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Vol.15 需要動向予想について

今回は、商品等の需要動向予想が出来るかどうかを考えていきます。
取り上げる商品は、「歯みがき類」「歯ブラシ類」についてです。

そして、今回は以前ご紹介させていただいたV-RESASを利用していきます。

○他業態は無関係?

皆さんもご存じの通り、近年は新型コロナウイルスの影響により、消費動向は大きく変動しています。
皆さんの業界はいかがですか?

報道等では大きく売上を落としてしまっている業界の話題が多くなっておりますが、逆に売上を伸ばしているケースもありますよね。

でも、報道等で話題になる業界動向が自社に影響を与えていることを考えたことはありますでしょうか?
「これは○○業界のことだから、うちの会社には関係ないよ」
って考えてしまってないでしょうか?

今回は、他業態の需要動向が、別の業態にも影響を与えているかもしれない事例についてご紹介させていただきます。
(ただし、これはあくまでも仮説になりますので、このような見方、考え方もあるという程度でお考え下さい)

○宿泊動向について

今回見る業界は「歯みがき類」「歯ブラシ類」と言いましたが、まずは旅行業界に関係する宿泊動向について見ていきます。

皆さんもご存じの通り、旅行業界は新型コロナウイルスの影響を直接的に受ける業界の一つです。

<全国の予約代表者の居住地ごとの宿泊者数>
(2020年1月1日~2022年1月31日)

出典:観光予報プラットフォーム推進協議会(事務局:日本観光振興協会)

このグラフは、宿泊客の居住地ごとの宿泊者数を宿泊開始日ベースの2019年同月比で表しています。
緑色が「都道府県内」の宿泊者、黄色が「都道府県外」の宿泊者になります。

これを見ると2020年11月と2021年12月に2019年同月比で宿泊者数がプラスになっていることが分かります。
(2021年の都道府県外は若干のマイナスとなっておりますが、今回は全体数がプラスになっているということで、ここは無視して考えます)

この辺りは、報道等でも良く聞いていた話題だと思いますので、皆さんもご認識の通りだと思います。
ただ、ここまで都道府県内での宿泊者が増加していると思っていましたか?
いわゆるマイクロツーリズムが、ここまで進んでいることの裏付けにもなりますね。

○「歯みがき類」「歯ブラシ類」と「宿泊」との相関関係

ここからは、上で見てきた宿泊動向と、どのように「歯みがき類」「歯ブラシ類」が相関関係にあるのかを見ていきます。

ただし、ここからはデータから読み取れる、あくまでも仮説になりますので、実態がどうかというのは現場でのヒアリングなど実地調査が必要になりますのでご注意ください。
(データ分析は、データから見るだけでは絶対に分かりませんので、必ず実地調査と合わせて実施してください)

<全国のPOSで見る売上高動向>
(201912月30日~2022年2月27日)

出典:ナウキャスト、株式会社日本経済新聞社「日経CPINow」

このグラフは、POSレジにより集計された売上情報をもとに都道府県の売上高の変化を2019年同週比で表しています。

このグラフを見ると、「歯みがき類」「歯ブラシ類」に関しては、2020年10月第4週、また2021年10月第4週頃に急激に伸びていることが分かります。

これを先ほど見た<全国の予約代表者の居住地ごとの宿泊者数>と見比べてみると、「歯みがき類」「歯ブラシ類」のこの急激な伸びは、宿泊者数のピークの直前、もしくは凡そ1カ月くらい前に同じような動き方をしています。

つまりは、宿泊旅行に行く直前に「歯みがき類」「歯ブラシ類」の購入が増えていることが分かります。
確かに宿泊旅行に行く前に新しく買い替えたり、旅行用として購入することもありますよね。

もしかしたら、既に業界ではこのようなことは肌感覚として周知の事実なのかもしれませんが、このようにデータで見ることで、凡そどの程度の需要の伸びなのかを予想することも可能だと思いますので、ぜひ、活用してみてください。

またもう1点。
その需要のピークの前に「歯みがき類」「歯ブラシ類」とも大きく売上が落ちていることも分かります。
これは特に販売する小売店側に言えることなのかもしれませんが、仕入れのタイミングを読むことにも使えるかもしれませんね。

○まとめ

一つのデータだけを見ると、その表面的な部分しか見えませんが、その事実があるということは、別の何かが影響を受けている可能性は十分にあります。

つまり、データ分析は多面的に見ないと真の姿が見えてこないということです。
一つの事象を見ながら「その裏側には何があるのか?」また「並行して何が動いているのか?」
そんな観点で考えていくと深いデータ分析が出来ていくのではないでしょうか?


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