ニューイヤー駅伝2023

今年のニューイヤー駅伝はHondaの2連覇で幕を閉じた。エースの伊藤選手がエントリーされず戦前は厳しいとされていたが、4区の小山選手でトップに立つと、そのまま他のチームを寄せ付けずゴールテープを切った。

戦前の予想では、伊藤選手の離脱もあり、トヨタ自動車、富士通、黒崎播磨あたりが優勝候補に挙げられていたが、勝負とはやってみないとわからないものである。実業団選手のレベルは拮抗しており、オリンピックに出たランナーで無くても駅伝で力を発揮できるのであろう。

もともとは箱根であったり都大路であったり、トップレベルの環境で走った選手のうち、実業団でお金を貰いながら走れるランナーはさらに限られる。仕事として取り組んでいるランナーたちの意地を感じた戦いだなと感じた。

そんな中でも、個人的に嬉しかったのは、羽生選手(トヨタ紡織)と池田選手(Kao)の区間賞だ。羽生選手は世代トップでありながら、東海大学時代は一度も駅伝を走ることがなかった選手。昨年に10000mで日本歴代4位の記録を出すなど復活の兆しはあったが、いきなりのニューイヤーで区間賞を取るとは驚いた。6区は優勝を決める区間であり、結果的に優勝したチームの選手以外が区間賞を取るのは大変珍しい。それだけこの区間で力が抜けていたということだろう。

区間賞インタビューでは、監督・コーチ、さらに会社への感謝の気持ちを口にしていた。TBSは駅伝をスポーツ報道として捉えているが、羽生選手の復活劇に関してはドキュメンタリーの部分を消すことは難しい。自分ではない誰かのために頑張れる強さが垣間見えた瞬間だった。

池田選手は日体大時代に2区を走ったこともある力のある選手。社会人になってからメディアに取り上げられることは少なかったが、箱根駅伝でも区間上位で走るなどロードに強い印象を持っていたから、エース区間での区間賞にも驚きはない。

カネボウといえば高岡監督をはじめ、幾多の名ランナー輩出してきたチームである。カネボウの伝統を引き継ぐ新エースの誕生にKaoチームも沸いたのではないだろうか。池田選手もそんな期待を背負いながら、やはり誰かのために走っていたのかもしれない。

明日の箱根も駒澤有利とされているが、これまたやってみないとわからない。予想通りに行かないスポーツの醍醐味を教えてもらった今年のニューイヤー駅伝であった。

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