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欲求との向き合い方。

自制心とマシュマロ再実験。

 周囲に成るべくしてお金持ちになった人や、大富豪が居ないため、私が漠然と思っているステレオタイプの域は出ないが、財を成した人ほどスタイルが良い割合が高く、明らかに太っている人はパッと思い浮かばない。

 自己管理能力の高さが体型維持にも一役買っているのではないか。これは個人的な仮説であり、その能力が元から備わっていたものなのか、蓄財の過程で身に付けたものなのかは、想像の域をでないものの、おそらくは後者のパターンが圧倒多数ではないかと考えている。

 というのも、子どもの自制心と将来の社会的成功に関係性があるのかを追跡調査した、マシュマロ実験は有名だが、2018年にその関係性が限定的だとの見方が出たからだ。

 子どもが社会的な成功をおさめるのに必要な因子は自制心ではなく、社会的、経済的な環境(つまり家庭)に起因するのではないか?との見方が強まった。

 確かに貧困家庭で、お菓子を後で楽しもうと、自分の分として取っておいたところで、その間に誰かに食べられてしまうことは往々にしてある。私はいつも被害者側だった。

 そのような環境下では、目の前にマシュマロが置かれたら、今すぐ食べるが最も確実な利益確定手段であり、食べなければ2個目どころか全くありつけない事態も想像できるし、そもそも経済的に恵まれない家庭だと、2個目が貰える約束を大人が破る可能性が、経済的に豊かな家庭よりも高いだろう。

 そう考えると、いわゆる育ちの良い子どもほど、目の前のマシュマロにがっつく必要性がないから、食べずに2個貰えただけで、そもそも恵まれた環境で育つのだから、社会的成功を収める確率も当然高い。と身も蓋もなく、至極真っ当かつ、夢も希望も救いもない結論となった。

 裏を返せば、自己管理能力の根幹となる自制心は、子ども時代になくても後天的に身に付けることで、経済的な成功に結びつけることは十分可能だと信じたい。

禁酒法の歴史を見ても、抑圧は逆効果

 話は変わり1920年、アメリカで禁酒法が施行された。言わずもがな、アル中や犯罪者の元凶となっている酒を禁じれば、それにまつわるトラブルが減らせると考えたからである。

 実際には何が起きたか。アル中はいくら法律で禁止されたからといい、行き場を失った酒を飲みたい欲求そのものを抑えられる訳ではない。

 タバコが値上げされる度に、カートン買いしてこれが無くなったらもう辞めると宣言して、辞められた大人を今まで見たことがないように、アルコールも意識や理性レベルで辞められたら、そもそも中毒症状に悩まされないだろう。

 公の場で酒の供給が絶たれたことで、非合法的な手段、すなわち密売が横行した。アングラなマネーの流れが構築されたことで、勢力を拡大したのはギャングで、むしろ暴力沙汰や売春などのトラブルが増えた。

 それを統制する側の政府は酒税の財源を失ったことで衰退し、法執行機関は腐敗の一途を辿った。

 本能的な欲求を抑える方向での強制を試みたところで、アングラ側の勢力が強くなり、狙いとは逆方向に加速して、むしろ悪化してしまうのは、禁酒法の歴史が証明している。

 このことからも、人間の根源的な欲求を抑圧するのは逆効果であり、欲を適度に満たせて、それでいて溺れて荒廃しないような、生かさず殺さずな環境を整備することが何より大切ではないだろうか。

 その点で、昨今の某赤い政党が、水着撮影会を中止させたことが波紋を呼んでいたり、AV新法と相まって禁酒法を彷彿とさせ、性犯罪が却って増加するのではないかと警鐘を鳴らしておく。

欲のコントロールが上手い人が富む世界。

 私にはお金の話ができる間柄の同級生がいる。お世辞にも学力レベルの高くない工業高校で、金融リテラシーを持ち合わせている人が、自分以外に存在して、なおかつ卒業後も交友関係が続いており、しかも在学中にはお金の話をしておらず、卒業後から話題にするようになった辺りに、巡り合わせの奇跡を感じずにはいられない。

 2021年時点のデータと少し古いが、NISA口座の開設数を合計すると1,000万口座位になるらしいが、稼働率は6割程度に留まるらしい。つまり、NISAで運用しているだけで、資産形成においては国民の上位6%に相当する訳だ。

 学年に100人居たと仮定しても6人程度の割合である。もちろん、1クラス100人ではないから、3クラス程度に分散されると、NISAで運用している人は、1クラスに平均2人。自分を除いた、もうひとりと卒業後も繋がりを保てていることが、いかに幸運で奇跡的なのかが数字からも窺える。

 そんな、同じ学校を出てから、同じような職種に就き、同じような年収で、同じ位の年数で賃金労働者として従事していれば、これまで稼いだであろう賃金は大きく変わらないか、むしろ私の方が低いくらいだ。

 しかし、バランスシートの純資産に相当する合計額は大きな差が出ている。同級生がNISAの種銭を拠出するのに苦労する一方で、私は一般NISAの600万円ではまるで足りず、2024年以降の新NISAを渇望している。収益が大差ないのに、剰余金が大きく異なるのは、費用が低廉であることに他ならない。

 同級生と旅行すると、喉が乾けば自販機やコンビニで飲料を買っては喉を潤し、30分も歩くとバスやタクシーを拾いたいと言う。映画を見ればポップコーンを欠かさないし、酒を飲めばつまみが欲しいとポテトチップスを買いに行く。

 私の水筒持参、徒歩1時間上等。映画は優待券で物販は使わず、酒につまみも割り材も不要と、いかにコストを掛けずに欲を満たすかに徹している。

 そのためには、本能的な欲求である食欲、睡眠欲、性欲は抑圧せずに、満たされている前提で、それ以外の欲求は要点のみを満たす。

 映画なら知的好奇心を満たしたいのだから本編が見れれば良い。酒なら酔いたいのだから、余計なことをせず、酒だけ飲めれば良く、それ以外は全てオプションという名の嗜好品に他ならない。

 そうして上手く欲求をコントロールすることで、資産形成でもプラスに働き、複利効果の恩恵を受けられる日が到来する。嗜好品を嗜むのは、それからでも遅くない筈だ。


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