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投資目線で考える婚姻制度


不動産投資と似ている婚姻制度

 社畜時代、真っ当な大人から「結婚しないの?」的な質問を投げかけられても、「野郎側にメリットがありませんから」とテンプレ回答してその手の話を強引に終わらせてきた。

 そこで相手が引き下がらなければ、逆質問で「何のために結婚するのか?」と問いかけ、「安らぎ」とか「ロマン」的な趣旨のお気持ち表明をされては私がウンザリするのがハッピーセットだ。

 唯一ぐうの音も出なかった回答は「種の存続」で、あまりに藪からスティックな回答で「おっ…おう…」と咄嗟の反論が出て来なかった。

 兎にも角にも、不条理の塊である婚姻制度という名の、社会システムの枠組みに嵌まりたくないのが私の感想だが、婚姻制度を投資家目線で考えると、私のような無敵の人予備軍もとい低所得資産持ちには、案外デメリットが殆どないことに気付かされた。

 婚姻制度は不動産投資の性質と似ていて、物件(相方)を終の住処として最期まで保有できれば、いくら市場での評価損を抱えていても関係がなく、全てが上手くいく。

 しかし、契約(結婚)するまでは優良物件だと思っていたが、いざ蓋を開けて生活してみたら、不良物件や事故物件、隣人ガチャハズレで、ここ(一緒)には住めないと確信して、物件(相方)を手放したくなった場合に、市場での評価損は実損失に豹変する。

慰謝料、財産分与、婚姻費用、養育費

 この損失こそが慰謝料、財産分与、婚姻費用、子どもがいれば養育費にあたる。慰謝料は裁判沙汰になったらの話だが、相場としては100万円前後であり、後者の三銃士と比べれば大した額ではない。

 財産分与は、婚姻後に築き上げた財産はふたりのものという認識から、折半するのが妥当。婚姻費用もまた、離婚が成立するまでの間は、各々が世帯年収を折半した生活を営むのが妥当。

 つまり、財産分与は連結貸借対照表を折半するもの。婚姻費用は連結損益計算書の収益(世帯年収)を折半するものと捉えられる。特に後者はフローの多い側が、少ない側を養う義務が生じるわけで、離婚に至るまでの事情は考慮されない。

 これは稼ぎの良い側が経済的に損をして、稼ぎの悪い側がどれほどのクズであっても、法に則ってゴネるだけで経済的に得をする制度であることを意味している。

 稼げる側からすれば婚姻届など、仮に騙されても情弱なあなたが悪いで済まされる、不動産売買契約書に捺印するよりも恐ろしい書類と言える。

 また離婚が成立しても子どもがいた場合、父親側が親権を獲得しているのは1割程度が現状で、養育費の相場は月15万円とも言われている。それ故に親権を失い、子どもにも会えず、毎月15万円を支払い続ける現実に直面した離婚男性の自殺率は高く、離婚率との相関係数は0.91にもなる。

 現に社畜時代、配属先の異なる上役が応援に来た際、同期や諸先輩型と違って残業で稼ぐ気がない私を見て、「まだ若いのに(=安月給なのに)達観している」と言われた。

 法的拘束力がない残業指示を受けてくれない皮肉にも取れたため、意地の悪い私は「稼ぎが増えた分だけ、税金や社会保険料が増えると結局、働き損ですから」と正論パンチで返したのに対して、「働き損かぁ…養育費支払っている僕と同じだね」とブラックすぎて笑えないブラックジョークで返されて卒倒したのを覚えている。

 後にOBの先輩と知るが、私からすればクソ野郎という言葉がお似合いな実父と入れ替わって欲しい位、ただただ良い人で(私の出自から親切にして頂けた可能性もゼロではないが…)、なんでこんな良い人が会えない子どもの養育費として、稼ぎの半分近くを支払っているのか、気の毒で仕方がなかった。

お金持ちとドロップアウト組は紙一重

 上記を鑑みると、もはや男性が結婚する理由など、子どもを希望する以外に見当たらないのが正直なところだろう。

 火に油を注ぐと、2023年7月13日から二毛作でお馴染み「不同意性交等罪」が適用されたことにより、結婚後に女性が後出しジャンケンで「同意していなかった」と訴えれば、慰謝料、財産分与、婚姻費用、親権、養育費の5点セットが手に入る意味で、定職に就く一般的な男性からすれば結婚がリスクでしかなくなった。

 そもそも男女平等を謳う時代に、不同意性交等罪で仮に男性が「同意していない」と訴えても、うるせぇバーカで片付けられ、仮に事実無根でも女性の言い分がそのまま通る女尊男卑な法体系が是正されない限り、男性側が取れる防衛策は事実婚以外にない。

 戸籍上、シングルの方が公的な支援が手厚いことから、端から親権を持たないことで養育費も回避できる。婚姻していなければ、財産分与、婚姻費用も発生しない。慰謝料の名目が離婚から二毛作に変わるだけだ。

 つまり、ワンショット100万円前後の慰謝料さえ覚悟すれば、自分のDNAが後世に存続できるわけで、婚姻制度という名の、社会システムの枠組みに嵌まる合理性がない。故に事実婚が男性側の防衛策となり得る。

 とはいえ、これはあくまでも婚活市場のボリュームゾーンに位置する一般男性に限った話で、そもそも婚姻前から膨大なストックはあるものの、それを意図的に売買しない限り婚姻期間中にフローが発生しないお金持ちと、そもそも失うものがない弱者男性は無問題だろう。

 連結B/Sである財産分与、連結P/Lである婚姻費用の源泉として、婚姻前のストックが貢献しないのはもとより、養育費に関しても、支払義務が生じたところで、婚姻後にフローさえ生じなければ、支払能力がないとみなされる構造上、養育費算定表上では0〜1万円となる。

 お金持ちと結婚したいと漠然と考える人は少なくないだろうが、皮肉にも定職に就く必要がないレベルのお金持ちは、婚活市場で見向きもされないドロップアウト組と紙一重な存在であり、私のような低所得資産持ちには、案外結婚するデメリットが殆ど存在しないことに気付かされた所以でもある。

 つまり、お金目当ての人間に近寄られても感情的には嬉しくないが、20代ではレアキャラな8桁円の資産で成金アピールをすることで、お金を餌にして子種をばら撒くのは、リスクが100万円前後の慰謝料だけで済む意味で、不本意ながら経済的には理に適っている。

 相手に財布を渡さない限りにおいて…という前提条件付きではあるものの、サイコパスになりきれるなら、失うものがないからこそ、社会システムの枠組みに嵌まるのも悪くないと思った次第である。


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