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ポジポジ病と向き合う。

現金で寝かしておくのは勿体無い。

 私のポートフォリオの現金比率は5%で、それ以外は全て有価証券での運用に回している。5%と聞くと少なく感じるかも知れないが、仮に総資産が1,000万円規模になると50万円だから、半年以上の生活費用がリザーブされていることや、給与所得という名の定期収入がある状態であることを考えると、案外これくらいの比率でどうにかなるものである。

 困ったのは2020年3月頃の疫病に伴う急落で、この時だけは現金が少なくて後悔した。大バーゲンセールであることは明白なのに、キャッシュが足りないが故に、3銘柄4単元を買い増すに留めざるを得なかった。

 因みに、給料日前の預金残高が万単位を割り込むと言う、目の前の生活で精一杯なカツカツ家計を、人生で初めて体験した。この時の現金比率は1%にも満たなかったのは言うまでもなく、安定した定期収入のある兼業投資家だからこそ許されるオプションを満喫した。

 これだけ現金比率を少なくしているのは、平時の運用効率を最大化したいと言う願望が潜在しているからである。

 昨今のインフレによって一般の方もただ単に現金で寝かせておくのは、口座残高の数字そのものは保全されるものの、物価上昇で価値が目減りする感覚が備わって来ていると思う。

 この感覚が局地に達すると、次の給与所得までに必要な生活費以外は、できる限り運用に回さなければもったいないと感じる様になってしまい、基本的に持っているキャッシュは全てポジションを取ってしまう、いわゆるポジポジ病となって、平時は最高効率で運用しているものの、下落局面で首が回らなくなり、思うように買い増せない副作用を、嫌と言うほど味わうことになる。

現金は短期売買の買付余力になる。

 なぜ、もったいないと感じてしまうのかと言えば、運用に回していれば得られたはずの、インカムゲインやキャピタルゲインが得られないことが数字ではっきり算出出来てしまうからである。

 例えば、現金比率を自身が設定したポートフォリオの黄金比に従い、50万円確保したとして、この50万円を年率4%で運用した場合、年間2万円の実利が運用していれば得られたものを、みすみす逃している感覚に陥り、キャッシュを潤沢に持ちたいとは思わなくなる。

 これに対する私の向き合い方は、基本は中長期投資でポジションを取っているが、リスクヘッジのために仕方なく温存している現金に関しては、ポジションを翌日に持ち越さない短期売買を、スポット的に運用することで、ただ単に現金で寝かしておく罪悪感が薄れる。

 寝かしているだけでは現金だが、短期売買のための買付余力だと思えば、ある程度まとまった金額を口座残高に入れておいた方が良いと思える様になる。

 SBI証券や楽天証券の売買手数料体系は、アクティブプランの場合、1営業日の約定代金が100万円以内であれば0円で収まることから、買いと売りで50万円以内であれば、往復しても手数料は掛からない。

 つまり、口座に現金として50万円だけ寝かしておけば、例え信用取引の口座を開設せずとも、上昇局面に限って短期売買によって、無手数料で利ざやを取りに行くための準備金と捉えられ、下落局面などのいざという時に買い増しをするための資金としても、ある程度まとまった金額となるため、個人的には理にかなっていると考えている。

休むも相場。

 とはいえ、これまでファンダメンタルズ分析を重視した、中長期投資が主軸だったが故に、テクニカル分析を用いた短期売買で、しかもリスクを取りたくないが故に、信用取引の口座は開設していない。

 売りから入れない他、同一銘柄は1回転しか出来ない制約がある中での取引となるため、上昇局面で下落幅のリスクに見合う、期待値の高い相場という確証が自身の中で得られない限りは、当日決済を前提で買いから入ることはない。

 ポジポジ病を解決したと思ったら、今度はタジタジ病である。とは言え、休むも相場の格言もあるように、畑違いの取引手法で無理に利ざやを取りに行こうとした結果、損切り貧乏になってしまっては現金を目減りさせるだけで、寝かしておく意味がないから、中長期投資でリスクを取ってインカムとキャピタルの双方を狙いに行く分、慎重なくらいがちょうど良いのかも知れない。

 現に板読みもいくらまで下がるかは結構読めている気がするが、そこで指値を入れたところで、同じ意思を持った相手が画面の向こう側で注文を出している性質上、注文が通るとは限らない。

 その上、現状課題だと感じているのは、仮にポジションを取ったと仮定しても、いくらまでリスクを負って、いくらで損切りするのか。いくらで利確するかの道筋が描けないことが多く、結局エントリー出来ないことが大半である。

 せっかく休日や非番で相場に貼り付けるのに、見ているだけだと勿体無い気分になるが、利確の道筋が描けない時は、地合いが悪く上がらないことの裏返しだと思い、休むも相場と自己暗示を掛けながら後場まで待っている。

 すると、下落局面で空売りが出来ない現物取引では、損切りするだけのチャートだったことが大半だから、言語化できていないものの、直感でチャートの形を見極められているとプラスに捉えるようにしているが、過信は禁物である。

 投資の世界に足を踏み入れてはや数年。未知の領域を知るたびに、ヒヨッコであると痛感し、引き出しを増やすために、新しいことに挑戦してみては、都度学んでいる最中である。


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