非常勤研究員は辛い…一日の生活スケジュールをパターン別に紹介
研究者って一日にどのような仕事をしているか知っていますか?
実験や結果の解析、先行研究の調査や論文の執筆など、部署ごとに担当が異なる企業と違い、あらゆる方面の仕事をしなければなりません。
そして、研究者の一日の生活スケジュールは、大学や企業、はたまた日本と海外によっても大きく異なります。
特に、非常勤研究員は、シフト制であることが多く、残業時間や手当も変わってきます。
そこで、この記事では非常勤研究員の一日の生活スケジュールをパターン別に紹介していきますね。
非常勤研究員とは?働き方について紹介
そもそも非常勤研究員とは、契約した労働時間内で勤務日数や勤務時間を設定して働く人のことです。
常勤研究員との違いをまとめた表を見てみましょう。
常勤研究員は、企業で働く正社員のようにフルタイム(1日8時間、週5日)で出勤しています。
一方、非常勤研究員は、例えば週28時間以内の契約をすると、1日5時間×週5日=25時間や1日7時間×週4日=28時間など、出勤時間を自分で設定することができます。
福利厚生のうち、法定福利(社会保険など)は必ず導入されているため、大きな違いはありませんが、法定外福利に違いが出てきます。
常勤研究員であれば、残業手当や住宅手当が支給されますが、非常勤研究員の場合、通勤手当に限られることが多いです。
このようにしてみてみると、非常勤研究員は企業で働く派遣社員や契約社員と同じような待遇かもしれません。
大学の研究室で働いている非常勤研究員が多いですが、派遣会社に所属して企業の研究所に勤めている方もいます。
では、非常勤研究員の働き方について仕事内容や一日の生活スケジュールを3パターン紹介します。
大学で働く非常勤研究員
大学で働く非常勤研究員は、教授や准教授が担当するプロジェクトの特任研究員として雇用されていることが多いです。
教授や准教授が時間をかけて取り組めない部分を補佐する仕事がメインです。
専門分野に精通していることやプロセスを改良しながら業務に取り組むことが求められます。
主な仕事内容は
・装置や消耗品の管理
・研究
が挙げられます。
<装置や消耗品の管理>
実験系の研究室であれば、各研究室で実験装置を保有しており、装置の状態を確認したり、不具合があった場合には業者に連絡して修理をお願いしたりします。
また、消耗品がなくなれば発注、納品を行います。
<研究>
研究では、教授や准教授が思いついた設計や手法を検証してみたり、大量のデータが必要な場合には長時間かけて計測したりします。
この記事を書いている筆者が所属していた研究室にも非常勤研究員がいましたが、新たな実験デバイスの作製工程を構築したり、教職員が確立した方法に従ってデータを蓄積したりしていました。
<大学で働く非常勤研究員の一日の生活スケジュール>
09:00-10:00 出勤、メールの確認
10:00-11:00 午後に行う実験の準備(試験管の洗浄や試薬の計量)
11:00-12:00 装置の動作確認
12:00-13:00 お昼休憩
13:00-14:00 実験開始
14:00-15:00 結果の解析
15:00-16:00 報告書の作成
16:00-17:00 消耗品の確認、退勤
週に数回程度、教職員とミーティングを行い、研究結果や実験室の状態などの報告もします。
パートタイムのように働いている場合は、基本的に労働時間内で退勤することになっています。
非常勤研究員を本職としている場合は、助教や講師などの次のキャリアに向けて研究実績を出す必要があるため、夜中まで研究を行うこともあります。
しかし、給料が出るのは契約範囲内のことに限られるため、労働時間を超過した分の残業代は出ないことがほとんどです。
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企業で働く非常勤研究員
企業で働く非常勤研究員は、即戦力を求められます。
特に、扱い方の難しい顕微鏡や分析装置などの使い方を知っていると重宝されます。
主な仕事内容として
・先行研究や特許の調査
・装置の管理
・研究
が挙げられます。
<先行研究や特許の調査>
企業では、独自技術の開発を行うため、競合他社と被っていないか調査する必要があります。
正社員が行うこともありますが、非常勤研究員が先行研究や特許を調査し、その内容をまとめた報告書を作成することで、研究や開発の方針を決めることができます。
<装置の立ち上げ、管理>
新規プロジェクトが始まり、新しい装置を導入する際には、使い方の知っている人が非常勤研究員として雇用されることがあります。
企業が求める条件出しを行ったり、操作の手順書を作成したり、使用予定者の講習を行ったりします。
<研究>
企業では、決められた手順の作業を行うことがほとんどですが、プログラミングなどのスキルを持っていると、解析に使うソフトの作成をすることもあります。
企業では作業の効率化や自動化が経費の削減に直結するため、解析ツールの構築などは即戦力となります。
<企業で働く非常勤研究員の一日の生活スケジュール>
08:00-9:00 出勤、メールの確認
09:00-10:00 ミーティング
10:00-11:00 ミーティング
11:00-12:00 分析の準備(試料の受け取り)
12:00-13:00 お昼休憩
13:00-14:00 分析開始
14:00-15:00 解析プログラムの作成
15:00-16:00 解析プログラムの動作確認、退勤
大学で働く非常勤研究員とさほど違いはありませんが、企業は大きなチームで動くため、ミーティングが多くあります。
海外で働く非常勤研究員
海外で働く非常勤研究員の仕事内容は、日本の非常勤研究員と違いはありませんが、一日のスケジュールが変わります。
これは、気候や文化によるものですが、季節によって日照時間が変わったり、お茶の時間を大切にしたりするからです。
例えば、ヨーロッパでは、夏の昼間は長く、21時ごろまで明るいですが、冬は16時ごろになると真っ暗になります。
筆者もアイルランドで研究経験があります。
夏は遅くまで研究室に滞在しますが、冬は暗くなると帰宅。
また、お昼前後と夕方にコーヒーや紅茶を飲む時間があり、日本よりものんびりと研究していました。
<海外で働く非常勤研究員の一日の生活スケジュール>
07:00-08:00 出勤、メールの確認
08:00-09:00 前日に行った実験の解析
09:00-10:00 報告書の作成
10:00-11:00 お茶休憩
11:00-12:00 実験の準備、装置の動作確認
12:00-13:00 お昼休憩
13:00-14:00 実験開始
14:00-15:00 お茶休憩
15:00-16:00 実験再開
16:00-17:00 片付け、退勤
まとめ
この記事では、非常勤研究員の一日のスケジュールをパターン別に紹介しました。
・非常勤研究員は労働時間や労働日数を自分で決める
・福利厚生は常勤研究員の方が恵まれている
・大学で働く非常勤研究員は教授や准教授の補佐を行う
・企業で働く非常勤研究員はプロジェクトの立ち上げや手順に従った作業を行う
・海外で働く非常勤研究員は、スケジュールが日本と異なる
非常勤研究員は、自分の生活に合わせて勤務時間を決められるため、スキルを持っている主婦などには最適な仕事だと思います。
一方、博士の学位を取得後、定職に就くことができなった研究者にとっては一時的な救済措置です。
そのため、時間外労働を余儀なくされて、ぎりぎりの状態で働くことになります。
研究者として最高のパフォーマンスを出すためには、無理のないように時間を管理し、自分のペースで仕事に取り組める環境が必要不可欠です。
最後までお読みいただきありがとうございました^^
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