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ネコにマタタビ

ネコにマタタビの謎が解明される。一昨日のニュース記事で面白い研究結果が掲載された。ネコがマタタビに体を擦り付けるのは、マタタビに含まれるネペタラクトールという物質に対して反応しているかららしい。ネペタラクトールは蚊を忌避する効果があり、この反応は寄生虫や伝染病を媒介する蚊から身を守るために重要な行動だったということだ。

調べてみると、岩手大学や京都大学がプレスリリースを出していた。Googleの検索で一番上に引っ掛かるのは京都大学であったが、ここはファーストオーサー(第一著者のこと)である岩手大学から引用しよう。

マタタビ活性物質の研究は60年以上前に行われていて、その時は「マタタビラクトン」と呼ばれる複数の化学成分であると報告されていた。それを今回の研究でさらに深化させて、過去の研究で見逃されていたネペタラクトールという物質に行き着いた。60年前の時点でもマタタビラクトンまでは発見できていたが、これが複合物質であったため本当に起因しているものは何かわからなかったのだろう。

本元の論文を読んでみると、液体クロマトグラフによる分析方法が記されていた。前処理の方法や液体クロマトグラフの進化によって上手く抽出できるようになったのかもしれない。あるいは、他の分野ではわかっていたがこの分野では見逃されていたのかもしれない。

動物の行動を研究してみることで、それが人間に役立つことがある。最初に書いた通り、ネコだけでなく人間にとっても蚊は厄介な生き物だ。それを忌避する成分が明らかになればプレスリリースにも書いてあるように新しい忌避剤を開発するヒントになり得るだろう。

過去の研究を引っ張り出してみて、改めて考えるのも一つのイノベーションなのだなと感じた。また、分析装置がどんどん進化しているので、今までならわからなかったことも解明できるようになるかもしれない。出来なかったことに再トライする、そのきっかけを与えてくれるような研究事例であると思う。

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