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#シンアイフォンスゴクタカイアイツ


ぜんぶ為替のせいだ。

 タイトルを新幹線の車内販売で売られている、買ってからそこそこ待たないと、スプーンを力技で入れる羽目になる、あの硬いアイスに付けられているハッシュタグ風にしてみた。深い意味はない。

 みんな大好きiPhone 15シリーズが発表され、ベーシックなモデルが799ドルからと、米ドルなら13の頃から価格が据え置かれているにも関わらず、日本円だと10万円しなかった13と違い、15は124,800円と2年でおよそ25%値上がりしている。

 ご存知の通り、為替(円安)の影響である。2021年に発売された13の時のAppleレート(税抜価格/799)がおよそ112円だったのに対して、今年の15は142円。同じ1ドルを買うのに30円多くの円が必要となれば、ざっくり800掛けで24,000円の値上げとなる計算で、おおよそ正しい。

 円安の背景は某国の軍事侵攻による影響から、原油や小麦の価格が上昇しており、資源や食糧を輸入に頼るほかない日本は、海外の物を買うために円を売り、ドルを買う必要があるため、需給バランスから円の価値が下がっているとメディアで伝えられている。

 また、コロナ禍の行動制限により、世界規模で実体経済が冷え込んだことから、世界各国が不況に陥らないために金融緩和を行い、カネ余りが生じたことでインフレが進行し、主要先進国はインフレにブレーキを掛けるために利上げを行なっていたが、日本は低金利のままであった。

 これにより日米の金利差が大きくなり、日本国債を持っていても、1年で1%の利息しか貰えないが、米国債なら5%近い利息が貰えるため、投資マネーが利率の高い米ドルに流れ、円売りドル買いに拍車を掛けることとなった。

 それらの影響で、輸入品を買うのに支払う日本円が相対的に増え、iPhoneの値上がりにも繋がっている。

国力の低下が、円安として浮き彫りに。

 戦争の影響だけであれば、国際情勢が落ち着いた頃に、以前のような為替レートが期待できるかも知れないが、諸外国との金利差によって円安を招いているのであれば、根本的な日本経済の貧弱さが浮かび上がっているように思える。

 9/12の日銀総裁の発言で、一定程度は円高に振れたものの、今のところ大きな影響は見受けられず、トレンド的にはまだ円安傾向が続くと踏んでいるが、あくまでも個人的見解である。

 というのも、今の日本はインフレしているとはいえ、輸入に頼る原材料費の高騰を価格転嫁している、コストプッシュ型のインフレであって、需給バランスによってモノの値段が釣り上がるディマンドプル型ではないため、米国と同じ金利水準である、5%に耐えられるだけの経済力はない。

 経済メディアでお馴染みYCC(イールド・カーブ・コントロール)がまさにそれで、10年もの国債の金利が5%まで引き上げられると、国債を買っている銀行や個人は満期まで持てば額面が返ってくる債券で、毎年5%もの利息が貰えてラッキーだが、裏を返せばお金を借りたい人は、借金に対して5%超の利子を支払わなければならない。

 これは住宅ローンの金利が5%超になることを意味する。人生の3大支出のひとつとされる住宅費が高くなると、不動産業や家具を売る小売業の懐が寒くなり、ただでさえ低空飛行の日本経済が墜落しかねないため、米国と同じ対応ができず、インフレでも低金利の状態が続いている。

 根本的な日本経済の貧弱さ、国力の低下が、円の価値が相対的に下がる、円安として浮き彫りになっているのが現状だと考えている。

お金の流れを意識し、国内で循環させる。

 だからこそ、シンアイフォンスゴクタカイアイツで終わらせてはならない。どうしたら日本が作ったモノを国民が買い、かつ海外からも買われる未来になるかを、国民一人ひとりが考えなければ、毎年輸入品がジリジリと値上がりして、iPhoneを買うためには3ヶ月間働かなければならないような、新興国の仲間入りを果たしかねない。

 かつてドコモがi-modeで覇権を取っていた時代には、端末メーカーに価格を安くしたり、毎年新機種を出すよう圧力を掛けたことで、いわゆる日本独自の進化を遂げ、ガラパゴス携帯と呼ばれるに至った。

 しかしiPhoneという黒船が登場したことで、ガラパゴス化した日本の電機メーカーは、スマートフォンという開発環境に順応できずに衰退、淘汰されたのは、現在のandroidのラインナップが、微かにソニーと台湾企業傘下となったシャープだけが残る状況を見れば明らかだろう。

 スマホに限った話ではないが、できるだけ国産を意識して消費しなければ、京セラのようにギブアップ宣言から撤退の流れが加速するだろう。

 残るソニーとシャープも撤退すると、現にITプラットフォームがGAFAの独壇場となっているように、もはや生活必需品であるスマホすら、日本は輸入することでしか、手に入れられなくなる。

 これは日本の技術や文化が失われ、それらを海外から輸入することを意味する。極論に思えるかも知れないが、仮に全ての日本企業が撤退し、独占状態のGAFAが日本語をサポートしないと決定されたら、我々は日本語以外でスマホやプラットフォームを操作する他なく、言語が失われれば、必然的に文化も失われる。

 そうならないためにも、自分が支払ったお金がどこに流れるのか、意識しながら買い物をすると、労働力を数値化した賃金という名のお金が、海外に流出する割合を減らし、国内で循環する割合を増やし、国力の低下を抑止するチカラになるかもしれない。

 と記しながらiPhoneとMacを使っている私は、Appleに落としたお金を、株を持つ形で回収しているため、投資するお金はないが、なぜか新しいiPhoneを買う金はある人よりは、日本の国力保持に貢献しているはずだから、どうか許してほしい。


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