見出し画像

愚者のエンドロール

昨日に引き続き、古典部シリーズの話になる。これが2作目だ。この話のあらすじは学園祭のためにあるクラスが撮った映画が完結せずに脚本家が降りることになってしまい、その完結を探るというお話である。

愚者はタロットカードの一種のことで、今作では、えるのことを指している。えるがラストで何か言うのだが、そこをタイトルに持ってきたようだ。もしかすると他に意味があるのかもしれないが、自分は把握できていない。どうでもいいが、愚者と言えばジョジョ3部のイギーだな……と思ってしまう。

文庫本に書いてある本書の紹介に「甘くほろ苦い」とある。自分の能力を認められて、それに真摯に向き合ってある結論にたどり着く。推理力、論理力、色々な能力があったからこそのことだが、実はその結論は……と、これ以上は書かないことにする。

能力を見定められて何かを頼まれることはあると思う。「君ならできる」と言われて、嫌だと思う人は少ないだろう。一方で、頼んだ相手からすれば、自分が使えると思った相手をスムーズに動かすために発した一言かもしれない。

働いていても、自分に対して能力もないのに任されることはしばしばある。頼んだ相手にとっては自分が都合よく動かせる、動いてくれると期待したから頼んでいるとも言える。それに対して、その期待に応えなくてはと素直に思ったほうがよいかもしれないが、期待したのは相手の勝手だしと、ある程度割り切って考えてしまったほうがいいパフォーマンスが出るかもしれない。本書の感想文では無くなってしまったような気もするが、(大人になってから)読んでいるとそんなことを考えるようになってしまう。

様々な古典ミステリーの要素が入った本格的な内容である。ミステリーは好きだが、そこまで精通していないから、この部分はあの話のこれだ!という発見ができていない。ミステリー好きと語るにはまだまだかなと思いつつ、それは無しにしても非常に楽しめる一冊となっている。

この記事が参加している募集

読書感想文

よろしければサポートをお願い致します。頂いたサポートは新しいことを生み出すための活動に使用させていただきます。