立憲民主党の「【談話】2020年度政府予算案の決定について」の文章を校正しよう!

 昨年の12月20日に、野党第一党である立憲民主党が2020年度の政府予算案について、談話を発表されていました。ただ、この談話の中には、いくつか「事実」とは異なる表記がなされていました。その点を国会議員の代表質問や委員会質問の校正や、経済レクチャーなどを行っている経済政策アナリストとして、歴としたデータに基づき、今回は文章の校正をしていきたいと思います。

 なお、私は立憲民主党を何も批判しているのではなく、むしろ、若手議員は将来有望な方々だと評価しており、半数以上の議員がMMTについて勉強し始めているといった期待感から、単なる印象論ではなく、今から述べていく「事実」に基づいて、安倍政権を追及して欲しいと思い、校正を行うことにしました。

 まずは、安倍政権の5年間の政府総支出の伸び率を示したグラフを基に、文章を校正していきましょう。

1.2年連続で100兆円の大台を超え、当初予算としては過去最大の102兆6580億円となった。安倍政権による歳出拡大路線には全く歯止めがかかっていない。

 上記のように談話では書かれていますが、このグラフが示す通り、安倍政権期の日本の政府支出の増加率は105.2%と、世界的に見ると拡大幅がかなり小さい国になっています。これ以上の予算を圧縮するとなると、100%を下回っている(予算を2012年よりも削減している)、ヨーロッパの債務危機国のスペインやギリシャのように日本はなってしまいます。

 もっともユーロのような共通貨建て国債だと、債務不履行の危険性はありますが、日本のような自国通貨(円)建て国債の国においては、債務不履行の危険性はゼロです。何故ならば、新たに自国通貨を発行してしまえば、必ず政府債務は返済されるからです。

2.予算の大盤振る舞いであり、憂慮すべき事態である。

 これも前掲載のグラフが示している通り、安倍政権の予算は大盤振る舞いどころか、世界的に見れば「緊縮財政」、要は「ドケチ財政」の部類で、全く増やしていません。デフレ脱却のためには、更なる大盤振る舞いをしなければ、野党が大好きな「実質賃金の上昇」も起こり得ません。

 予算を増やすことは、イコール国民の預金を増やすこととなりますので、何故、予算が大盤振る舞いされることが、「憂慮」すべき事態なのでしょうか。むしろ、これまでの安倍政権の「ドケチ財政」こそが憂慮されるべき事態だと言えます。

 次に、20年間の政府総負債額の増加率を示したグラフに基づいて、談話を校正していきましょう。

3.借金頼みの体質がますます悪化していることは明白である。

 このグラフが示している通り、世界中どこの先進国においても、政府は「借金頼みの体質」となっています。むしろ、日本は「借金頼み」が少ない部類の国であると言えます。もっともっと借金頼みの体質になるべきなのです。

 何故ならば、自国通貨建て国債とは、そもそも「国の借金」ではないからです。私は「政府の通貨」と言った方が適切だと考えています。国債は期限が到来したら、返済しなければいけませんが、発行残高ゼロを目指して減らさなければいけないものではないからです。そんなことをしたら、国民の預金も同額減ってしまうからです。

 このグラフの通り、世界中の国々でも増え続けていることから、国債は経済成長と共に増え続ける「通貨」と同じなのです。政府負債は増え続けるのが当たり前であることを、こうした世界各国の事実から、国会議員の方々には、しっかりと押さえて欲しいと思います。

 次に、また似たようなグラフになりますが、最初のグラフから期間を20年間とより拡大した、各国の政府総支出の年平均増加率のグラフを基に、談話の文章を校正します。

4.野放図に予算をばらまくことは許されない。立憲民主党は、膨張しつづける予算案について~

 このグラフをご覧頂ければ分かるように、政府予算とは「膨張しつづける」のが当たり前なのです。世界中どこの国でも、政府予算は平均して毎年4%ほど、膨張しつづけています。対して、日本は世界一予算を「膨張していない」ため、貧困格差問題や災害後の復旧のメドが立たないなど、国民生活の至るところで、様々な問題が生じているのです。国民生活を救うためにも、日本政府は、もっともっと「予算を膨張」しつづけなければならないのです。

 最後に、名目GDP伸び率と政府支出の伸び率の相関を示したグラフを基に述べていきたいと思います。

5.国民生活を豊かにする経済対策

 上記の相関図から、国民生活を豊かにするとは、GDP(国民所得)を増やすことだと定義できます。名目経済成長率は、政府支出の増加率によって、明確に決定されると断言できます。つまり、政府予算を「膨張」させることこそが、国民生活を豊か(国民所得が増加)にする経済政策となるのです。

 この談話を発表した立憲民主党の議員をはじめ、国会議員の方々には、これから始まる通常国家において、是非、予算の更なる「膨張」を求めて欲しいと、いち国民として、切に願っております。私たち国民の所得を増加させるためにも、何卒、よろしくお願い致します。

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