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「つなげる」の大切さ

自社の商品やサービスを営業する仕事において、買ってくださるのは「会社」でも、ぼくが向き合うのはあくまで「人」であることを理解できた、という失敗からの学びについて、前回書いてみました。暑い暑い夏の日のあの話です。


では、人とのつながりをどう作っていけばよいのでしょうか。今回は、普段ぼくがやっていること、気をつけていることを書いてみます。

1.まずは情報を集める

まずは知らないと何も始まらないので、情報集めです。全体をつかんでから、各論を理解するようにしています。

①世の中 ②業界 ③個社 ④担当者、という順で情報を集め、読み解きます。

①については、新聞、ネットなどのメディアを通じて、経済、社会、政策について、事実を把握します。特に、政策、法改正には注意します。法改正は、既存の商習慣への変化を必ず及ぼします。政策とそれによって影響を受ける経済の状況を正しく認識しようと心がけています。

世の中が変化して、それに応じて政策が決まると、関連する業界に影響が出ます。ここを見ていくと、ぼくが営業対象とすべき業界がどこなのかが定まってきます。

営業する業界について、深く理解するために、業界紙などにも目を通します。例えば、製薬業界。

政策が業界に与える影響を理解できれば、次は、発生する課題やリスクが見えてきます。影響がある、ということは、なんらかの変化が必要だということです。変化するためには、今までとは違うことをやらなければいけません。事業活動の見直しが必要となるわけです。その際の課題やリスクをぼくなりに考えてみます。

②の業界理解を踏まえ、③個社、個別の企業の情報を集めます。これは、営業のアタックリスト作成も兼ねてますね。一般に公表されている決算、事業戦略や計画、リリースなどから丁寧に拾います。その企業が、業界でどのようなポジションにあるか、を理解します。

ここまで下ごしらえをして、いよいよ、最初の提案をまとめます。

さて、運よくアポがとれました。アポのとり方はまた別の機会に。

④です。担当してくださる方についての情報は、まずは、SNSで調べてみます。そもそもSNSの世界に存在するかしないか、どのような使い方をしているかで、リテラシーがわかります。メディア露出している場合は、そこで語っていることを読み、前職があれば、その情報も調べます。その人のバックグランドをなるべく掴みます。

2.情報をつなげてみる

①②③④の情報を通じて、担当の方の置かれた文脈を理解します。

世の中における業界、業界における企業、企業における部門、部門における担当者が、どんなポジションで、何を求められているのか。担当者は求められている成果を出すために、何をどう考えるか?会社から求められた成果や評価とあわせ、担当の方自身が成果と考える物差は何か?

担当者の思考方法を分析してみます。

こうして、担当の方の期待やモチベーションを理解し、意思決定するときの思考のプロセスやどのようなアウトプット(表現)をするかを、ある程度事前に想定しておきます。仮説を持っておくわけですね。

材料は、誰もが手にできる情報ばかりですが、重要なことは、世の中、業界、個社、相対する部門、人、そこにあるつながりを読み解くことだと思います。世の中にある情報をつないで、そこにある意味を抽出する。

こうして、ぼくなりの仮説を持ったうえで、担当の方に会います。この仮説があるかないかで、ずいぶん事の運びが変わります。

たまに出くわすのですが、そもそも営業先のことをロクに調べていない人がいます。創業年、人数、売上などの基本情報も、必要だと思わないし、関心もない。なぜなら、そんなことを理解しても、別に受注にはつながらないと思っているんですね。自分の商材をあてはめることしか関心がないのです。なので、自分のこと、自社の商材をアピールすることに集中します。トークもうまい。でも、相手を知らない理解しようとしないから、結局うまくいきません。あ、これ、前回書いた新人時代のぼくですw

3.意味をちゃんと考えてみる

ぼくは、昔からよく、人のことを観察してます。表情やちょっとしたしぐさの「意味」を考えて、今思っていること、感じていること、発言するであろうことをつねに推測しています。その推測は当たることもあれば、外れることもあります。そうこうするうちに、精度があがり、相手の反応がある程度予測できるようになります。

そして、自分なりにこしらえた仮説を、人と実際に会って、会話する中で、軌道修正していきます。

変な先入観を持たず、また、自分の持つバイアスを理解して、相手の反応すべてを受け止めます。

ここから、現実にフィットした提案を作る一歩が始まります。

ぼくは、常に、情報(ここでは人の表情なども含みます)の意味を考えるようにしています。ある数字があるとして、数字そのものが多いとか少ないとか増えたとか減ったということよりも、そこから自分が理解したことが合っているか?を考えます。

批判的な視点を持って情報に接する。本質からずれない。その事象から生まれてくる課題が何か。解決すべきことは何か。言葉の定義をきちんと理解する。そんなことを常に意識しています。

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4.会話のありかた

初めて会う方との会話でとても気をつけていることがあります。自分が話すときは、必ず1テンポおきます、深呼吸です。ぼくは、相手の言葉を最後まで聞かず、かぶせちゃう癖があるようで、そのことにあると気付きました。なので、相手のテンポがわかるまでは、ゆっくりを心がけます。あ、平野さん、早口すぎる!と思う方がまだまだ多いかも知れませんがw

ぼくが話すのは、相手の方に話してもらうためであって、ぼくがしゃべり倒してはいけないわけです。自分より、相手。ぼくにこの商談の答えはありませんから、

相手から答えを引き出せるように、環境を作ること。

沈黙に耐えることも必要です。沈黙は、相手が話してくれないから生じているのに、勘違いして、相手に時間を与えず、ずっとしゃべっちゃうのは最悪です。

ぼくが話すときにも、話すことに夢中にならないようにしています。相手をよーーーく観察します。どこにどう反応しているかを捉え、なぜ反応があるのか、関心があるのかを考えます。そうすると次に深堀りすべきテーマを見つけることができます。

営業活動って、すこし「インテリジェンス」という言葉に近いのかもしれません。

今回は人とのつながりを作るためには、情報をつなげて意味を考えることの大切さ、を書きました。次回は「自分を知ること」について書きたいと思います。

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