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回想と回顧(その4)

「笑顔は最大の攻撃にして、防御。デパートの受付嬢がにっこり微笑みかけてくるのは、なんでだと思う?おかしなことするんじゃねぇぞ、って意味だよ」
K先生は、こういう名言を普段から実にさりげなく言う。本人は別に意識してなかっただろうけど、他愛もない雑談の中に真理を潜ませてくる。

僕が在学中に恋に落ちた女性は、そのK先生のゼミの卒業生で、大学の学生課の職員だった。
彼女(以下Aさん)のどういうところに惹かれたのか、ざっくり云うと外見ですね。見も蓋もない云い方ですが、好きな食べ物のどういうところが好き?と訊かれても、「美味しいから」としか答えられないのと似たようなものだと思って下さい。

まぁ、もうちょっとディテールを細かく云うと、真顔が穏やかなところが好きでした。
真顔が怖い人、今でも苦手なんです。
たまにいませんか?真顔の時、外界を全部シャットアウトしてるような表情の人。
普通に怖いんですよね。

ただ、Aさんは前述のK先生が云うところの、「笑顔で武装してるタイプ」でもあったと思います。
学生課の職員ですから、学生にも外部の訪問者にも笑顔を絶やさず対応してる感じでした。

初めて会ったのは、K先生の研究室にAさんが同窓生と一緒に来た時だったと記憶してます。それまでにも、学生課の窓口で対応してもらったことくらいはあったんでしょうけど、特に意識してなかったんじゃないですかね。

Aさんが研究室に来た時は、職員というよりは年相応の女性らしい、少しキャピキャピした雰囲気もありました。
僕が当時22才で、Aさんは26才。
向こうが4才上ですが、42才になった今の僕からすれば、26才は超が付くほど若いですよ。
向こうも今は46才ですけど。

いわゆる一目惚れではなかったんですが、その時Aさんと一緒に来た同窓生のことは、顔も名前も覚えてないので、Aさんのことが印象には残っていたんだと思います。

22才から25才くらいまで、僕はAさんに振り回されっぱなしでした。
向こうが振り回したんじゃなくて、僕が勝手にぐるぐる回ってただけなんですが。

次回、キャンパスライフ失恋編につづく

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