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色紙を送る

3月で職場を辞めることになった人がいて、その人のために色紙に寄せ書きしてメッセージを書こう、という話になった。シールタイプになっていて、一人一人がメッセージを書いて、最終的にはそれを貼って完成させるというものだ。

何か書いてくれと言われると、それなりに真剣に考えて書く性分なので、今朝も走りながら何を書こうかなと考えていたし、会社に来てからもそのことを考えていた。結局、頭の中で浮かんだイメージをまずはPCに打ち込んでみて、それを見ながら清書することにした。いきなり本紙に書き始めると、書き損じるかもしれないので、このやり方が自分には一番よい。

一方で、これって貰ったほうはどう思うんだろうかとも考える。たぶん、貰った瞬間はそれなりに嬉しいし、メッセージには一通り目を通すだろう。でも、その後はどうだろうか。どこかに飾る?でも一人暮らしならばそんなにスペースはないだろうし、引越し前に貰っても、引越しの時に段ボールに詰めて、引越し先でその段ボールを開いた時にそのまま本棚か何かに入れておいて、いずれ存在を忘れてしまう……のではないだろうか。それにこの手のものは、貰った手前、捨てるに捨てられない。だから、色紙を貰うと家の収納を一つ増やしてしまうことになる(何だかすごくドライで感情のなく思える。上でも書いた通り、メッセージ自体は真剣に書いている。言い訳がましいが)。そう考えると、真剣に書いてもふざけて書いても変わらない気がするし、たぶんもう会うこともなさそうなので、今後に引きずることもなさそうだ。

では、何のために送るんだろうということになる。結局は、貰う方というよりは送る方にとっての必要性なんじゃないかなと感じる。そうでないと踏ん切りが付かない、とまではいかないにしても、出ていく人に対して何もしなかった罪悪感が残るのが嫌だからやる、そんなふうに思える。

第一、自分で会社を辞めるという選択をしたわけだし、やりたいことがあって次に行く職場を選んだわけだ。こちらの人間関係をどう思っていたかはわからない(こういう書き方をすると何かあったんじゃないかと思われそうだが、実際は極めて普通に過ごしていたと思う)けど、メッセージを貰ったところで、貰った瞬間以上のことを何かを感じるかな、と思ってしまう。どうせ何か貰うならば形に残らないお菓子などのほうがいいと個人的には思っている。

自分たちが送りたいから色紙を送る!という考えでやっているならばまだよい。でも、相手が喜ぶ(と思う)から送っているんだ、というのは、送る側のエゴを押し付けることになる。送別の時の花束も然り。今まで転勤で花束を用意して、結局はその場にいる誰かにあげちゃうシーンを何回も見てきた。たしかに色紙や花束のほうが区切り感があっていいのかもしれない。でも、貰う側のことを考えて贈り物を選ぶという視点があってもよいはずだ。

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