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これ以上、借金を増やさないためには...


借金できる仕組みを潰す「貸付自粛制度」

 友人から、私が2級FP技能士であることを良いことに、キャッシングの増額審査を断られた(=借金が発覚した)身内を、どう対処すれば良いものか、客観的な意見が欲しいと相談された。

 そのため、貸付自粛制度を利用すれば、これ以上の借金を負うリスクを5年間は回避できる。デメリットは割賦販売ができなるなるため、クレカが持てなくなる。と伝えたところ納得した様子で感謝された。2019年に出来た制度のためか、一般的にはあまり知られていないらしい。

 個人的には、リスク管理の甘さを感じてしまった。というのも、私は年会費が安くなる的なインセンティブでもない限り、キャッシング枠はゼロ。リボルビングも設定しなかったり、デフォルト設定であれば解除するか、毎月の支払額=利用限度額で設定して、金利が発生しないようにしている。

 今でこそ、お金に困らない生活を営んでいるが、高卒で社会に出た当初は周辺的正社員手取り13万円と、お前が終わってんだよww状態だったため、万が一、金欠で合理的な判断ができなくなって、借り入れからの借金地獄に陥るリスクを排除するために、安易に借金できる仕組みは潰す形のリスク管理をしている。

 これは、何らかの欠乏状態がIQを10ポイントほど低下させる科学的根拠に基づいて、自分自身もお金の欠乏状態に陥った際に、きっと非合理的な判断をするだろう。とヒューマンエラーを起こすことを前提に、エラーが起きてもバックアップできる仕組みを構築して、自分自身を信用しないことを意味する。

 往々にして、正常な判断ができる状態の時に、自分は常に正しい判断をしているから、そんなことはあり得ない。対策しなくても大丈夫だと自信過剰になる人ほど、この手の罠に嵌ってしまうのが世の常である。

脳にタスクを常駐させず、処理落ち防止。

 金欠如きでIQが10ポイント低下するなんて大袈裟に思われるかも知れないが、キャッシュが枯渇して、迫り来る支払い期限までに、どうにか現金を工面しなければならない状況に追い込まれた際に、差し迫った支払い期限の重圧から解放されるなら、藁にもすがる思いで利用する人が後を経たないからこそ、日本は消費者金融や貸金業が儲かっているとも考えられる。

 株式や不動産に投資した際の、期待リターン(%)の相場が分かっていれば、手持ちのキャッシュカードやクレカをATMに突っ込んで操作したり、支払い方法をリボルビングに変更した際の、上限金利20%がいかに悪魔的な数字なのか、直感で理解できる筈だが、それが理解できていないからこそ、「たったの2割」と思って、複利とも知らず安直にお金を借りてしまうのだろう。

 そもそも、キャッシュが枯渇して目先の支払いに窮する、自転車操業となっている時点で、日常の消費行動に何かしらの問題があり、起こるべくして袋小路となっている可能性が高い。

 確実な収入の範囲内で暮らす、身の丈に合った生活を営むシンプルな原則さえ守れていれば、家計が破綻することはない。収入に見合わない支出を繰り返す「無理」をしている以上、そのツケが金銭という名の数字として表面化しているに過ぎない。

 そうならないためには、家計の無借金経営を目指して、いつまでに代金を支払わなければならない負債の存在を小さくして、日頃から脳にタスクを常駐させず、処理落ちを防止しておくのが有効だろう。

自身を客観視し、希望的観測は持たない。

 毎月貯蓄や投資の種銭が捻出できる優良家計を目指すには、まず自分自身が置かれている状況を客観視する必要がある。

 冒頭にも記したが、私は社会人のスタート地点が、あまりにも薄給過ぎて生活保護と大差ないレベルだったため、手取り13万円でも貯蓄可能な生活レベルさえ維持できれば、これより経済的に落ちぶれる心配はないだろうと考え、生活コストを引き締める方針が妥当だと判断した。

 底辺職ランキングが炎上したのは記憶に新しいが、高卒とはいえ正規雇用がフルタイムで働いて手取り13万円。給与規定や先輩方の賃金から、現実的な昇給ペースを鑑みても、転職で年収大幅アップの夢が見れるような学歴や職歴でない以上、客観的に見れば底辺職である現実は受け止める他ない。

 つまり、希望的観測から自分自身の可能性を信じて自己投資に至る前に、生活レベルを最下限で保持し、経済的な余力を捻出することが、優先順位としては高いと判断した。

 私が想定する最下減の生活レベルとは、怪我や病気でフルタイムで働けなくなった有事の際に収支均衡する状態。つまり、平時には金銭的余裕がある家計簿を理想としている。

 つまり「確実な収入の範囲内」とは、休業手当が平均賃金の60%以上と、労働基準法第26条に明示されていることからも、標準報酬月額に0.6掛けした値が概算する目安となる。

 そこから、現時点で天引きされている税金や社会保険料を差し引いた差額が、基礎生活費の上限で生活設計していれば、まず破綻することはないだろう。平時は余力の4割で遊んだり、将来を見据えて蓄えたり学びながら運用する。

 ある意味、金融資本>人的資本と、自分自身が労働者として、今以上に大きな付加価値を生み出す期待値が、市場経済の成長率を上回らないポンコツである前提の、取るに足らない人生設計とも捉えられる。

 夢がないと思うか、地に足を着いた考えと思うかは、人それぞれだと思うが、社会に出てから生活レベルを一切引き上げなかった(むしろ引き締めた)ことで、手前味噌ではあるが、20代にして既に老後資金問題が解決する規模の金融資産を有しているのもまた事実だ。

 高卒で社会に出ているが故に、同世代が奨学金という名の教育ローンの返済に追われる中、お金に困らない生活を営めているのは、不確実な収入を高める道ではなく、確実な支出を削る道を、地道に突き進んだ成果だと考えれば、希望的観測は持たない人生設計が、学歴至上主義社会の覇者になれない多くの方にとって、悪くない選択だと思う。プライドで飯は食えないのだから。


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