箸休めコラム~急に思い出した~

タイトル通り急に思い出したので、番組名は忘れてしまっているが、15年くらい前だろうか。
島田紳助が司会で、特番だったか、レギュラー番組だったかも覚えていないが、芸能人同士のドッキリ企画だった。

ドッキリの内容は、キャリアも知名度も近い、親しい芸人同士の片方が仕掛人となって、「急な出費で100万円必要なので、貸してくれないか?」と借金を頼んで、相手が承諾すれば、その友情は本物であるとする、という主旨だった。

全部で3組(だったと思う)の「友達同士の芸人」が出ていて、金を貸さなかったのは1組だけだった。
金を貸すことに応じた芸人は「男前」などと、その人間性を紳助から称賛され、貸さなかった芸人は「ケチ」を始めとする罵詈雑言を浴びせられていた。

しかし、友達に金を貸さなかった芸人は、果たして本当に「ケチ」なのだろうか?

その芸人の言い分は、「100万円という金額はやっぱりデカいし、返ってくる保証も無いと思った」という、至極真っ当なもので、少なくとも「ケチ」の烙印を押されるようなものではなかった。

そもそも、金を貸すかどうかを友情の真贋とする指標自体が疑問だし、「ケチ」と糾弾する紳助の方が筆者にはセコく見えた。
(ちなみに、タレント·島田紳助を見る、語る上で、この「セコい」という要素はプラスに働いていたように思う。実際の収入では紳助が上回っていても、松本人志のような「浮き世離れした大金持ち感」を回避していた)

結局はバラエティー番組内での1エピソードに過ぎないし、「芸人同士」というある種特殊な関係性もあって、金を貸さなかった芸人のイメージが低下することも無かったので、視聴者のほとんどはシャレで済ませたのだろう。ただ、その反面、「友達に金を貸すか、貸さないか」を友情の真贋とする価値観が、世間にも多少は根付いてることを何となく気付かされたわけである。

一般人の金銭感覚に照らせば100万円は10万円くらいに当たると思う。友達から「10万円貸してくれ」と言われて、二つ返事で貸すだろうか?筆者なら絶対に貸さない。こう言い切ってしまうと、ケチを通り越して冷血だと思われそうだが、筆者が友達と金の貸し借りをしないのは、友達を嫌いになりたくないからだ。

金が絡むと、人間関係はその様相をガラリと変える。返済が滞れば、相手のだらしなさが見えてくる。金の貸し借りさえしてなければ見なくて済んだ、友達の嫌な面が可視化されてしまうのだ。金のだらしなさは、その友達の良い所をあっという間に霞ませる。

まぁ、飲み代を割りカンする時に10円単位で計算していたら、やっぱり「ケチだな」と思うけど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?