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第15節 ファジアーノ岡山戦

 こんにちは、私です。
 アディショナルタイムの高橋の劇的なゴールで1-0勝利となりました。今年は終了間際での劇的ゴールが多く、ジェフのJ2初期の頃である2010年や2011年を思い出します。まさしく2011年のこの頃の岡山戦では竹内彬が終了間際の劇的ゴールを決めて勝ちましたね。
 内容的にも後半はチャンスシーンを作らせず、良かったと思います。5連戦の最後の試合でしたが、選手たちはよく走っていました。

J2リーグ 第15節
ジェフユナイテッド千葉 1-0 ファジアーノ岡山

スタメン

・試合経過

 ジェフはスタメンを4人変更。新井一耀、秋山、田口、サウダーニャがスタメンから外れ、田口と秋山はベンチ外に。佐々木、米倉、小林、高木がスタメン入りし、ベンチには高橋と福満が入りました。見木と高木は流れの中で立ち位置を入れ替えていました。
 試合序盤は奪っても攻撃に移れないことが続きましたが20分頃からジェフがペースを掴み始めます。23分に末吉のシュート、28分に佐々木、33分に米倉、その1分後にチアゴとシュートシーンを多く作りますがゴールならず。一方の岡山も42分にセットプレーの流れからチアゴアウベスがシュートを放ちますが、新井章太のファインセーブでゴールを許しません。危なかったシーンはこれと最後の柳ぐらいでしょうか。岡山にチャンスシーンをあまり作らせませんでした。前半は0-0で終了。
 後半は前半よりも前から行けるようになり、岡山の運動量も落ちたことからジェフが岡山を圧倒します。49分の米倉のシュートは相手キーパーに防がれます。その後も見木のポケット侵入や末吉の仕掛けなどチャンスを作りますが、得点を奪うことができません。0-0のまま終了と思われましたが、93分にスコアが動きます。右サイドから高木→サウダーニャ→高橋と繋ぎ、高橋は福満へ縦パス。福満が溜めて、高木に渡し、高木がマイナスのクロスを入れると、最後は走りこんできた高橋が合わせてジェフが先制。このゴールはボックス・トゥ・ボックスの高橋の良さが出たゴールでしたね。その後、岡山のパワープレーで柳にゴール前でシュートを打たれますが、ジェフDFが体を張ってゴールを許さず。そのまま1-0でジェフの勝利となりました。

・改善傾向にあった守備の理由

 大分戦や徳島戦に比べるとこの試合はチャンスシーンをあまり作らせませんでしたし、クリーンシート達成をすることができました。

①高めのライン設定

 ジェフはハイプレスができず、後ろに重くなりすぎてしまうという問題がヴェルディ戦のときくらいからあり、大分戦や徳島戦でその問題点が露呈してしまいました。また、徳島戦では64分のシーンを見ればわかるように大きく間延びをしてしまい、これも問題となっていました。
 しかし、この試合はラインを高めに設定し、ハイプレスなど積極的な守備を見せていました。

 ラインを高くすることでハイプレスをしやすい状況を作り、ライン間の選手を潰しやすい状況を作っていました。
 また、このラインの高さは攻撃にも繋げることができます。直近の試合のジェフは後ろに重すぎて攻撃に移れず、ボールロストしてしまうシーンが目立ちましたが、この試合では高い位置でボールを奪ってショートカウンターを作り、相手を押し込むことができました。
 このような高めのライン設定で直近の試合の問題であった後ろに重すぎるということを解消することができていました。

②岡山と徳島・大分のビルドアップの違い

 前節、前々節の徳島、大分はビルドアップの上手いチームで可変型やDFのコンドゥクシオン、キーパーを使ったビルドアップなどで前進をしてきました。ジェフはこの2チーム相手に前からの規制がかからず、前進をされてしまい、押し込まれる時間が続いてしまいました。
 一方で岡山は右SHの田中が絞ってくることもありましたが、基本的に4-2-3-1の形を崩すことなく、ビルドアップをしてきました。
 岡山のビルドアップは正直良いとは言えず、問題点もありました。

 岡山はDFライン4枚とボランチで後方からビルドアップをしていました。前半はチアゴvsCBとボランチの数的不利が作られてしまい、もう少しここで助けてあげることも必要だと思います。岡山のCBがボールを持つとSBへのパスの選択が多く、前半はこれがジェフのプレスのスイッチになっていました。また、CB-SBの距離が遠いため、ジェフのスライドが間に合い、ボール奪取をしたり、押し出すことができていました。
 岡山は前線に起点になれるミッチェルデューク、左サイドには推進力のあるチアゴアウベスがいましたが怖かったのはこれとセットプレーだけでした。トップ下のムークもあまり関わってこないため、サイドに展開してもその先がなく、取られるか、戻すかが多かった印象でした。
 岡山はこの試合が極端に悪かったり、ジェフのラインの高さが効いていたりしたのかもしれませんが、ジェフの守備が改善傾向にあったことやチアゴが守備面で悪目立ちしなかったのは岡山のビルドアップの完成度が低かったことも関係していたと思います。
 また、ビルドアップの完成度の高い徳島や大分はまだ守備戦術の理解が進んでいないチアゴを先発で出したジェフにとってはボロが出やすい相手だったとも言えます。

