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大学院卒業後の進路:院生は就職に不利なのか?

今日は大学院卒業後の進路について。大学院に進学しても、みんなが研究職につくわけではありません。今回は、大学院卒業後、大学教員や研究者にならない人はどんな進路についているのかについてお話できればと思います。

ちなみに、これから話す内容は僕が通っていた大学院の経験をもとにしています。僕は某国立大学(一応、難関大学にカテゴライズされます)の文系大学院に通っていました。なので私立大学や地方国立大学、理系の大学院とは状況が異なるかもしれません。悪しからず。

文系大学院生の進路

文系大学院生は「一般企業の就職には不利になる」という噂を耳にします。しかし、結論から言うと文系大学院生の就活と同様「人による」というのが正直なところです(あくまで僕の経験からです)。僕の在籍していた研究室ではほとんどの院生が一般企業に就職していきました。

研究者として、その後も研究を続ける学生は非常に少ないです。では、先輩や後輩、同期が”文系大学院生であるがゆえに”就活に苦労していたかといわれると、苦労している人は苦労するし、そうでない人もいる、というのが現実でした。

院生の社会的評価

大学院修了という肩書きは一種の証明書であり、それを持っていることによって何か特定の技術や学びを習得していることを示すことができます。理系では大学院修了が就職の前提条件のようになっていますが、文系ではそんなことは稀です。では、文系大学院を修了することで何を得るのか?

理系では何か特定の機械や素材について精通したり、実験の方法などをマスターする事ができるでしょう。しかし、文系はもっぱら本を読んだり議論をしたりすることを中心に研究をしていきます。いわば紙(本)とペンがあれば研究できるのが文系の学問ともいえるでしょう。

文系大学院生が身につける能力としては、論理的思考力や批判する力、その分野の知識、文章を書く能力、プレゼンテーション能力などが挙げられるでしょう。しかし、これらはぱっと見でその能力が優れているかどうかが判断しにくいものです。ですので、修士を取ったとしても、学部生と比べてこれが優れている!というわかりやすく示すことは難しいかもしれません。

「私はこの機材を使うことができます」というのと「私は論理的に考えることができます」というのでは、客観的に見たときの能力のわかりやすさが違うでしょう。このため、文系大学院生は学生生活の中で身につける能力がわかりにくく、評価されにくいケースもあるかもしれません。

文系院生は就活に有利か?

以上の理由から、文系の場合、大学院卒だから特段、就活に有利!ということは少ないと思います。しかし、逆に言えば就活に不利のなることもないということです(もちろん、コストカットを目指す企業にとっては学部卒に比べ採用のコストがかかる院卒生は忌避されることはあるかもしれませんが…)。

巷では「文系大学院に進学すると就職できない」なんて言われることもありますがそれは嘘です。少なくとも、自分の周りは何らかの企業に真っ当に就職していますし、中には超有名企業・大企業に就職した後輩もたくさんいます(もちろん本人希望の就職先に行けたかどうかは別として。でもそれは学部生も同じです)。

就活の成否、それは学部生の就活と同じく人によります。当然就活では学力だけではなく、コミュニケーション力、思考力等々を総合的に審査されるわけです。学部生と同様に企業の求めている能力が不足している人は就活に苦戦することは多くなるでしょう。その意味では、大学院には変わり者やコミュニケーションが不得意な人が集まる傾向がありますので全体で見ると大学院進学者があたかも就職しにくいように見えてしまっているのかもしれません。

まとめ

同じ研究室に所属していて、同じ学び・同じスキルを習得していても就職活動の結果には差が出てきます。当然、大学院生の中にもコミュニケーション能力に優れる人もいれば、そうでない人もいるわけです。能力に優れている人は当然、有名企業や自分の希望する企業に就職することができます。逆に、少し癖のある大学院生は就職活動で苦戦する...それは学部生も同じことです。企業も学生を選択するわけですので、結局は個々の人間次第です。

結局のところ、文系大学院にいくことが就職に不利になるわけではなく、その人の能力や企業とのマッチング次第になります。確かに、文系大学院に進んでも、企業や社会からみて、”これがすごい”というわかりやすいスキルや能力を身につけることはできないかもしれません。

しかし、論理的にものごとを考える力や世の中を客観的・批判的に俯瞰し、冷静に判断を下す力、そして、アイデアを生みだし、プレゼンテーションする力などは、必ず仕事をする上では必要になります。むしろ個人的にはそのような能力を磨いた人こそが社会で活躍すべきだと思っています。

僕個人としては「文系大学院は行く意味がない」「文系大学院は就職に不利だ」といったような風評被害を理由として大学院進学を諦めて欲しくないと思っています。また、文系大学院に在学している人は、ぜひ今の環境で自身の力を高めて社会に羽ばたいていって欲しいと思います。頑張れ、文系大学院生。

今日はこのあたりで。


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