憧れるはいつも男性
今回は何をいっているかますますわからない回になるかと思います。すみません。
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私の場合、私の中に男性的なものに憧れる側面と、女性的なものに誇りを感じる側面の両方が複雑に絡み合って私という人間ができている。
私はよく「女って最高!頭よくてずる賢くて冴えている人が多くて大好き!」と言っている。実際男よりも女の方が生物学的には断然好きなのだが、私には憧れの女性というのがひとりもいない。
観察したり、感じとるぶんには女性の方が圧倒的に好きなのに、私が憧れをいだき、その人の発言や雰囲気や生き様や容貌を見て「私もこうありたい」と心がワクワクしてくるのは、なぜか決まって必ず男性なのだ。それが女性であったためしがない。性的嗜好ではなく、生物学的に女の方が好きなのに、である。う〜ん、自分で書いていてもややこしい。
「こうありたい」というのはなにも、社会的地位とか筋骨隆々だとか男のコミュニティに特有の空気感が羨ましいということでは決してない。トランスジェンダーということでもない。
私がいつも目指しているのは、わかりにくいけれど、見た目も本人の自覚も女性なんだけど、一部の男性のような脱力感、今のところ男性の方が多く許されている(社会が放っておいてくれる)破天荒感、雰囲気、指向だ。
例えばそれで私が憧れているのは、教養とユーモアのセンスが優れてた予備校時代の講師と、みうらじゅんだ。どちらも男性である。
両者に通じるのは、まずもって自由人かつ幅広い教養を兼ね備えている点である。ある分野のこだわりや興味は深いくせに、他のところはどうしようもない無頓着具合で、かつそれが許されている。かわいい破天荒で、赴くままに生きていてもガミガミ言われず心配されず、世間から放っておかれる。もちろん、乱暴なことや暴力はぜったいにしない。
顔立ちは地味なのに、発するオーラか何かのせいで組織にいると必ず浮いてしまうような感じの人だ。だからスーツなんて日常で絶対に着ないし、不潔ではないしむしろ清潔だし健康なんだけど、なんとなく不健康な感じ。自分が学生時代の頃から一生懸命こつこつと積み上げてきた教養に支えられた強烈で独自の世界観を持ち、会話のユーモアもある。本能的に見ても健康的で真っ当な性生活を好む。
こうしたキャラクターは通常、男であれば「おもしろそうな人」で済むはずが、女になった瞬間に「尖った人間」「だらしのない女」とみなされる。私だって別に積極的に堕落して怠惰で不潔になりたいわけでもないのだ。むしろ元気よく、希望を持って、かつたまに女性としての良さや特権を上手に使いこなしながら、教養と独自の世界観を持った女になりたいだけなのだ。
うまく言えないが、私もそういう「男のような女」になりたい。もっと言えばそういう男と女の間をもっとふっ軽に行き来して新しい人種になりたい。トランスジェンダーとかレズビアンとかそういう名前のくくりにすらできない、もっともっと地味でこまやかな行き来。目に見えにくい行き来。
たとえば一人称「オレ」の勇ましい男性的れおにーが出てくる時もあれば、韓国女優のチョンジヒョンのように美しく長い髪をなびかせながらコメディ要素たっぷりに愉快に生きる女性的なれおにーが出てくることもある。男性的な大胆さ・適当さでこの世を渡り歩いていくモードもあれば、女性としての自分の身体を愛し、生物学的に女を楽しむモードもある。
見た目が変わらないからわかりづらいけど、私はもっと男と女の間の境界線をもっともっと曖昧にしていくと思う。何も、それは言葉を変えるとか、メイクをするしないとか、髪を短く切る切らないの見た目で済む話じゃない。もっと精神的な話で、見えない話なのだ。もはや生き方の話。私は自分のことをヘテロセクシュアルの女だと思っているし、女としての自分も好きだし、生物学的には女のほうが好きだけど、生き方や日々の生活の小さな細かいスタンスは男っぽくいきたい。
自分は髪も長くて黒髪で身長も高く、それゆえお世辞でも「モデルさんみたい」といってくれる人もいるのだが、だからといって内面や日々のスタンスまでが美しく綺麗な「女性」であるとは限らないのだ。モデルのような見た目をした中身はみうらじゅん、という人間もいる。
今でも自分の外見と内面との激しすぎるギャップにいつもなぜか申し訳なく思っているのだけど、本当は申し訳なくなんて思いたくないし、そういうのを気にする自分もそんなリアクションも本当に面倒だ。
こんな感じで、私の自意識は相変わらずめちゃくちゃ複雑でめんどうなことになっているのだが、私の野望はただひとつ。
外見のイメージに左右されることなく、マインドみうらじゅんを貫くこと。そして、男と女の精神性や日々のスタンスを常に行き来すること。
そうやって、結局いま「かわいい」か「きれい」の二元論になっている女性のジャンルに、新しい分野を開拓していくこと。
まじで何いっているかわからないかもしれない。でも私の野望は明確にそこにあるのだ。
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