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渡欧前最後の独白。 風間八宏、ミシャ、ポステコグルーの攻撃サッカーで三好康児が学んだもの



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「ついに」と言うべきか、「やっと」と言うべきか。

去る8月20日、今季は期限付きで横浜F・マリノスへ籍を移しプレーしていた三好康児のベルギー1部・アントワープ移籍が、所属元の川崎フロンターレから発表された。


三好康児選手期限付き移籍のお知らせ


川崎フロンターレの育成組織における最高傑作と謳われ、2015年にトップ昇格を果たした三好は、かねてから海外挑戦への思いを強く持っていた。2008年にダノンネーションズカップへ日本代表として臨み、“世界”を痛感。そこから彼の目線の先には常に海外があった。

そんな彼にとって大きな転機となったのは2018年、2019年と続けて生まれ育った川崎を離れて積んだ武者修行の1年半だった。2018年の札幌ではプロ入り後初めて主力として1年間プレーをし、北の大地のサポーターの心をつかんだ。

多くのサポーターや関係者に惜しまれながら移籍期間満了となり、2019年は熱烈なラブコールを受けて隣町の横浜F・マリノスへの期限付き移籍を決断した。

結果的にこの選択は実を結ぶ。

アンジェ・ポステコグルー監督が展開する攻撃サッカーにハマり、開幕戦でもゴールを記録して主力としてプレー。6月に行われたコパ・アメリカでA代表に初選出されると、ウルグアイと対峙した第2戦で日本人として初めて、この大会における1試合複数得点を記録した。

そして、欧州への道が拓けた。

彼の挑戦はまだ始まったばかりであるが、今後の日本代表を背負っていく存在になることは間違いない。

今回は、そんな三好康児の単独インタビューを公開。川崎Fでのデビューから札幌を経て横浜FMへとクラブを変える中、タイトルでも触れたようにリーグでも大きな特徴を持つ3人の指揮官から学んだ攻撃サッカーが彼に与えた影響やサッカー観、そして海外への思いをお伝えする。

なお、これは結果的に三好が渡欧前に応じた最後の単独インタビューとなった。本マガジンが正式にクラブを通じて特定の選手のインタビューを申し込み、受理され実施されるのは今回が初。改めて、実施までの調整をして頂いた横浜F・マリノスには多大なる感謝を伝えたい。

(取材日 2019年7月29日 @ 日産スタジアム)


川崎での初優勝は悔しさが勝った

--2018年に初めて川崎から外に出ましたが、札幌での1年を振り返ってみてどうでした?
大きな経験でしたね。試合に出なければ分からないことが多いと思って移籍を決断しましたし、そこで監督の考えにも触れられて色々感じ取れました。その中でコンサドーレ札幌として過去最高の結果を得られましたから。
(※2018年はJ1リーグ4位と躍進。それまでの過去最高順位は2001,2017年の11位)

--主力として1年間出るのは初めてだったかなと、その中で体の作り方やコンディション面で学べたことが多かったのかなと。
そこはかなり苦労したところの1つです。特に札幌は移動の多いチームですし、他の地域と比べ寒暖差もあります。2日前にアウェイの地に入ることも多かったですし、終わって帰る時も移動時間が長かったので疲労も大きかったです。なので、食事面なども考えるきっかけになりました。川崎の時は寮にいたので任せきりのところがりましたが、考える楽しさも分かりましたし、試合に向けた調整のところで年間通して出ることでの難しさを改めて感じさせられました。

--27試合で3点という結果自体はどう捉えていますか?開幕前はもっと取りたいとも言っていたと思いますが。
足りないと思っています。もっと取れると思っていましたし、自分の足りない部分の再確認という形になりました。去年は収穫のある一年でもあれば、課題も多く見つかった一年だったなと。

--課題と収穫というと。
川崎の時よりも長い時間プレーする中で自分の特徴が通用するというところは手ごたえを感じましたし、自信持って試合に挑めるようになっていったのは自分の中で大きかったです。あとは、出場時間が多いからこそより結果を求めなければいけないので、自分のプレーがチームの勝敗に直結するということをより考えさせられました。

正直、川崎の時は主力選手がいる中で自分は途中出場が多かったのであまりそういうことを感じることは少なかった。自分が結果を残すことを考えていました、でも、自分がチームを勝たせるためにはチームのことを考えなければいけない。

これは札幌で強く感じたし、今のマリノスでも考えているところです。自分がいくべきなのか、仲間を使うのか。最善の状況判断が必要になってくるなとは感じています。

--札幌在籍時で大きかったのは、“自分のゴールで勝たせる”試合があったこと。川崎の時はあまりそういうことはなかったのかなと。
そうですね。川崎の時はチーム自体が強かったので、勝ち負けというよりは自分が次の試合に出られるかどうか。自分のことだけを考えなければいけない状況ではありました。川崎が優勝した2017年は主力で出ようと思って挑んだ年でした。

結果としてチームが優勝したことは嬉しかったですけど、個人的には素直に喜ぶことはできませんでした。

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