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良い波が来てから行動しても遅い。

これからの時代をどうサバイブするか。

 疫病を境に世の中はデジタルデジタルした方向に変化した。これにより割を食うのは、代替されたアナログな産業を中心とする、これまで既得権益のあった人たちと言う構造とも捉えられる。

 私が身を置く鉄道業界も、既得権益の旨みがあったかは別にして、割を食った産業のひとつで、何事もオンラインや在宅で済ませ、人が移動しなくなり、事業が立ち行かなくなった。結果として、2021年のJR私鉄各社の決算は軒並み赤字に転落した。

 事業の構造上、人口減少やIT化に伴い徐々に事業規模が縮小していく斜陽産業である自覚も、それが定年を迎える前のどこかで到来する覚悟もしていたが、疫病禍によって想定よりも20年程度早く悲観シナリオが到来した。

 それにより、当事者である私は否応にも何かしらの変化をしなければ、この先の時代をサバイブできないのではないかと言う焦燥感に駆られた結果、通信制の大学で学士を取得する道を選んだ。

知識や教養がないと簡単に騙される。

 疫病前、就職に於ける鉄道会社の立ち位置は、インフラ業と言うこともあり、安定の代名詞とされていた。

 しかし、大学で会計を学んだ今となっては、いくら在庫を持たないビジネスとはいえ、線路、車庫、車両、駅舎、信号設備などの、莫大な設備が全て揃っていなければ、事業として成り立たないが故に、固定費用の比重が極めて大きい。

 何より運賃や料金は公共の福祉から、ヤードスティック方式で単価の上限が規制されているため、損益分岐点まで稼ぐのが大変で、現に2021年はどこの事業者もそこまでの売上高を稼げなかった。

 高校時代に今くらい会計の知識があれば、無責任な大人たちが適当言っただけの、鉄道会社なら安定しているなどと、根拠のない意見に騙されずに済んだのかも知れないが今更もう遅い。

 それに労使交渉でも、疫病前まで内部留保が潤沢であることを根拠に、御用組合が賃上げ圧力を掛けるフリをして、費用対効果も定かではない組合費が徴収されていた。しかし、会社は不況時に待遇を維持する名目で、例え好況でも賃上げを渋っていた割に、いざ疫病禍となると瞬く間に待遇が悪化した。

 しかし、よくよく考えてみると会計上、内部留保という勘定科目は存在せず、労働組合の主張そのものが筋違いな気がする。

 世間一般がイメージする内部留保のそれに近い勘定科目として、繰越利益剰余金は存在するものの、現代の会計が発生主義である以上、剰余金の額だけ手元に現金がある訳ではなく、設備投資などで固定資産になっていることは往々にしてある。

 手持ちの現金が潤沢かはネットキャッシュを見ないと分からないが、流動比率が100%を割ってもまわるような電鉄会社で、手持ちの現金を潤沢に溜め込む合理的な理由がない。

 新入組合員時代に今くらい会計の知識があれば、無責任な役員たちが主張していた、内部留保が潤沢で従業員に還元する原資はあるなどと、根拠の乏しい意見に騙されて、意味のない組合活動に参加させられずに済んだのかも知れないが今更もう遅い。

 知識や教養があれば、少し考えれば分かるようなことも、それがないと簡単に騙されるのが人間であることを、社会に出てから身を以て体験したが、それにより学ぶ習慣が身に付いたのも事実で、物は考えようである。

時代の転換期にチャンスあり。

 そんなこんなで、今がちょうど時代の転換期を迎えており、後世の歴史の教科書の1ページになる状況のように思えてならないが、その渦中に生きる人々の生活は荒波そのものである。現に21世紀になり人類は克服したものと思い込んでいた、疫病や戦争に対して、世界規模で対応に苦慮している。

 しかし、そんな転換期に上手く波乗りできる人が、平時にはないようなチャンスを掴むのは歴史が物語っている。

 コンピューター黎明期に、ふたりのスティーブが創業した会社は、今もGAFAの一角として米国経済を牽引する存在に成長し、巨万の富をもたらした。同様に他3社も、小さく創業しているが、IT革命の波に乗ることで、ものの四半世紀で今を煌めくメガテックとして存在感を放っている。

 マジョリティ層は黎明期から転換期に至る、荒波の段階では要素を見ているが、良い波が来た時にサーフボードを買い始めても時すでに遅し。良い波に乗れるのは荒波の時からサーフボードに乗っていた人だけで、みんながこぞって波乗りする頃は、レッドオーシャンで旨みがない。

 だからこそ、何事もイノベーターとして立ち振る舞うことで、上手くいくと先行者利益として巨万の富を得られるかも知れないが、荒波故に一筋縄ではいかないだろう。しかし、アーリーアダプターでもチャンスは十分得られる。

 少し前ならビットコインを始めとする暗号資産が、まだ仮想通貨と呼ばれていた頃がそれに当たる。私が取引所で口座開設をした2017年は、1BTCが30万円でお釣りが来る頃で、ズブの素人でも出川バブルの恩恵を受け、資産運用のスノーボールを大きくする一助となった。

 その後、ネム流出事件でバブルが崩壊して、オワコン感が漂っていた頃に、ブロックチェーン技術に関して学び、コインは別にしても技術そのものは画期的で将来性があり、何かの拍子に再燃する可能性があるかも知れないと、取引所買収元の株式を保有したことで、イーロンマスク砲で再燃した時期に、恩恵を受けることができた。

 ビットコインは極例にしても、格安SIMだったり、電力ガスの自由化も黎明期に試行錯誤していたから、後から乗り換えたマジョリティ層は新規契約できないような、事業者にとっては旨みがない(=利用者がおいしい)契約のまま未だに使い続けている側面がある。

 そんな好奇心旺盛でピーターパン症候群全開な私が、国がリカレント教育やリスキリングを言い出した頃に、ちょうど学位を取得し、今もなおブラッシュアップしているのは、時代の転換期でチャンスだと直感しているからに他ならない。

 人学び直しのマルチステージな人生が当たり前な世の中になってから行動したのでは、それらがプラスに評価されることはない。しかし、過渡期の場合は何かしらの先行者利益が得られる可能性は十分ある。

 それを期待してマジョリティ層が様子見をしている今だからこそ、時間やお金、労力を費やし、後から振り返れば結果的に遠回りしていたと思うことも織り込んだ上で、最終学歴を塗り替えている。良い波に乗れるのは、荒波の時からサーフボードに乗っていた人の一部なのだから。


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