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税収が過去最高な件。

搾取され続ける賃金労働者。

 政府は先日、所得税や法人税の税収が堅調に推移していることを反映し、近々補正予算案の見積もりを増額修正する見通しであることが、関係筋から明らかとなった。

 我々賃金労働者の生活は苦しくなる一方で、一部企業は最高益を叩き出し、政府も税収が過去最高と言われれば、賃金労働者からむしり取られている。と考えるのは至極真っ当な流れである。

 現に賃金は横ばい若しくは微増で、昨今のコストプッシュ型のインフレにすら対応できていないどころか、もうひとつの税金でもある、年金や健康、介護保険といった社会保険料は右肩上がりで増加の一途を辿っているのだから、可処分所得は上がるどころか、下がっていて当然ではないだろうか。

 大衆は消費税率が10%になるだけで大騒ぎとなったが、個人的には厚生年金保険料が、国民年金保険料の穴埋めに流用されていて、しかも、保険料の料率改定に国会の議決は必要ない。健康保険料に関しても同様で、消費税率と異なり、いとも簡単に保険料率が改定出来てしまう仕組みである。

 つまり、少子高齢化によって、国民年金や健康保険組合の採算が合っていないことが騒がれているのだから、その皺寄せを誰が負担するのかは明白で、給与天引きによってノーガードで、漏れなく確実に徴収することが可能な賃金労働者、それも高所得者から順に狙い撃ちされるのは、最近の税制改正大綱の傾向を見ても明らかである。

 国としても、生かさず殺さずの絶妙なラインを設定しており、既に低賃金労働者からはこれ以上搾り取って歳入を増やそうものなら、却って生活保護の受給で歳出が増える懸念からか、ここ何年も大枠が変わっておらず、大抵は年収700万円以上などの中流より上の層の給付や控除を減らしたりして、政権交代やクーデターが起こらないようにしているように感じるが、賃金労働者で居続けても明るい未来がなさそうなのは、誰の目から見ても明らかではないだろうか。

過去が大丈夫でも、未来は分からない。

 こうした賃金労働者のヘイトが溜まり、その矛先は公務員や企業に向かうが、具体的に何かしらのアクションを起こすわけではなく、飲みの場やTwitter、ヤフコメで愚痴るのが関の山である方が大多数だろう。

 私は鉄道業界の労働組合側に染まっていた経過があることから、一般人よりは過激な思想を持ち合わせているかも知れないが、だからと言って愚痴るだけではけしからんと言うつもりは微塵にもない。

 むしろ、これこそ平和の象徴である。米国でドラッグやアルコール漬けになった、何をしでかすかすら分からず、コミュニケーションが取れるかも怪しい人が、街を徘徊していて夜は出歩けないような状態には至っていないだけ、決して裕福とは言えないが、革命を起こしたり絶望してドラッグに走るような状況になっていないだけ、安定した低空飛行を続けているものと捉えられる。

 とはいえ、そうやってなぁなぁで問題を先送りしては、全体的に徐々に悪化しているのは、少子化問題を見ても明らかであり、これまでの30年はそれでもどうにかなっていたかも知れないが、次の30年が前例に倣ったままで同じように推移するとは思えない。

 現に頭の良い人ほど、海外に移住したり、せめて子供だけでも日本に依存せずに済むよう、英語教育に力を入れているなど、今すぐ海外移住することはないが、どこか一線を超えた段階で海外移住をする準備を、優秀な人ほど行なっている。

 これは経営が傾きかけている企業の希望退職と似たような構図で、他所でやっていけるような実力のある、優秀な社員ほど割り増しの退職金を貰って会社を去り、残されたぶら下がり社員ばかりが組織に蔓延り、削減した人件費以上に生産性が悪化するのと同じように、海外でも通用するスキルを持ち合わせている人ほど出国して日本に納税しなくなり、既に低所得者でこれ以上の増税が見込めないような人だけが国内に残り続ける未来となるのは、そう遠くないように思えて仕方がない。

労働者が嫌なら、資本家を目指せば良い。

 そう不安を煽られたところで、海外の永住権を取得できるほどの英語力をはじめとするスキルを持ち合わせていない、私を含む大多数の一般人はどうしようもないのではないか。

 そんな意見も出てくるだろうが、海外に出ることが難しいのであれば、国内で要領よく生きるためのライフハックを勉強して、身につけておく程度の準備は行っておくと、いざという時に絶望しなくて済むだろう。

 ハックの鍵となるのが金融資産と税金だと思っていて、1億円の壁にもあるように、給与所得者の所得税は累進課税で住民税を合わせ、最大55%が個人の税率として課せられるが、金融資産所得に関しては、現時点で20.315%と税率に天と地ほどの差がある。

 しかも、課税所得が330万円以下であれば、確定申告の配当控除によって、源泉徴収された所得税部分が全額還付され、実質的な税率を7.2%まで圧縮することができる。

 いくら賃金労働者でも、103万円の壁を意識して所得税が非課税でも、住民税は非課税世帯でない限り、一律で10%が徴収されることからも、いかに税制上、配当所得が優遇されているかが分かる。

 これは、企業の当期純利益に対して、法人税、住民税及び事業税(通称:法住事)が課された税引後の当期純利益の一部が配当として還元されているから、ここで課税してしまうと二重課税となってしまうため、優遇せざるを得ない事情がある。

 その上、企業は過去最高益を叩き出しているのだから、出資者の権利を小口化した株式を保有することで、最高益を叩き出す企業の配当を、優遇された税率で受け取り、最初は生活費用の足しにして、徐々に配当所得の比重を増やすことで、個人投資家として搾取されない生き方を模索するのが割の良い選択肢のように思えて仕方がない。


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