見出し画像

パイオニアの精神

「FOOT×BRAIN」2021/1/23放送回にて、羽根田卓也さんが出演していた。彼はリオ五輪のカヌースラロームでアジア人初の銅メダルを獲得したパイオニアである。番組のサブタイトルは"武士道"とのことで、いったいどんな内容なのだろうと思いながら見ていた。

番組で取り上げていた羽根田選手の"武士道"は、死生観のことであった。明日どうなってもいいように今日を生きる、そういう類のことだ。どうでもいい1日などない、とも言い換えられるだろう。

自分が着目したのは、実は他にあって、一つ目は以下のコメントだ。

―(世界との差を)どうやって縮めていった?
日々の練習あるのみ。インスタント(即座)に強くなろうとしても距離が縮まることは絶対にあり得ない。彼らの日々の生活、日々の振舞い、どんなトレーニング、何をしているかなどを観察して、自分がそれに少しでも近づけるように、という毎日です。

インスタントに強くなることはない。非常に重たい言葉である。人間、何かを始めれば、すぐに到達点に向かいたくなるものである。しかし、それを真っ向から否定している。ローマは一日にして成らず、ではないが、1日1日を無駄にせずに、出来ることは精一杯行うことだけが、唯一の道であるとパイオニアは語っている。

また、どうして海外に行ったか?という質問(羽根田選手は高校卒業と同時に海外に行っている)に対しては「そうせざるを得なかったから」とコメントしている。それしか選択肢が無かった、と。大きな目標(世界トップクラスのカヌー選手)を立てて、それを達成するために彼なりに考えた道筋が海外に行くことだったということだ。日本国内では出来ることが限界だったのだろう。周りから見れば、18歳で海外に行くなんてすごい…という、結果からみた認識になってしまうが、当の本人にとっては考え抜いた末に辿り着いた道だった印象を覚える。

同じような例では、マラソンの大迫傑選手である。早大卒業後に日清食品に入社したが1年で退社し、単身(家族もいたか)アメリカに渡っている。それも当時アジア人は誰一人として所属していないナイキ・オレゴン・プロジェクト。相当な覚悟はあったものと思うが、本人は「日本にいることがリスクだった」と言っている。自分の決めた目標のためにはそれしかない、という感じだったと思われる。

パイオニアは得てして、普通に(何が普通かはさておき)生きている人たちからすると、物凄い決断をしているように映る。逆にいえば、誰もやってないことだからこそそう思えるのだろうし、だからこそパイオニアなのだろうけど。みんながみんな、すごい業績を残せるわけじゃないが、ちょっとしたパイオニアになることならば可能性はありそうだ。彼らの生き方やメンタリティから学ぶもの、感化されるものはきっとあるはずだ。

よろしければサポートをお願い致します。頂いたサポートは新しいことを生み出すための活動に使用させていただきます。