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即行動と見切り発車の狭間。

アーリーアダプターのジレンマ。

 マイナポイント事業の延長からの駆け込みにより、ドタバタ劇を繰り広げているマイナンバーカードだが、私はポイントを受け取るために転入と同時に電子証明書の発行手続きを行なった。

 今更感が強いがこれには理由がある。マイナポイント事業など立ち上がる前どころか、2020年の10万円給付よりも遥か前にマイナンバーカードを発行してしまったがために、「電子証明書あり」で発行する必要性が当時なかったためである。

 役場でも確定申告程度でしか使うケースがないと説明を受け、PCのカードリーダーが必要な点で、従来からのID方式のe-taxで何ら不自由していないことから、使う見込みのない電子証明書をコロナ以前の時点で発行したところで、発行に時間を要し、気付いたら有効期限切れになっているのが関の山だと考えていた。

 それが、コロナ禍の10万円給付で電子証明書が使われる運びとなり、もちろんマイナンバーカードをiPhoneで読み取るも、オンラインでの申請が出来るはずもなく、結局スピード感のない書面での申請となった。

 それから半年しないうちにマイナポイント事業と、後出しで電子証明書が必要な事業をボンボンやり始めたのだから、イノベーター理論の初期段階で飛び付くことの要領の悪さを痛感した。

 そして、少し前の駆け込み需要で役場の窓口は地獄絵図と化した訳で、並ぶのが嫌いな私は余計に電子証明書を付加することを躊躇った。

 そして、駆け込み騒動の熱りが冷めた翌月に転出と転入。案の定、誰もマイナンバーの窓口に居なくなった頃に電子証明書を付加して、遅れに遅れてマイナポイント事業に乗っかる運びとなった。

 概要としては、2023年3月1日までに発行した人が、9月末までにキャッシュレス決済+健康保険証登録+公金受け取り口座登録を行うことで2万ポイントが付与されることになっている。

 だから発行そのものが2019年時点で済んでいる私は、3月1日以降に電子証明書を付加しても、9月末までに然るべき手続きを踏めばポイントが付与されると解釈している。一応、Webサイトの申請は通っているものの、レアケース故にちゃんと付与されるかはやってみてのお楽しみ状態である。

 とはいえ、ポイントに釣られて駆け込みで発行した輩が2万ポイント付与されて、何の役に立つかも分からない時期に、自分で情報を取りに行き自発的に発行した私が、付与対象外で馬鹿を見る事態になったら憤慨ものではあるが。

やらない後悔より、やって後悔。

 振り返ってみれば、楽天モバイルが自前の回線でサービスを開始した時の1年間無料キャンペーンも、先着100万回線だったことから即座に申し込んだが、実態としては1年無料でも100万回線に届かず、後からRakuten miniの端末をセットでばら撒き始めたため、何だかなぁと思った次第である。

 結局のところ、楽天モバイル事業がグループの重荷となっている感が否めず、とはいえ今更事業を畳むこともできなければ、かつてのソフトバンクのように、ボーダーフォンを買収するかのような企業がある訳でもない。

 プラチナバンドが割り当てられていない以上、既存の3キャリアに対抗できる筈もなく、ただただ赤字を垂れ流す他ない意味で、負の遺産感が既に醸し出されているため、0円運用ができなくなってからはpovoに切り替えている。

 恐らく要領の良い人であれば、楽天が0円回線を提供し出した時に、いずれ資金力のある3キャリアのどこかが、MVNO泣かせとも言えるようなローコストプランを打ち出すだろうと予測していれば、povo2.0まで様子見してから行動に移したほうが効率的なのかもしれない。

 私もゴールドカードの年会費が一定額以上の利用で無料となる修行要素を三井住友カードが打ち出した時に、他社が追随すると踏んで、半年程度引っ張ったくらいだ。

 取り敢えず様子見して、後出しの比較対象が出てきてから検討する。こちらの方が確かに無駄がないものの、旨みのあることが周知の事実と化し、皆んながやり始めた時には穴が塞がれて改悪されることは往々にしてある。

 格安SIMで言えば、mineoのパケット放題Plusのオプションは、最安のシングル1GBプランには新規で付加することが出来なくなってしまった。既存の契約者は既得権益として今でも利用できているが、一度解約やプラン変更してしまえば、再度の契約はできない。

 旨みをフルで享受したい場合、大衆がその価値に気付き始めて飛び付くよりも前の段階から、ひっそりと手を出しておくのが非効率ではあるが確実でもある。

 結果として見切り発車となることもそれなりにあるが、個人的にはやらない後悔よりも、やって後悔した方が後腐れしないため、直感的に行けそうだと判断して、軽く下調べをしてリスクを洗い出したら行動に移してしまう。

 個別株投資に関しても同様で、打診買いが殆どで、保有してから有価証券報告書や決算短信などのIR情報に目を通しているが、よくよく調べてヤバいと感じて損切りした銘柄よりも、調べているうちに株価がスルスルと上がってしまい、買い増したくても既に割高で買い増せなくなってしまった銘柄の方が多く、前者の損失よりも後者の利益の方が圧倒的である。

 現代は情報社会故に、情報リテラシーさえ有していれば、必要な情報は誰にでも集められるようになった。違いが出るのは行動力だけで、即行動出来る人が持て囃されるものの、度が過ぎると見切り発車となり、良い印象がなくなる。

 即行動と見切り発車の狭間で、ちょうど良い塩梅であり続けることが、スピード感があって、適度に数打って当てられるコツなのかもしれない。


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