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母の家に誰かが出入りしているようだ

「合鍵を鍵屋さんに渡さなくちゃいけないから準備しておいて」

電話の後に母が来るのを待つ
なにかがあったときのために持っている
一人暮らしの母の家の合鍵

「誰かが家に入ってるようなのね、だから鍵を替えることにしたの」


以前より
物の位置が変わっていたり
閉めたはずの鍵が開いていたり
おかしいな、と思うことは多々あったという

それが先日はお風呂場にあきらかに母のものではない髪の毛があり
その次の日にはシャワーを浴びたように浴室が濡れていたとのこと


不動産屋さんには「その合鍵を渡した娘さんじゃないのかい?」と言われ

そしてきっと年齢的に

認知症を疑われてしまうんじゃないか、と思うと

警察には行けないんだ、証拠もないし
お母さん、髪の毛とかもびっくりして流しちゃってねぇ

と言う。

わたしのこの胸糞の悪さと言ったら
noteに吐き出して誰かを不快にさせてしまうかもしれないと思いつつも
どうしても整理したくて
書かないわけにはいかなくなっている。

母は猫ちゃんを飼っている
その猫ちゃんに毎日

「誰か来なかったかい?」
と話しかけているんだと、無理矢理に笑うんだ。


不安や恐怖
誰も助けてくれないと思い
一人で戦い
無理矢理に笑うしかない母


「警察に行こう」、わたし

「警察は嫌い」
「なにをしてほしいって言ったらいいの?」
「どうせ信じてもらえない」
「鍵を替えるから大丈夫だって」


そう言って、猫ちゃんの動物病院の予約があるからと帰っていった

母はいつもそうだ

「どうせわたしは」
と不幸を当たり前に背負い込む

幼い頃からそれを見て胸がギュウっとヤられていたんだ


懐かしい胸の締め付けられ具合に苦しむ
今回もそうなんだ
不機嫌になってしまったわたしの幼さに嫌気がさした

これまで相談をしてもらえなかったことも悔しかった


ひたすら悶々とする

考えろ、ふなこ

せめてわたしは自分の気持ちに素直に生きる


猫ちゃんの動物病院が終わったであろう時間に電話をかけた

「警察に行ってほしい」

「自分の気持ちを大事にしてほしい」
「不安だとか、怖いとか、それを伝えるだけでもいいじゃない」
「それは我慢することじゃない」
「そして今の『わたしの心配している気持ち』を解決するためにも
 警察に行ってほしい」

母は
「あなたに心配をかけるつもりで言ったんじゃないし、
 心配しなくても大丈夫よ」
と言うけれど

ちがうんだ
『わたしの心配している気持ち』にわたしが蓋をするのは
またちがうんだって。

昔からそうやって

感情を諦めてきたわたしだけど

もうそうやって生きたくないんだって。


「もうわたしのために警察に行ってほしい、お願いだから」

むすめが幼稚園から帰ってきてしまうので同行はできない


警察に行ってもなんの意味もないかもしれない
証拠もないし

だけど

何もしないのはちがう
不安や恐怖を我慢するのもちがう

「わかったよ、この後行ってくるね」


頑固者の母が折れた

完全に「わたし」のためだったかもしれないけれど
これが今のわたしのベストだったとは思う

まだ悶々としているし
今もその家に母が一人でいるのかと思うと気が気じゃない

何事もありませんように


警察の方達も母に優しくしてくれますように。


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