サステナブル・フードバリューチェーン 2025-2035概論  第4章 業界構造

フードサプライチェーンの業界構造の概説

フードバリューチェン構造

川上領域: 農産物が出荷されるまで産業
巨大多国籍企業とアグリベンチャーによる農業技術支配の動きが進む。

穀物等の農園経営体、畜産業の経営体は、世界的に家族経営の小規模農家が経営体数としては大半を占めている。米国等の農業大国においても、経営体数ではいまだ家族経営が多いが、法人化による集約化も進行している。 農園/畜産業の経営体に技術・機器・資材を提供している事業体を「農業INPUT企業」と呼ぶ。 川上領域は、多国籍巨大企業が存在する「農業INPUT企業」と、中小・零細規模の農園/畜産業の経営体(法人化された経営体含む)から構成されている。 サステナブルフードテックのR&D/川上領域は、政府機関と民間の双方が主導している。 尚、民間R&D/技術イノベーションは、多国籍企業による巨額R&D投資と、ベンチャー企業によるGlobal Niche市場向けR&D投資により支えられている。例:遺伝子組換え/ゲノム編集の穀物種子開発、フィールド監視/生産性向上に向けた生産現場のIoT開発、等。

川中領域:食品原料の調達から、最終食品が出荷されるまで産業
「穀物メジャー」「巨大食品メーカー」等の多国籍企業が存在

穀物の生産者からの調達、貯蔵、輸出入等の商社/物流機能のサプライチェーン・セグメントには巨大多国籍企業が存在する。米国等で「穀物メジャー」と呼ばれる企業体で、穀物の搾油から食品原料成分の製造等の幅広い業態・バリューチェーンを展開している企業も存在する。 畜産業界においても、同様に調達、加工、貯蔵、販売・物流、精肉食品製造、等の商社/加工/物流機能を担う巨大多国籍企業が存在する。

川中領域には、穀物由来油製品、食品原料成分製品、加工食品、最終食品等の各メーカーが存在するが、グローバル市場では、Nestle, PepsiCo, Kellogg’s, Unilever 等の欧米資本の多国籍食品メーカーが存在する。

川下領域: 最終食品の小売り調達から食卓に届くまで産業
巨大ファーストフード企業が、食品原料/加工のビジネスモデルを先導
消費者ダイレクトのフードデリバリーが業界再編の起爆剤となるか?

スーパー、コンビニ等の食品小売産業(リテール市場)と、外食産業が、川中領域の事業者の顧客となる。
このセグメントにもWalmart等のスーパーチェーン企業が存在する。畜産/食肉のサプライチェーンにはマクドナルド等のファーストフードチェーン企業が、巨大な食品調達企業となっている。

最近の傾向としては、消費者ダイレクトのフードデリバリーが注目すべき動向である。Amazon社のリアルとオンライン店舗の融合、Food & Groceryセグメントのeコマース戦略、Uber Eatsに代表されるフードデリバリー企業の台頭が目立った動きとなっている。

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