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【投書】身勝手な攻撃が「政治」か(2021年11月4日 山形新聞)

【全文】
 選挙期間前のこと。ある政党が、モンテディオ山形の試合会場近くの公道で街頭活動をしていたことを知った。普段政治に縁遠い人にアプローチする取り組みとして、評価すべきことだと思う。
 しかし、私がそれを知ったのは、その行動を「チームを政治利用している」と曲解して攻撃するツイッターの投稿によってであった。その投稿は一定数拡散されており、私の知人もその投稿に影響され、その政党がルール違反をしているかのように思ったようであった。

 このことから思うに、世の中の少なくない人々にとっては、政治というのは「単に攻撃したい者を攻撃するための遊戯」と化しているのではないか。だとすれば、たいへん嘆かわしいことだ。

 もちろん、政治家としてあるまじき犯罪や法令違反、偏った思想、不公正な政策は断じて批判されるべきだが、そうではない勝手な思い込みや決めつけ、曲解による攻撃が横行している。
 現に最近、野党政治家の発言を故意に歪めるなどして攻撃するツイッターアカウントの存在が問題となった。この種の偏った攻撃者の発信は、ウィルスのように前述の知人のような普通の人々に「感染」し、政治に対する歪んだ認識を拡散するだろう。

 残念ながら、今のところこのウィルスへの特効薬もワクチンも無いように思われる。ただ、近年、報道機関が世間の誤った言説を打ち消す情報発信に取り組んでいることは希望だ。例のツイッターアカウントの問題でも、報道に接して目が覚めた人もいるのではないか。あとは、一人一人が「感染」しないよう、怪しい言説を見分ける「免疫力」を高めるしかない。

〔2021年11月4日〕


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