いちごの在野研究所を目指して@伊東・伊豆高原 報告⑧ 夏イチゴの農&食のバリューチェン構築の試み 

夏イチゴ試験栽培2023の中で、「農:いちごが出来るまで」と「食のバリューチェン:いちごが出来た後の世界」の2つのフェーズで、伊東・伊豆高原でどのような展開が出来るかについて検討・試行を行った。

掲載済みのコラムをご参照
「Farm to Table : リゾート地で農園・パティシエ・スイーツ店舗・宿泊施設・食卓を繋ぐ「芳醇な食のバリューチェーン作り」
 

上記のコラムで述べた通り、農と食のバリューチェーンには、以下の2つの世界が存在する。

・「食料安定供給のための農と食のバリューチェーン」
大規模農業、広域で大規模な流通・販売を伴う農と食のバリューチェーン

・「芳醇な価値を創出する農と食のバリューチェーン」
食することの価値、自然価値、健康価値を創出する、地域内での限定的流通・自給的規模の農と食のバリューチェーン

夏イチゴ試験栽培2023で構築を試みたのは、後者の「 Farm to Table」を繋ぐ、農園、スイーツ作り手、スイーツ店舗、宿泊施設、食卓を繋ぐ、地域内の小さなバリューチェーンづくりである。

〈農と食のシナリオ〉

シナリオ① 5-6月の高品質な夏イチゴ特性を活かした「Farm to Table」のコラボ機会の創出

伊東・伊豆高原で夏イチゴを栽培した場合、早期収穫期間である5-6月の収穫イチゴは、糖度、酸味バランス、粒大きさ、色つや光沢等のいちごの品質が最良であった。 

5-6月期の国内の冬春いちご流通(紅ほっぺ、章姫等)流通
・消費者向け生食流通は、11月中旬~5月中旬の間、
・ケーキ工場・店舗等の業務顧客への加工用流通については、6月初めまで

6月下旬以降のいちご流通
国内夏イチゴ、または、米国加州からの輸入イチゴに切り替え

伊東・伊豆高原で栽培された夏いちごの地域限定スイーツとしての潜在的ブランディング価値は有望
5月下旬以降の夏イチゴの品質:糖度、酸味バランス、色つや光沢、その他の外観は、冬春イチゴの同時期の品質と比べてはるかに優れている。
伊東・伊豆高原地の域内で、Farm to Table:  農園・パティシエ・スイーツ店舗・宿泊施設・食卓を繋ぐコラボ機会を創出して、地域内でリゾート地移住者のWell-Beingな暮らし、訪問者向け新しい初夏のスイーツ商品開発の機会が創出される可能性が示唆されている。

食のシナリオ② 7月以降の小粒化した相当量の夏イチゴ果実を活かしたスイーツ開発


参照記事
夏イチゴ試験栽培2023  報告⑦  家庭菜園/屋外プランター栽培データを読み解く          クリックはこちら

夏イチゴ試験栽培2023 報告⑥ 施設園芸の試験データを読み解いてみる。
      クリックはこちら

夏イチゴの小粒果実は地域内での流通・活用に適している。

上記の参照記事で述べた通り、7月以降、試験栽培では収穫果実はS等級(6-8g以上)SS等級(3-5g以下)が相当量収穫することが確認された。
当該等級のいちごは、パッケージングを含めた流通効率・コストの関係もあり、広域物流/流通より、地域内限定で「Farm to Table: 農と食のコラボ機会」を作ったイチゴスイーツの制作・消費がなされることが望ましい。

本年度の夏イチゴ試験栽培で、「Farm to Table: 農と食のコラボ機会」創出の試行には以下が含まれる。

レシピ・試作開発: 夏イチゴ試験栽培参加者による小粒イチゴの活用事例

夏イチゴ試験栽培参加者の夏イチゴを活かしたレシピ・試作事例の
コラムの紹介。

蒼いねこ シフォンケーキ屋さんでのいちごのシフォンケーキサンドの
試作販売 小粒の夏イチゴを活かした商品開発事例

伊豆高原の小さなシフォンケーキ屋さん「蒼いねこ」。 夏イチゴの収穫が始まってから、いちごのシフォンサンドケーキの試作販売をお願いしました。

5-6月は比較的粒の大きないちご果実をスライスして、シフォンケーキにのせていましたが、7月中旬以降に小粒の夏イチゴが収穫の主体となってからは、小粒の果実をふんだんにトッピングしたシフォンサンドにレシピを変更。 お客さんの評判も良かったようで、作ったものはいつも完売。「蒼いねこ」の初夏からの定番商品になった様子。

ITOまなびラボの「猛暑を乗り切る夏いちごの管理」ワークショップで子供たちのための試作  小粒の夏イチゴを活かしたレシピ事例

ケーキ屋・フルーツパーラー等の業務顧客向けにもあまり流通していないSS等級(5-6g)の小粒果実をふんだんにのせたカップケーキ事例。


ITOまなびラボの「猛暑を乗り切る夏いちごの管理」ワークショップ
で試作品のいちごカップケーキの試食風景



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