見出し画像

円安は続くよ、どこまでも。

ドル円120円突破。

 大衆の感覚としては1ドル100円のイメージで、世界情勢に応じて80円〜120円程度は変動すると思われているが、個人的には極論ではあるものの、長期で現在の没落が続くようであれば120円を超え、10年、20年スパンでプラザ合意前の360円に近づいてもおかしくないのが現状の日本の立ち位置であると考えている。そのため、保有する資産の半分は外貨建てにすることを意識している。

 現に疫病が騒がれる前は安い国ニッポンとして、外国人観光客が押し寄せていたのだから、対外的に円の価値は下落している一方であることは、事実として受け止めざるを得ない。

 一昔前であれば、世界情勢で何か起きると有事の円買いと言われる程度に、日本円が安全資産として買われていた。しかし、今回の戦争では逆の現象が起こってしまったのが現実である。

 確かに、リーマンショックの時に急激な円高となったが、当時の日銀総裁である白川さんは退任まで目前であったがために、各国がマネーサプライを増やしている中で、日本円だけは増やさなかったため、相対的に価値が上がり、急激な円高になっていたのが当時学生であった私の見立てであった。

 そして今回は日本を含めた世界各国で積極的に金融緩和をおこなっており、疫病よりも経済優先の政策を行っている米国では既に利上げを示唆している一方で、日本は原油高や原材料費の高騰の直撃を受け、物価が上昇しているが、経済を回すことよりも、高齢者の票集めに苦心しているシルバー民主主義社会であるため、現役世代の賃金は上がらず、完全にスタグフレーションと化している現状、とても利上げに踏み切れる状況ではない。

 それにより、円を売ってドルを買う流れとなってしまうため、円の価値は下落していると踏んでいる。将来性のある現役世代を虐げて、将来性のない高齢者に年金や医療費の財源を湯水の如く消費しているわけで、この状態では将来に希望が持てないのは、若い世代が金銭消費や子作りに踏み切れない辺りからも想像に難くない。

露呈した日本の地政学的リスク。

 現在騒ぎとなっている戦争で、両国の背後に付いている国。つまり、米国対中国の世界経済の中心を争う構図そのものと捉えることもできる。そして米国軍が支援をすることはあっても、戦場に直接介入することはない旨をバイデン大統領は明言している。

 これは日本の安全保障でも同じことが起こる可能性が十分あることを意味する。そして、米国の属国である日本の隣国は、千島列島、尖閣諸島、竹島などの領土問題からも分かるように中国経済圏側である。

 これらを取っ掛かりに隣国が侵攻してきた際に、米国軍が支援をすることはあっても、戦場に直接介入することはないことは先の戦争で周知の事実となっている。日本の自衛隊にそれほどの抗戦力があるのかを考えれば、いかに世界的に脆い立場なのか、想像が付くと思う。

エネルギー問題。

 日本国内にエネルギー資源が乏しいことも、世界経済の影響を多分に受けることになる。天然資源を輸入に頼らざるを得ない中、今回某国の経済制裁により、天然ガスが安く買えなくなったため、電気代をはじめとする物価上昇は免れない。

 値上がりで国民の生活は苦しくなるが、かと言ってこれにより企業側が儲かる訳でもない。だから賃金据え置きで物価だけが上昇するスタグフレーションが起こる訳である。

 日本は外国に売れる商品を作らなければ、いつか資源を輸入することができなくなってしまう弱みを抱えている。

 現在、外国に売れる商品は主に自動車であるが、電気自動車が主流となれば今まで培ってきた技術やノウハウのほとんどが無駄となる。だからこそトヨタは危機感を覚え、MaaSのプラットフォーマーとしての地位を確立すべく投資を行っているのである。

世界を相手に商売する時代。

 それと比べて、エレキメーカーは家電エコポイント制度によって、国際競争力のある商品開発を怠り、結果として東芝やシャープは没落。ソニーもドル箱なのはエンタメ事業で、エレキの売上は2割程度でしかない。

 ビールメーカーも酒税法の絡みから、海外でも通用する美味しいビールではなく、日本国内だけで売れる、安かろう悪かろうのビールもどきばかりにリソースを注いできた。

 しかし、2020年の酒税法改正で段階的ではあるが、本来のビールとビールもどきの税率を2026年に同一にする方針が定まったことにより、メーカーはわざわざビールもどきの開発にリソースを注ぐ必要がなくなった。

 それにより、2021年にキリンがスプリングバレー豊潤<496>を市場に出してきたことで、国際競争で勝ちを狙いに行くキリンの底力を感じて、日本の企業もまだ捨てたもんじゃないと個人的には思えた。

 多くの日本企業が国民だけを相手に商品開発をしてガラパゴス化し、GAFAをはじめとする黒船に取って代わられた。少子高齢化している現代で、国民だけを相手に物を売るのではパイの奪い合いとなり、業績は徐々に縮小する一方である。そこから抜け出せなければ、日本は低迷し続け、国際競争力の低下につながり、円安が加速していく。世界を相手にしなければ、どこまでも円安傾向が続くと考える今日この頃である。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?