見出し画像

移住と地域ソーシャルビジネス研究会開催(2022年3月)と、その後のトレンド変化 

2022年3月に移住と地域ソーシャルビジネスの研究会を開催

本コラムの趣旨は、1年半前の2022年3月に開催された移住と地域ソーシャルビジネスをテーマとする研究会で課題提起した事と、それ以降の動向推移をまとめたものです。

2022年3月は、コロナ渦が始まって2年経過、リモートワーク/移住がマスコミで話題となり、若年層・中高年層の全世代の首都圏勤務の方の「住まい」「仕事」に関する行動変容が注目されていた時です。

地域ソーシャルビジネスのベンチマーク地域として伊東市を事例討議

地域ソーシャルビジネスを参加者間でより臨場感のかる形態で議論頂くために、伊東市の移住促進官民共同プロジェクトチーム座長、山本文夫氏に
課題提起トークをして頂きました。同プロジェクトチームのHPは
https://www.ito-smo.org/

首都圏参加者の関心事は、農・食、地方移住、都市/地方交流が3大テーマ

参加者の7割が首都圏勤務者の方でしたが、研究会参加登録時に関心事のアンケートを取ったところ、「地域ソーシャルビジネス」の3大関心テーマは、第1位 農と食 第2位 地方移住 第3位 都市/地方交流でした。これは、首都圏勤務者が地方に期待すること・ものを示唆していると言えます。

参加者の属性は、会社員、個人事業主、公務員、教育関係。世代は40-50歳代が半数強。

かつては、「50歳からのセカンドライフ」のいろいろな書籍が書店に並んでいましたが、コロナ渦により、移住・地域ソーシャルビジネスに関心のある層が、何年か若返っていたことが示唆されていました。

課題提起① 地域ソーシャルビジネスで何故、大都市セカンドライフ層に注目するのか?


「伊豆・伊東地域のマクロな政治経済の状況変化への対応は?

日本の名目GDPの53%が個人消費に支えられています。製造業・建設業等の第2次産業が盛んでない伊豆・伊東地域は、「個人消費をビジネスモデルの中核に据えたソーシャルビジネスを創出する必要がある。」 研究会では、地域ソーシャルビジネスで、如何にして大都市セカンドライフ層の消費支出を取り込むかについて討議を行いました。

その後のマクロ経済トレンドの推移は?

2022年3月以降、マクロトレンド変化で顕著な事には、コロナ渦後の国内観光の回復、インバウンド消費の回帰、観光客の顧客単価引き上げ気運があげられます。 それ以外に国内観光に求められること・ものにどのような変化が出て来るかは注視すべきことです。 伊豆・伊東地域が、今後、どのように上昇トレンドを取り込むかが重要な課題と言えます。

課題提起② 大都市住民の消費トレンドは?

官公庁主導の施策により大都市住民の消費行動変容は顕在化したか?

下図が、2021年3月当時に、官公庁が日本の成長戦略のテーマとして喧伝されていた事項でした。社会的課題起点から、地方で新しいビジネス機会を如何に創出するかを研究会で議論しました。

上図の通り、セカンドライフ世代向けと全世代共通の成長テーマに分かれますが、いずれも大都市住民と地方の間の何らかの経済の流れ(人、金、物、情報)を前提としたテーマが多く見られます。 

引き続き社会的課題起点を如何に「マネタイズするか?」は、継続的問題

2022年3月より、社会課題の重要性については、地域内で充分に議論が進んでいますが、
如何にマネタイズするかについては継続的

課題提起③ 地域ソーシャルビジネスと農園・農業の親和性について


下図は、宮城大学名誉教授の大泉先生の「食料供給のための農業」 vs 「個人や農村を豊かにする農業」の通り、農業を2つに分類した産業議論があります。本研究会では、異業種コラボ、自然サービス、ライフスタイルビジネス等の「個人や農村を豊かにする農業」の可能性について課題提起を行いました。

「畑のある暮らし」は、現在でも伊東市にとって重要な移住促進スローガン
「畑のある暮らし、自然の恵み」に代表される移住動機・ニーズについては、2021年3月当時からすでに指摘されていましたが、いとう住もうPT(伊東市 移住促進官民共同プロジェクトチーム)が参加した移住セミナーでも「畑のある暮らし」は、引き続き関心の高いテーマであることが示唆されています。

いとう住もうPT(移住促進官民共同プロジェクトチーム)山本文夫座長の課題提起に対する参加者のアンケートフィードバック

山本文夫座長よりは、伊東市の様々な社会的課題についてご説明があましたが、それに対する参加者のアンケートフィードバックをご紹介します。

地域コラボのステークホルダーの重要性について
地域コラボとして組む相手は地元に根差した信金や信組が良く、自治体は最後というのは響きました。私自身もコラボ相手をどうするかという課題を抱えている中で商工会議所に相談に行ったりしていますが、地元金融機関との連携を模索したいと思います。

交通インフラ、空き家対策の伊東市課題について
(以下、アンケートフィードバック)

交通問題、空き家対策など、全国に共通する地域課題についていろいろな気付きをいただきました。地域おこし協力隊については、制度に関与した経験からすると、いい人にきていただくためには、それなりのつてがいると思います。また、一人いい人を捕まえると、そこからさらに輪が広がっていくことも多いです。

養蜂家の話からの示唆について
(以下、アンケートフィードバック)

養蜂家の話がかなり重要な点を衝いていると感じました。地域ではこれまでのルール、しきたり、しがらみで身動きがとりづらくなっていることが多々あり、それを外部から人たち「よそ者」が壊しながら地域の「若者」を巻き込んでいくことが、地域をよりよく変えていくやり方だと感じます。

地域おこし協力隊の活用について
(以下、アンケートフィードバック)
住民方の熱意が強いほど、地域は活性化すると感じております。地域おこし協力隊の活用は使い方によっては、地域の財産になりうると考えますので、是非いい人材に来てもらえますことをお祈り申し上げます。

伊豆高原での農からの高級食材のお話について
(以下、アンケートフィードバック)
伊豆高原の高級食材のお話にもありましたように、今回のテーマの一つでもあります、農・食のコンテンツと伊豆高原の親和性は高いと改めて感じました。

伊東市の地域ソーシャルビジネスの可能性について
(以下、アンケートフィードバック)
伊東の可能性を再認識しました。ビジョンを実行に移すためには、なぜそれを行うのかというパーパスの問いを共有しなくてはならないことに気づきます。移住促進を、ただ数字から見ていれば、より良いまちづくりの活性が実現するかどうかができるかどうかは未明です。ただやりたいことをやるだけではなく、なぜそれをやるのか、やることによって何がどのように派生していくのかというプラスもマイナスも両義を見つめて、地域活性化活動のグランドデザインが求められることに学びました。


移住とWell-Beingな暮らしのコラム集マガジン クリックはこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?