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発達障害と性教育~実践編~

こんにちは。毎日お疲れさまです。株式会社respiteJAPANの代表の助産師、嵯峨です。

前回は(https://note.com/respitejapan/n/n00e46126c332)概論としておおまかな発達障害の子の性の話をしました。
今日は、具体的な方法をまとめました。
良く聞かれる質問は、「性教育は何歳から始めたらいいのか」です。
こたえは明確で、私はいつも「今からです!そしてあえて言うのであれば赤ちゃんの時から意識して過ごせるといいですね」とお伝えしています。

前提として

なぜ赤ちゃんから性教育なのか?と疑問に思われた方もいるでしょう。
性教育とは命の教育、あなたのことが大事だと伝えることだからです。
私のことを大事にする人は、他人のことも大切にできます。他者とのかかわりをうまくいくようにするためには、私のことを大切にするというベースが必要。だから、いつだって今が始め時なのです。


1.シンプルな言葉かけって例えば?


理解のハードルを下げるために、言われた言葉を具体的にイメージできること。シンプルで具体的な言葉を使いましょう。
例えば「○○(名前)さんの体は○○(名前)さんだけのもの」「触られて嫌だと思ったら『やめて』と言っていい」など、短く具体的な表現が効果的です。

また、「〇な触り方・×な触り方」といった具体的な言い方と、あとは実際にやって見せることで区別を教えるとわかりやすくなります。

2.視覚的な教材で納得を


言葉だけでなく、同時に視覚的に理解しやすいイラストや写真、ジェスチャーなども取り入れます。↑でお伝えしたように、実際にやってみせる、練習やクイズにして考えさせるのも効果的です。

具体的な内容に合わせ、図や絵で示すことで、子どもが視覚的に状況を理解しやすくなります。
例えば、服を着た人と裸の人のイラストを使って、体を見せてもいい場所と見せない場所をクイズにする、を1日数回繰り返して定着させることなどが効果的です。



3.質問はウェルカム

性に関する話題は、大人にはもしかしたら恥ずかしいものかもしれません。
子どもは純粋に「体の不思議を知りたい」と思って聞いています。
興味を持った時が、知識が入る絶好のチャンスです。この時を逃さず、向き合ってほしいです。

子どもが気軽に質問できるよう、「何かわからないことがあったら、いつでも聞いてね」と伝えることで、オープンな雰囲気を作ります。
また、何かを聞いてきたときには「わからない(恥ずかしくて説明できない)」と言うのはやめて、「一緒に調べてみようか」と本を一緒に見るという方法だと、恥ずかしさは減ります。
最後に、表情や態度で安心感を示し、「何を聞いても大丈夫」と拒否されない姿勢を見せると、子どもが安心して質問しやすくなります。


4.場面をイメージしよう


特に精神的に幼い子どもには、他者との関わり方や自分の意思を表現する方法を学ぶことが大切です。
・人に触りたくなったとき
「手に触ってもいいですか」と聞くシュミレーション。
もっとくっつきたくなった場合はとりあえずトイレに行くなどその場から離れるシュミレーション
・嫌だと感じたとき
「やめて」や「嫌だ」と言うシュミレーション
を使うとどうなるかをロールプレイで練習することで、実際に遭遇した時に言葉で意思表示ができるようにします。


ルールをわかりやすく、みんなで一貫する

社会的な場でのマナーやルールを教えるために、
「プライベートな場所(例:お風呂、トイレ、自分の部屋)では服を脱いでいい。それ以外の場所、たとえば学校や公園では体を見せてはいけない」
「人の身体には触らない」「どうしても触りたいときは触ってもいいか聞く」「相手が嫌だと言ったらとにかく止まる、やめる」
「自分の身体を触りたくなったら、自分の部屋やトイレに行く」

このようなルールを、家族・学校や療育の支援者と共有し、ルールを徹底する。
人によって違うことを言うと、混乱してルールが定着しづらくなります。みんなで協力しましょう。


6.毎日の生活に結び付ける

性教育は、一度や二度、短期間では定着しません。1年、10年スパンで続けていく意識が必要です。
子どもの意識と体のフェーズも変わってきます。
日常生活の中でさりげなく、繰り返し行うことが重要です。
例① プライベートゾーン(幼児期、児童期の場合)
イラストを玄関に貼って、外(園・学校・職場)に出かける前に念押し。
「触らない場所はどこでしょう?」クイズで確認。

例② 相手の許可なく触った、スキンシップを間違えている場合
「○○ちゃんは□くんのお腹を触ったんだね。触りたかった?大好きだから触りたくなったんだね。そうか、じゃあちょっと考えてみようか。□くんはおなかを触られてうれしいかな?どんなお顔をしていたかな?笑ってた?困ってた?どっちだろう?(2択で)そうか~、やめてって言わなかったけどニッコリはしていなかったんだね。お約束なんだったかな。触りたくなったらどうするんだったけ?」と、いったように、具体的な場面で確認しながら良い行いを定着させていきましょう。

まとめ

性教育なんて構えないで、「あなたは大事、あなたの周りの人も大事」と伝えること、シンプル具体的、視覚的な関わり、聞きやすい雰囲気、実際の生活の中で少しずつ学んで繰り返し定着していく、みんなでルールを統一すること。この辺りのポイントを押さえたらよいとおもいます。
もし、やはり自分では難しいよ、という方がいらしゃったら、個別でアプローチや作戦を考えましょう。それではまた!