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【男性育休コラム第2回】休んだら、収入ってゼロ?  ~育休にまつわる誤解 その1 ~

こんにちは、リスペクトイーチアザー(Reo)です。
今回で2回目の「男性の育休」に関するコラム、初回は「育児・介護休業法の法改正のポイントと、男性が育休を取ることのメリット」についてお話しました。これからは複数回にわたって「男性育休」にまつわる代表的な「7つの誤解」を取り上げ、解説していきたいと思います。
 
今回は「育休中の収入」について。

「育休を取得したら収入がなくなってしまうのから・・」という誤解から育休取得を断念した男性もいるそうですが、これは大きな誤解です。
というのも、会社員の場合育休取得期間の180日間にわたって月給の67%分が国の雇用保険から育児休業給付金として支払われます。更に、育休中は一定の条件を満たせば雇用保険料などの社会保険料が免除されるので、実際の手取り収入で考えると80~90%程度の収入が保証されるというわけなのです。会社に行かないことで毎日のランチや飲み会代などの出費が減ることも考えられるので「生活に大きな支障はない」という声もよく聞きます。
 では年収600万の人が2か月育休を取った場合をシミュレーションしてみましょう。

年収600万の人が2か月間育休取得した場合?

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可処分所得すなわち手取り額の減少は一年間で約18万円(実質4%)であったということです。いかがでしょうか?18万円は確かに大きな金額ですが、2か月間仕事を休業し、夫婦で共に育児をスタートさせる費用と考えたら、メリットの方が大きく感じる人も多いのではないでしょうか。
ちなみに、育児休業給付金の支給金額は休業期間に応じて変わります。給与の67%が支給されるのは育児休業期間180日まで。181日目以降は50%となります。また、給付金には月額30万円程度の上限も設定されています。このパーセンテージや上限金額は何度も見直しがされており、年々制度が手厚くなっていく傾向にあるようです。
 最近では、独自に男性育休制度の充実を図る企業が出てきました。積水ハウスは2018年に男性社員の1か月間の育休取得を必須化し、さらに満額の給与保証を行っています。リクルートでは、子供が1歳になるまでの期間であれば、分割取得が可能な有給休暇が20日分加算されるという制度を、2016年から一部のグループ会社で導入しました。男性育休は、女性活躍・ダイバーシティ推進に積極的に取り組んでいる企業が制度充実を図ろうと努めている分野と言えますね。なお、非正規雇用の場合は育休が取れないと思われるかもしれませんが、子供が1歳6ヶ月になるまでの間に契約が満了することが明らかでない(令和4年4月1日より。厚生労働省資料より)など、多少の条件付きではあるものの取得が可能です。

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有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(出典)厚生労働省

フリーランスに課題あり?

一方、フリーランスで働く男性の育休については大きな課題があります。
政府は柔軟な働き方の一つとして、フリーランスという労働形態に期待を寄せています。しかしフリーランスで働く労働者(雇用保険非加入の労働者)は、財源が雇用保険である育児休業給付金の対象外であり、それに代わる休業補償も存在しません。仕事を休んで育児をする期間の収入がゼロとなってしまうため、男女問わず、フリーランスで働きながら育児をする方にとっては経済的に厳しい環境というのが現状です。
フリーランス労働者の訴えにより2019年から産休育休期間中は社会保険料が免除となりましたが、現行の給付金に関する制度が変更されるにはまだまだ時間がかかりそうです。
こうした正社員以外の労働者の育休制度は、今後の大きな政策課題の一つであることは間違いありません。しかし、正社員の方に限って言えば、収入保障があるため育休を取得しても収入がゼロになるわけではないのです。なお、育休制度は法律婚の夫婦だけではなく、事実婚の夫婦にも、法律上は同様に保証されます。
 育休中の収入の仕組みについて、お分かりいただけたでしょうか。

 次回は、「男性が育休を取得しても、家庭で役に立たないんじゃない?」という誤解について紐解いていきます。お楽しみに。

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合同会社リスペクトイーチアザー(Reo)では、男性育休推進、DEI推進、女性活躍推進のコンサルティング・研修・セミナーを手がけております。
ヒアリングを通して各社の課題に即したカスタマイズを行い、ソリューションを提供致します。是非お気軽にご相談ください。

弊社代表 天野妙 共著 
「男性の育休 ~家族・企業・経済はこう変わる~」PHP出版も好評発売中


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