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黄金の一滴

コラムニスト
Dancingdoll

伊豆急がこの地でオリーブ栽培を始めて10年、初の収穫祭が開催され一般参加者が体験したと今朝の伊豆新聞の一面トップに。
我が家もこちらに住まいを構えた時に庭師に頼んで2本のオリーブの樹を植えてもらった。毎年春に小さな可愛らしい花をたくさん咲かせ、秋には鈴なりに実をつけた。晩秋の柔らかに日差しを受けてオリーブの実を摘むのが我が家の実のなる樹の収穫の始まりだった。

ある年、急に元気がなくなり、注意深く見てみると、根元に木屑のようなものが。穴あけ象虫の仕業だった。木の皮を剥がすとそこにも。慌てて薬を撒いたが時すでに遅し!日に日に樹勢が弱り、ついに2本とも枯れてしまった。
オリーブのニュースを目にするとひたすら揉んで痛くなった手の感覚を懐かしく思い出す。

ギリシャの詩人ホメロスが「液体の黄金」と謡ったオリーブの実から搾られる極上のひとしずく。 

3年目にして初収穫の我が家のオリーブ。 1キロ超の実を潰してひたすらモミモミ。実と果汁と上澄みにオイル。コーヒーフィルターを通してゆっくり、ゆっくり。朝霧のように丸く、細長く落ちて小瓶の中で黄金色が重なって、50cc。 口の中に青リンゴのようなかほりが広がり思わず深呼吸。

丸一日がかりの作業にこのエキストラバージンのひとしずくのご褒美。



バージンオイルの最後の一滴


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