見出し画像

『東ラブ』から見る、心情グラデーション

※ネタバレ含みません

『東京ラブストーリー』は1991年にフジテレビで放送された、全11話の恋愛ドラマだ。
最近、伊藤健太郎さんを主人公カンチ役に迎えてのリメイク版が春に放送されることが決定。ちょっとした話題になっているドラマである。
それに先駆け、つい先日Amazon prime,FODで元祖東京ラブストーリーの配信がスタートした。今回はそのレビューを行いたい。

ちなみに、’91の東京ラブストーリー、最終回の平均視聴率はwikipediaによると32.3%!!(笑) 昨年2019年の最高視聴率を記録したドラマ、「ドクターX」が16.9%であったのに比べると、どれほど人気だったかが分かる。。
まさに恋愛ドラマの金字塔であった。

このドラマのキャッチコピーは、
「東京では誰もがラブストーリーの主人公になる」。 (素敵すぎん?)
23歳の幼馴染4人、東京で繰り広げる恋模様を題材としたドラマである。

うちの父親はこのドラマが放送された頃にちょうど青春を謳歌していたらしく、ロケ地にもなった愛媛県を友人とバイクで巡っていたらしい。(バイクか...時代よ...)
娘であるわたしは、父から当時の話をよく聞いていたこともあり、今回配信された全11話をドキドキしながら視聴してみた。

扱うテーマとしてさすがに手垢がつきすぎて、もはや本質が見えないほどかもしれないが、
今回は、現在21歳の私がみた感想をつらつらと、ネタバレしないように、やや上からかもしれない目線で書いていこうと思う。 どうぞよろしくお願いします。

★💓★

恋愛むずかしぃ~((+_+))


見終わった後の第一声。ほん~~~とうに恋愛って難しいと思ったのが正直な感想。

恋の交差点。
本気と本気のぶつかり合いは、こうも歯がゆくて切なく、いとおしい。
ドラマをみて恋愛のいろはを学ぶのは危ないと思うけれど、それでも人間の心の振れ幅を参考にできるという意味で、とても興味深いドラマだった。
鈴木保奈美さん演じるリカの服装「キレカジ」スタイル、必殺ワード「かーーんちっ♡」というセリフなど、カルチャーを生み出した波及効果も含めてとても面白い、素敵な作品だったと思う。

けれどもこのドラマのすごいところは、登場人物の顔面のカッコよさ可愛さ、そして「か―んちッ!♡」だけではない。


**心情グラデーション **


このドラマがこれほど人々にもてはやされるのは、恋愛における心情グラデーションの表現に優れているからではないだろうか、と思った。

恋愛という、日常生活のとても特殊な行事で揺れる人間の心情の機微。
この作品では、連絡手段が公衆電話からLINEになった今なお通ずる、時に残酷で時に甘い、恋愛における心情のグラデーションが上手く表されている。
だからこそ、見終わった後今のわたし達にはおそらく、あの時の視聴者が抱いたのと同じような、何とも言えないやるせなさや甘酸っぱさ、恋愛王道の甘さなど、ひとつには絞られない感情群が残っているはず。
キュンキュンするとか、惚れたはれたの単純明快なストーリーではないことがすぐに分かっていただけるだろう。

小説ではこういった微妙な心情変化を字面で表現しているが、これが映像になった途端、心情の動きを、目線や表情でこちらが自発的に読み取るという行為に変わるんだなあ、ということを改めて思い知らされた。
鈴木保奈美さんや織田裕二さんなど、ツヨツヨな方たちの演技によって、見るものの心はどんどんかき乱されていくのだ。

また、ドラマは映画と違い、40~50分×10数回という複数に小分けして物語を追っていくので、見る者は細かく丁寧に変化を読み取れる。
登場人物の状況を少しづつ重ね塗りしていった先に、予想もしない景色が見えてくる。それこそドラマの醍醐味ともいえる。

