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社会彫刻。ビジネスと社会貢献。(#9)

社会彫刻

LIFE INSIDER(BUSINESS INSIDER)というサイトの2024年9月3日の記事に、自宅兼書店の「Daily Practice Books」を運営されている堅田真衣さんという方の紹介がされていて、非常に感銘を受けたというか、すごく自分の中でモヤモヤしていた部分が言語化できたので、少し書きたいと思います。
この方は普段は、広告代理店でアートディレクター・グラフィックデザイナーの仕事を週5日されていて、週2日、自宅兼書店をされています。

「住み開き」「アジール(無縁所)」「マイパブリック(私設公共)」

ここ最近、私が求めている仕事と生活の新しい形態をまさに実践しているお方です。(私のお店の場合は半年で崩壊し失敗しました。詳細はまたそのうち記事にしたいと思います。)ご自身が収集した本を置き、読んでもらったり、交渉次第では売ったり、またイベントを開催したりと営利目的ではなく、コミュニティスペースとしての本屋を実現されています。

その堅田さんが、自宅兼書店をはじめたきっかけが、ドイツのアーティスト、ヨーゼフ・ボイスの「社会彫刻」という概念だったそうです。「社会彫刻」とは、絵画や建築など皆がよく知っている芸術の分野だけでなく、教育、政治、科学、哲学、経済学など、どんな分野であっても、それが意識的に行われたものであれば、芸術的な行為となる。というものです。社会性の高いものに向かって、創造性を発揮することは、つまり社会に対して彫刻することになります。

芸術とは自己表現であって、自己表現とはこの世で一番自由なものです。言い換えると、芸術とは、自分で自由に選択し、自分で自由に決定することにほかならないものです。それが、すべての分野に拡張していく感覚は、もやもやとした霧が晴れるような感覚です。(解釈によっては、過度にそのコミュニティの常識を逸脱したものは危険ですが)

ビジネスと社会貢献

ちょうど同じ日(といっても本日9月5日ですが)に、YouTubeの「M&A CAMP」というチャンネルを観ていて、DMM.comの亀山会長が出演されていたのですが、(『「もう一回起業するなら〇〇するね」DMM亀山会長に若手起業家のお悩み相談に乗ってもらった』という回です。)中学生起業家からの「社会貢献で稼ぎたい」という質問に対して、ビジネスと社会貢献は分けて考えた方がいい。という回答が上記の「社会彫刻」に繋がった部分があったので続けて書きます。

亀山会長は、社会貢献は良いことで、ビジネスはわりと悪徳なもの?というニュアンスで、利益に対する思考や、根本的な思考の立て付けが両者は違う。良いことと稼ぐことを分けることで、両方やりやすくなる。というような事を話していました。(多少、異訳があるかもしれません)番組内では、結構さらっと言っていたのですが、これはかなり重要な部分で、社会貢献で稼ぐことをしていると、資本主義経済、アテンション・エコノミーに取り込まれるぞ!という警告に私には聞こえてしまいました。

社会貢献(社会彫刻)とビジネスをくっ付けると、自分の尻尾を食べ続けるウロボロスの蛇。無限に自身をハックし続けるウイルス。のようなシステム・循環の中に、その身を置くことになってしまうので、不可能ではないが、難しいかもしれない。というのはよくわかります。

前回の記事のビジネスの分類を考えたときに、かなり広範囲で資本主義型ビジネスが、別の領域にも入りこんでいる。というのを改めて実感します。なぜ人は社会彫刻を求めるのか?と考えたときに、やはり根本的な自由さを求めているからなのではと思ってしまいます。

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