麗な走り方である。接地からの蹴り上げがスムーズだからだろうか、前から見ると速く走っているように見えない。これは男子でいうと、相澤選手(旭化成)、田澤選手(駒澤3年)、丹所選手(東京国際3年)のような感じである。無理せずあのフォームだから、後半の落ちが少ないのかもしれない。印象的だったのは、8-9kmのラップで和田選手が3’30"台まで落ちたのに対し、不破選手は3'08"だった。その1kmで20秒も詰めているのである。区間記録を更新している選手同士なのに、この差は凄まじい。

5000mのベストは15'20"で、今日の5km通過のほうが速い。おそらくトラックで5000mに出れば14分台まで行ってしまうだろう。そうなってくると、女子のトラックも田中選手、廣中選手、萩谷選手と、14分台の戦いに突入してくる。14’50"切りも、すぐそこなのかもしれない。

今日はニューイヤーのエントリー発表もされた。中村選手はオリンピック以来のレースだがエース区間の4区に、服部選手は慣れている5区にエントリーされた。富士通は連覇なるだろうか。

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