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どうなる、円安。

20年ぶりの円安水準。

 2022年6月8日にドル円のレートが一時134円台に突入した。3月に120円代を突破した際に、円安に対する雑感を記したばかりではあるものの、今の所、3月の表題通りの結末を迎えている。

 私はあくまでも株式投資を行う上で、一定程度の経済や金融知識を独学後に通信制の大学で体系的に学んでいるに過ぎず、外為取引のプレーヤーではないため、情報に漏れやダブりが生じるかも知れない。

 また、マネーゲーム全般に言えることだが、未来の価格は誰にも分からない。分かると豪語するのは詐欺師と未来人だけなのだから、ここでの情報もひとつの意見程度に捉え、鵜呑みにせず最終的には自分で投資判断を行って頂きたい。自分のお金を一番真剣に考えているのは、自分しか居ないのだから。

短期で循環しても、円安は加速しそう。

 私個人の見解としては、景気循環や世界情勢によって、短期や一時的に円高に振れることはあっても、長期で円安となる流れは止まらないのではないかと考えている。

 円安と言うことは、日本円の価値が対外的に下落していて、誰も日本円を欲しがらないと捉えられる。モノづくり大国の時代であれば、メイド・イン・ジャパン品質が海外から評価されて、日本のモノを買うために、ドルを売って円を買う流れになる。

 しかし、ICT化に伴ってグローバル社会となったことにより、世界中で最も原材料が安い国から原料を調達し、海上コンテナ輸送で、最も人件費が安い新興国や社会主義国で原料を加工し、再度海上コンテナ輸送により、必要とする高度な加工技術を最も安価で行える国で加工を繰り返し、製品を仕上げたら世界中で発売する流れになっている。

 ITとコンテナの発達によって、自国に資源を有しておらず、それでいて安い国ニッポンと言えど、人件費も新興国ほど安くはできないことから、世界の製造業マネーがわざわざ日本を経由する必要がなく、輸出するものも自動車程度しか残っていない。

 そこで、五輪招致を機に物価の安さをウリにインバウンド需要を創出していたが、その矢先に疫病騒ぎとなり、ネット上でアベコインはゴミ通貨呼ばわりされる状況と化したのである。

 また、日本人の多くが海外のものを使ったり、資産という形で外貨を買っている。

 スマホやパソコンメーカーは日本製だとしても、OSや搭載されている半導体チップ、インターネットや通販サイト、動画のサブスク、SNSなどのプラットフォームの大半が米国企業が作ったものであり、当然、利用料金や決済システムの使用料は米国に流れる。

 キャッシュレス決済が一般化し、クレジットカードでの支払い頻度も増加しているが、日本で普及しているカードブランドのうち、JCBを除けば他は全て米国企業。ファストフードチェーンで食べるハンバーガーとコーラ、スタイリッシュな珈琲屋、薬局に陳列されている洗剤やヘアケア用品も米国企業と、日常生活においてお金を海外に流出させずに生きるのが難しくなっている。

 老後資金不足問題から資産形成を考えれば、金融リテラシーの高い人ほど全世界株式や米国株式を選択する。これも資産評価額が円建てだろうが、ドル建てだろうが、日本円を売って、外貨を買った上で外国株を保有していることになる。

 感覚的にも、外国の人が日本企業のモノやサービス、株式を買うよりも、日本人が外国企業のモノやサービス、株式を買うことのほうが多いのだから、円が売られて外貨が買われる結果として、長期目線では円安が加速して然るべきと推察しているのである。

円安に備える手法。

 最近は原油高や円安の煽りを受ける形で、物価高が目に見える形で表れているが(以前はステルス値上げで表出していなかっただけで、物価自体は上がっていた)、それに連動して給料が増えた訳もなく、ただただスタグフレーションで家計が苦しくなる一方だからこそ、日本円の価値が急激に下落している実感は多かれ少なかれあると思われる。

 生活苦を実感している我々だからこそ、日銀総裁が「値上げを受け入れている」と根拠に乏しく浮世離れした発言が炎上したのである。

 そんな没落衰退の一途を辿る日本に居住する以上、対外的に価値が減少する日本円で決済する必要があるため、出国しない限り日本円から逃れられない運命にある。

 だから私は長期目線で円安となると読んでいても、日本株(個別)と外国株(投信)を半々の割合で保有するように心掛けている。資産総額の半分はひとつの目安に過ぎないが、少なくともすぐに使わない日本円を外貨に変えることで、日本円で持つよりは価値をある保全できると考えている。

 外貨に変えると聞くと、外貨預金や外貨建ての保険を思い浮かべる方もいるかも知れないが、これらは銀行や保険会社が手数料をドル転、円転の双方で徴収できる仕組みで、為替リスクは顧客持ちで割高な手数料が得られる、我々目線で見れば、ハイリスク・ローリターンのカモ商品。銀行や保険会社目線だとローリスク・ハイリターンのサギ商品となっているため、買ったら手数料負けする可能性が高い。

 通貨をドルに変えるだけであれば、FXでレバレッジを掛けずにポジションを持ち、現引きすることにより超低コストでドル転ができるが、FXと聞くと敷居が高く、また1通貨(1万ドル)単位での取引となるため、少額とは言い難い。

 そのため、ネット証券で取り扱っている、全世界株式や債券に投資する、優良なインデックスファンド(ノーロードかつ運用手数料0.1%前後)またはETFを保有するのが、万人向けな円安対策となるのではないだろうか。


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