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根尾選手の投手転向について

プロ野球の交流戦はヤクルトの優勝で幕を閉じ、次なるは金曜(明日)から再開されるリーグ戦である。それまで今週は試合がなかったが、ここ数日、最も話題になったことといえば、中日・根尾選手の投手転向である。

投手→野手の転向例はままあるし、成功例も思いつくが、野手→投手の転向例は少なく、さらに成功例が少ない。この辺が多くのメディアの論調だし、たぶんそうなのだろう。それに打者(遊撃手)根尾に期待する声は大きく、そのことが今回の決断をどちらかというと(メディア的に)ネガティブに捉えている。

立浪監督は、記事中で根尾選手の投手転向について、以下のようなコメントを残している。

「いきさつはいろいろ見ながら判断した。本人ともいろいろ話をして、投手でやっていこうという決断になった。いろんな見方はあるが、近い我々が見て、本人の意見も尊重しながら決めた結果。投手で大成していけるように、サポートをするが、『そんな甘いものではない』と本人にも伝えている。将来的には先発で投げられる投手になれるように、期待を込めて。本人もチャレンジしたいということなのでしっかりやっていきたい」

2022.6.15 スポーツ報知より(一部修正)

「いろいろ」とか「いろんな」とか、本当に多くの意見交換をしたのではないかと推察される。もちろん世間からの見方が様々あるのは承知の上だし、これだけ断っている話し方をしている以上、ある程度の批判もあるだろうと予想していたのかもしれない。

プロ野球選手(スポーツ選手)という職業の特質上、本人の納得感が本当に大事なのではと思う。チームの目的である「勝利」に向かって、どんな方法を取るか?を考えるのはフロントや監督の仕事だろうが、選手は目の前の試合で結果を残すことが最優先である。では、どんな形であれば結果を残し、チームの勝利に貢献できるのか?それを真剣に考え抜いた結果が「投手・根尾」という決断に至った、そういうことだと思う。

入団時に「打者、遊撃手で勝負します」と語っていたように、本人の決意は相当なものだったはず。3年ほどやってみて、これから先もプロでやっていくために、どちらのほうがいいのだろうか?と今年に入ってかなり葛藤したのではなかろうか。打者で勝負したいが、このままでは厳しい世界を勝ち抜いていけない…。やりたいほうで勝負できない苦悶が推し量られる。

チームの編成バランス等も踏まえたとしても、3年もの間、練習していない投手のほうに舵を切るのは、それはそれで大変な決断だったように思える。立浪監督も『甘いものではない』と言っているから、モノになってくれれば良いが…という不安がないわけでもない。しかし、決断したからにはサポートしながら何とか芽を出してあげたいという思いも感じる。

今シーズン、苦しい戦いを強いられているドラゴンズにとって、根尾という選手が一軍の戦力になってくれれば、これ以上ない補強でもある。それに彼には「人気」という誰でも持てないものを持っている。2018年、甲子園を沸かせた根尾選手が、プロの世界でも再び脚光を浴びられる日を待ち望んで、彼の挑戦を応援したいという気持ちである。

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