放送された東京ラブストーリーは、あえてドラマという形で表現することによって、回を追うごとに心情のグラデーションをより鮮明に写し出していくことに成功した。
(漫画版もあるが、そちらはまだ読めていない。)
登場人物の微妙な心の動きが、演者の技量も相まって映像を通して視聴者には痛いほどクリアに見えてしまう。見てる方からすると、どんどん「重く」そして「甘く」なってゆく。胸が締め付けられたりほっこりしたり。緩急が、激しい。
ただの恋愛メロドラマだと思い見てみたら、いい意味で裏切られた。

この作品はそれほどどっしりとした重量感ある人間ドラマだった。
これほど心を動されたドラマは新鮮だった。わたしがテレビ世代ではないからかもしれない。
上から目線で大変恐縮だが、本当によくできたドラマだったと思う。


恋愛ゲーム

そして、わたしはこの『東ラブ』を見て、恋愛は'ゲーム'なのだと思った。
恋に落ちる者同士を取り巻く状況、駆け引きの仕方、タイミング。
特に本作では、恋愛の当事者だけではなく、本人の周りにいる、友人・職場の同期・上司の存在や言動が、本人の次の一手を大きく左右している。
周りにいる人の、「あの一言」から生じた結果やチャンスをたくさん垣間見れるだろう。

そう思うと、恋愛の先行きは最初から確定されているものなどなく、どうも危うい。恋愛は、きわめて不安定なものなのだ。
ゲームでいうと次のカードで何を出すかで、その後のプレーが少しずつ変わっていくように。
それを人は運命やら奇跡だの言うんだろう。
でも多分恋愛はゲームプレイなのだ。それでうまく勝っただけである。

ただ恋愛と本物のゲームの違うところは、必ずしも冷静に客観的・利己的に判断できるわけではない
ということ。

本物のゲームは相手を負かすという「勝利という決まった形」があるのに対し、
恋愛は、当事者の価値観によってなにが「勝利」を示すか変わってくる。だから、自分の頭では「こうしたほうが良い」とは分かっているけれどまさかできませんわ,,,,😭という、心と頭が完全にバラバラになる現象がしばしば発生する。
むしろこうした心身解体ショーこそが恋愛劇なのかもしれない。

やはりこのドラマでも、この心身解体現象に悩まされる登場人物が何人も出てくる。つらい解体現象にどう向き合ったかは、人によってそれぞれだった。
むりやり離れた心身をくっつけようとした人、諦めて心に従った人、、、、。
だがそのどれもが正解で、不正解がないのも恋愛だ。
だからこそ、そうした決断が時に誰かを悩ませ、悲しませる。
視聴者には、それぞれに思いを馳せ、時に自分を重ねながらドラマ中の彼らが下した決断を共に楽しむ仕掛けが用意されている。

さて以上を踏まえて、本作の主題歌である小田和正さんの『ラブストーリーは突然に』を改めて聴いてみましょう。。。。歌詞が、、もう、、ズブズブとしみわたってきますね。。。?

-あの日 あの時 あの場所で 君に会えなかったら
僕等はいつまでも見知らぬ二人のまま

そう。だから、好きな人がいて、自分の愛する人がちゃんと自分だけを見てくれて、二人の世界でお互いを向き合っていることは本当に偶然、ラッキーなこと。
恋に落ち、その後愛し愛される、純粋にそれは{おめでとう}だと思った次第である。ありがたき幸せよ。

さあ、これを読んで,いてもたってもいられくなった方、ぜひドラマをご覧になってみてください。
そして彼らと一緒に、なすがままの恋愛グラデーションに染まり揺さぶられにいきましょう。。。。

それでは、ごきげんよう🗼💓

東京ラブストーリー視聴はこちらから↓
Prime video
FOD

#ドラマ #ドラマレビュー #恋愛

最後まで読んでくださりありがとうございます。 いいね、とってもとっても嬉しいです!