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トレンドについての考察

しばらくブランドの事についての記事を書いていません。

というのも準備は完了してしまって何も新しい動きが無いんです。残すミッションとしては展示会場探しとサンプルの撮影ぐらいです。

展示会場はちょこちょこと探してはいて、だいたいの目処はついています。撮影については予算の都合上、モデルさんにお願いして撮影というのが難しくなり、物撮りでやろうという事になりました。
こうなると普通に撮ってもカタログみたいになってしまいますし、何かしら写真に絵力が出そうなアイデアが必要です。今はそれを探している最中って感じで、けっこうのんびりとやっています。

それよりも今は家のリノベーションが佳境を迎えていて、そっちの作業の方が大変です。普段はまったく関係しない家の内装を自分で作業しているんですが勝手が分からず右往左往しながらではあるけどなんとかこなしています。

でも大変ではあるけどやってみるとこれが意外に楽しい。

先日も壁に珪藻土を塗っていたんですが、やり出すとのめり込んでしまって、気がつけば食事も休憩もとらずに8時間ぐらいぶっ通しで作業していました。
途中で『ここまでやったら休憩しよう』とかは考えましたが、その『ここまで』に到達する時には休憩しようと思ってたのを忘れて次の作業に手をつけていて、休憩するタイミングを失くす。で、次のキリがついたら休憩しようと思うんですが、これまたそのキリをむかえる時にはそれを忘れている・・・って感じで、気がつけば暗くなっていました。

若い時に内装のバイトをやっていたのである程度の知識と感覚はあるつもりでしたけど、そんなものはなーーんにも残っていませんでしたww

でも実際にやる前は面倒だなーとか思ってたのに、やってみるとこれが楽しかったっていうのは大きな気付きでした。うーーん。 以外と向いているのかも。

まぁこれが毎日となったら話は全然変わるんでしょうけど。

ともあれ完成まではもう少しです。頑張ります。


僕はトレンドをこう考えてます。


で、今回の本題がこれです。

世の中の消費には大抵の場合、トレンドというものがあります。それがファッションの世界では他の業界よりもけっこう明確にあると思います。例えば食やレジャーのトレンドは実際に現場に行かないとなかなか体験するのが難しかったりしますが、ファッションは街で行き交う人を見ているだけでなんとなく感じる事ができます。

例えばシューズだけとかみたいに何か1つのカテゴリーに集中して見るんだったら渋谷とか原宿と新宿とか人が多いところだったら30分も見てたら大体分かります。

そんなトレンドですが、結構前に読んだマーケティングの本には『人と同じはイヤと人と同じがイイの中間地点で発生するもの』と書かれていました。読んだ時から15年ほど経っていますが、僕は今に至るまでこれほどトレンドの性質を分かりやすく言語化したものは他に出会った事がありません。


このトレンドというものは商売においては無視する事ができない重要な要素です。

別にトレンドを追いかけないとダメだって話では無くて、それを知らないまま、分析もしないまま無闇に商品を開発することは商売の成功確率にも大きな影響が出ますし、やめた方がいいですよってことです。

ちなみに僕はブランドのデザインを考える時にはめっちゃトレンドを調べます。それは色や素材、シルエットやディティール、コーデなどありとあらゆるカテゴリーについて。その上でデザインに活かすか脇に避けるかを考えます。

僕は自分の興味があるんだったらそれが例え超トレンドでもやりますし、逆に誰も知らない、見向きもしないような事であってもやります。判断基準はあくまで理念とコンセプト、それと自分の興味なので。



ちょっと話がそれました。

トレンドとはほとんどの場合一過性になる事が多いですが、たまにトレンドで普及したものが定番として定着する事があります。実際に多くの人が体験した結果、トレンドとか関係無しにいいもんだという認知がされたものがそうなるんですが、ここ数年、メンズファッションにおいてそんなアイテムがめっちゃ多くなりました。SNSが情報の受信方法としての影響力を高め続けている近年では余計にそれが顕著になってきています。


