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すこやかな身体とはたけ~自然農と東洋医学のおはなし 【連載4日目 番外編 Heal~赤鼻のトナカイと自然農】

コラムニスト
野見山文宏 (のみやま ふみひろ) 


こんにちは、伊豆で自然農を営んでいる野見山です。

今日はクリスマスも近いことですし、番外編「Heal~赤鼻とトナカイと自然農」のはなしをお送りします!はてさて赤鼻のトナカイと自然農がどうつながるのでしょう?

オクラとHeal

こちらは盛りを過ぎ、枯れようとしているオクラです。茎は乾燥して硬くなり、普通の畑なら、これは厄介者として、ゴミとして排除されてしまいます。


僕が自然農に取り組むなかで、すごく大切にしているのは「厄介者」と呼ばれる草や虫たちを
⇒ 少し加工したり見方を変え
⇒ 再び全体の循環の輪に戻すこと
⇒ リサイクル = Heal です。

今年は、このオクラの根元にグリンピースを蒔いてみました。もうすぐ枯れようとするオクラの根元で、いまグリンピースの新芽が芽吹いています。
次の春、グリンピースが伸びようとする頃には、その支えとなり、さらに朽ちて肥料となるように。オクラが最後までその役目を全うするためのお手伝い。Healとはそういうことだと思っています。


Healとは?

厄介で困ったこと、病、災い・・・それを排除するのではなく、形や見方を変え、もういちど全体の輪の中=Wholeに招き入れること。それがHealです。

でもそれは簡単なことではないわけです。排除したもの、みたくないもの、災い、病気・・・その立場と全体側の立場、両者の境界に立ち、両者を通訳し、再びつなげる役目、それがHealerであり、ファシリテーターであり、自然農の畑に立つものの仕事です。


Healとは再びつながること

再びつながること。いったいどういうことでしょう?
自然農の世界から、僕たちの心のありようについてお話しを進めます。

例えば・・・誰だって、「あいつの顔なんか一生みたくない」「なんで私、こんな性格なんだろう」って、思うことってありますよね。

もちろん僕もそう。だってにんげんだもの!(by のみを)

そして、僕を含め多くの人は、そんな苦々しい部分を見ないように、避けるように、切り離して過ごすのが普通です。「分離」

みんな多かれ少なかれそういう部分ってあると思うんです。直視し過ぎるとどうにもしんどいから。

でも、そんな心底嫌ってた人と何かのきっかけで、もう一度心通わせることが出来たり、自分の中の恥ずかしく、人に見せたくないような所が実は大切な宝であることを知ったり、苦々しく受け入れがたい出来事が実は大切な転機であることに気づいたり

そういう瞬間ってなんだか胸が熱くなり、何ともいえない喜びと安堵に満たされ、心の底から嬉しい気持ちになりませんか?

分離したものが 再びつながること。(Re Union)それこそが癒し=Healです。 

ではそんな癒しが起こるためにはいったい何が必要なのか?


赤鼻のトナカイはHealの物語

もう既に、みなさんお気づきだと思います。「赤鼻のトナカイ」ってHealの、変容の物語なんです。

その存在のおかげでみんなに笑われ「厄介で恥ずかしいもの」でしかなかった真っ赤な鼻の存在が (=分離)

サンタさんの言葉のおかげで、暗い夜道を照らす「誇らしいもの」だと気づき(=変容)

再び自分の一部となることで十全たるパワーが甦り (=再統合)
喜びがあふれるというおはなしです。

それが一年でもっとも闇の深いクリスマスのおはなしというのも偶然ではないと思います。

東洋医学では、この季節は死と再生の象徴であるエレメンツの季節になります。変容には、そんな闇の深さや静けさが必要なのです。


闇とサレンダー

「もうこれ以上先へは進めない」という、絶望の淵に立たされ、明け渡し、サレンダーした時はじめて、自分の中の何かが死に、何かが再生されるのでしょう。

クリスマスの静かで厳かな夜。

今年あった辛い出来事・病・・・。そんな「災い」という名の真っ赤な鼻が、ほんとはどんな役割をしてくれていたのかな?振り返ってみると面白いかもですね。

では今年もありがとうございました。どうぞよい年末年始をお過ごしください!

(続く)

編集部より

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