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かわいいひとたち

よく晴れた祝日のきょう、電車の中でかわいいひとたちを見た。いずれもおそらく高校生だ。

1組目は、男女。どちらもノースフェイスのような厚めのダウンジャケットを着ていた。男の子も女の子もベージュダウンだったけれど、女の子が着ているものはラコステのものだった。胸元にワニがみえた。いいなあ、と思ったのは、どちらもかばんを持っていなかったこと。ポケットから携帯をひょいと出して、電車を降りる時もどちらもポケットに手をつっこんでいたのもよかった。その軽さがなんだかよかった。男の子の方はマスクをつけた目元がソン・ガンという韓国の俳優にそっくりで、思わずじろじろ見てしまった。目が合わない程度に。ちょうどいま、ソンガンが出ている韓ドラを見ているところなのだ。かなりテンションが上がる。その韓ドラではいい役をしているので。
そして女の子。こちらも美形だった。
目がくりくりしていて、前髪がふんわり軽め。
ワックスもヘアオイルもつけていない自然派な感じが高校生らしい。お肌が白くて、ぷにぷにしていた。本当にかわいかった。足元には薄いピンクのコンバース。全部、かわいらしかった。
彼らは上野で降りていった。アメ横?それとも公園に行くのだろうか。それとも動物園だろうか。東京駅とか秋葉原ではなく、上野で降りて行ったことがたまらなくかわいかった。

2組目は、赤羽あたりから乗ってきたサッカー少年の2人。こちらもおそらく高校生だ。ベンチコートをきて、真っ黒なリュックには高校名らしきローマ字が印字されていた。時刻は昼下がり、練習が午前中で終わって帰宅途中なのか、少しだけ疲れているようにみえた。少年二人組のうち、左側に座っている子はマスクをしているのにイケメンだと分かってしまうほどのイケメンだった。キリッとした眉、眉の下にくっきり二重の眼、そしてマスク越しでもわかる鼻の高さ。背も高い。これはモテるパターンだ、と思った。しかもその彼、練習終わりで疲れているはずなのに、ぼろぼろになった数学Ⅱの教科書を開いて車内で読んでいた。ああ、この子勉強ができる子だ。かわいい。
きっとサッカーも上手いのだろう。要領がよくて、運動も勉強も真面目に取り組むタイプなのだろう。大学は東京のMARCH以上か、国公立を志望してそうな感じがする。教科書を持つ手ゆびが目に入る。細くて、長くて、爪の形すら美しかった。彼をみるまで忘れていた、イケメンは手すら美しいということを。この世の不平等を思う。美男美女は顔だけでなく、身体の先っちょまで美しい。
この子がかわいかったのはそれだけではない。チラッと見えたスマホのケースに、彼女と思われる女の子と抱き合っているツーショットプリクラ(大)をはさんでいたのだ。しかもペアルックスタイルで。な、なんてかわいいんだ......!!!!!
まあ、こんなイケメンを放っておくわけがないよな、と思った。彼女も今風な、いやな言い方をすればカースト上位に来そうなかわいい女の子だった。

最近は高校生をみると、かわいいなあと思うことが増えた。
特に高校生カップルなどを見ると、無条件にかわいいと思ってしまう。ピチピチに甘酸っぱくて、人生でいちばんどきどきの恋愛をしている時期。きっと不器用で、慣れてなくて、いろんなかわいい失敗や、見栄っ張りをしているのだろう。たとえその恋がうまくいかなくとも、その経験自体がもうすでにかわいいからだいじょうぶだよ、と勝手に思ってしまう。どんな場所でも二人の世界しか見えていない彼らを、心底いとおしいとおもう。わたしもすこしは大人になったのかもしれない。

かわいいひとたちよ。
とことん愛せ。とことん惚れろ。とことん悲しめ。とことん胸を痛めよ。
今日も心を自由に震わせるやつであっておくれ。

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