メンズはレディースに比べるとかなり保守的なので特にこの流れが目立ちます。5年前とかの服でも全然古さを感じないし、オシャレに着れる。


ひと昔前はメンズにもタレントやミュージシャン、デザイナーなど分かりやすいトレンドアイコンとなる人がいましたが、今はそういうポジションの人すら新しいものを探したり発信している人は稀です。だから消費者も新しい要素、トレンドを見つける事ができずにちょっとした迷子になっているように思います。

別にトレンドなんか無くてもファッションの商品開発は続くし、売り上げは努力、取り組み次第でしっかりとキープ、もしくは上積みできます。だからトレンドが無いことは直接問題や課題になることではありません。

ただ、ここからは僕の持論なんですが、トレンドというものは人の興味が集まるカテゴリーで発生するものだと思っています。

人の興味 = 探求や追求 という側面があるので、これが1人よりは10人の方がより多くの探求と追求の結果が出て、それを『SNSで発信する → それを見た人が興味を持つ → 追求する → 発信する』・・・っていう感じです。

発信する人が増えるとそれを受信できる人の数も増えます。同じ情報でも尊敬する、もしくはファンのAさんから受け取るのと特に興味も無いBさんから受け取るのとでは大違いです。

こうして発信者が増えた結果、受信者も増えていって多くの人が興味を持ってトレンドが発生する環境ができあがる。

人の興味が集まるという点で食はトレンドが発生しやすいと言えますね。みんな美味しいものが大好きですから。


何が言いたいかというと前述のようなトレンド発生の仕組みに照らし合わせて考えると、世間の男性たちがファッションに興味を持たなくなってきたんじゃないかと僕は思っているんです。

これは色々な理由があると思いますが、一番の理由は『ちょっと興味が出たモノやコトを追求しやすい環境ができあがっている』って事だと思っています。

これについて少し説明を。

ひと昔前はSNSが無くて興味を持つきっかけはテレビか雑誌、もしくは友人知人ぐらいしか無かったんですが、今ではYoutubeやインスタをはじめとして膨大な情報、しかも文字や画像じゃ無くて映像の情報を見る事ができます。まずこれによって受信できる情報の量と質がめちゃくちゃ上がったんです。

しかも同じツールを使って追求、もしくは興味を持った情報の精査もできます。こうなっては個人個人でそれぞれ興味を持つものが分散するのは当然ですね。

ファッションが発信できるほとんどの情報は画像や映像などのビジュアルに頼っていて、ネットやSNSが今のように普及していなかった時代ではファッションのビジュアル情報が圧倒的に多かった。日常生活の中で友人知人や街で見る多くの人のファッションから知らず知らずのうちに情報を受け取っていたんです。

だってキャンプに興味を持っても実際のキャンプの映像なんて滅多に見れなかったし、自転車に興味を持っても雑誌はあるけど映像なんてゼロだったんじゃ無いかと思います。要するにファッション以外のジャンルのビジュアル情報が圧倒的に少なかったんです。だから必然的にファッションに興味を持つ人も多かった。

でも今は例えばキャンプに興味を持ったらスマホでちょちょいと調べる。そしたらいくらでもキャンパー達の動画やギアの紹介記事がありますし、自転車に興味を持ったら同じように文字情報から映像情報が見きれないほど出てきます。

誰しも使える時間とお金には限りがあるのでいくら興味を持ったとしてもあれもこれもって手を出せる訳ではありません。様々なカテゴリーのビジュアル情報が簡単に手に入る状況になった結果、昔は圧倒的だったファッションに関するビジュアル情報がその優位性を失ったって事なんだと思います。

ファッションに興味を持たない人が多くなるというのは寂しいと感じる反面、個人がぞれぞれ好きな事を見つけて思いっきり楽しむっていうのは当然だとも思います。

という訳で今回はトレンドについての考察でした。

僕はマーケティングの専門家ではないけど長年アパレルの仕事をやってきたので人よりもトレンドというものについて調べたり考えたりしてきた方だと思います。


この記事が同じようにトレンドを無視する事ができない分野で仕事をされている方のちょっとした栄養になれば嬉しいですね。


それではまた!

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