・攻撃の改善と課題

 徳島戦や大分戦に比べるとチャンスシーンを多く作ることができました。ただ、攻撃面での課題もまだまだあります。

①起点を作った佐々木翔悟

 佐々木が久しぶりにスタメン入りしましたが、攻撃でよく効いていました。やはり左CBには左利きを置いた方がボールの循環で違いが出ますね。
 佐々木の良さはキック精度で攻撃で起点となったり、陣地回復などで大きく貢献していました。19分の米倉へのサイドチェンジのロングボールは見事でしたね。ただ、ロングボールの前の予備動作が大きいため、相手DFにとっては準備しやすいのかなと思います。もう少し予備動作を小さくし、相手にばれにくい蹴り方をすることでチャンスに繋がってくると思いました。

28分

 28分のシーンではチアゴの落としを受けて、佐々木がシュートを打ちました。このシーンも前で大外の末吉に渡してインナーラップをしていました。このシーンのように佐々木はインナーラップをすることが多かった印象でした。佐々木のキックも効いていましたが、このインナーラップもよく効いていたと思います。
 左CBで使われていた鈴木大輔は主に大外での攻撃参加が多く、左WBが内側でもプレーできる秋山ならまだ良いと思いますが、大外レーンで持ち味を発揮する末吉だとレーンが被り、渋滞を起こしてしまうことが多かった。しかし、佐々木はインナーラップや内側でのサポートをするため、末吉とのレーン被りが起こらず、いつもよりスムーズにボールを動かせていました。大外でもプレー可能だと思いますし、末吉だけでなく、秋山との共存も可能だと思います。
 佐々木を使うことでキック精度やプレーエリアが末吉と被らないなど良いところもある一方で判断力やプレス耐性の低さなどの課題もあります。スタメンで使われた栃木戦では相手のプレスに苦しみ、良いパフォーマンスができていませんでした。次の対戦対手は秋田で前線に放り込んでハイプレスをしてくるチームです。佐々木にとって苦手なチームだと思いますがここで良いパフォーマンスをしてレギュラーを勝ち取ってほしいですね。

②ポケット(ニアゾーン)を突く攻撃

 この試合ではペナルティーエリアの外側のエリアのポケット(ニアゾーン)を突くことが何度かありました。実際にゴールシーンもポケットで高木が絡んで生まれたゴールでした。

ゴールシーン

 相手の運動量も落ちていましたが、高木がポケットに入り、相手のDFラインを押し下げ、高橋のゴールを演出しました。

54分

 54分にも見木がポケットを突いてゴールに迫りました。このポケットを突くことで相手を押し下げることができる、シュートとクロスの両方の選択肢を持てる、DFがボールウォッチャーになりマークが外れやすい等々、利点がたくさんあります。チームとして意識的に狙っているのかはわかりませんが、ポケットで何度かボールを受けることができていたのは良い傾向にあると思います。

③可変時のCB張りすぎ問題

 図のように可変したCBが張りすぎてしまうことがこの試合では何度かあり、他の試合でもこの現象が起こってしまっています。このように張りすぎてしまい相手に寄せられると、パスコースが縦しかなくなってしまうため、同サイド圧縮されてボールロストしやすくなってしまいます。また、末吉からすると真後ろからパスが来るため、受けにくい状況になります。

 上の図のようにDFライン全体で絞ることで選択肢を増やすことができます。ボールの循環も良くなるのでこのような立ち位置は効果的だと思います。

④ボランチのポジショニングとリスクを冒す動き

 ボランチ寄りすぎ問題は悪目立ちはしませんでしたが、この試合でも起きていました。町田戦のレビューで詳しく取り上げているためリンクを貼っておきます。

  町田戦の時よりも同サイドに露骨に寄ることは少し減っていると思いますが、この試合でも何度かボランチ2枚で寄ってしまうことがありました。ボランチが真ん中にいないとサイドチェンジの中継地点を作れませんし、ロストしたときに真ん中のスペースを使われてしまうため、修正が必要だと思います。
 ボランチが寄ることで生まれるデメリットを消す改善策としてミンギュを攻撃時に上げるということを書きましたが、他の方法も考えてみました。

 逆サイドのCBを上げるという改善策です。ミンギュを前に出す方法とあまり変わりませんが、これは実際に熊本がやっています。
 熊本の試合はアウェイのヴェルディ戦の前半しか観ていませんが、左CBのイヨハが真ん中で中継地点を作るシーンがよく目立っていました。右CBの選手も同じような動きをしています。熊本ではCBにサイドチェンジの中継地点作りの役割を与えていて、スムーズにボールを循環できるように整備されています。熊本は同じ3バックで見習うべきところも多く、参考にするべきチームだと思います。
 ボランチのポジショニングについての課題を書きましたが、リスクを冒す縦方向への動きも改善すべきシーンがありました。

28分

 28分の佐々木のシュートの直前のシーンです。見木が降りて2枚釣りだし、スペースを作りますが、そのスペースに動く選手がいませんでした。
 ここでは小林が裏抜けすべきだったと思います。熊谷は真ん中にいて後ろの枚数も足りているため、小林がリスクを冒すべきでした。

 佐々木は良いキックを持っているため図のように裏抜けすれば、チャンスに繋がったと思います。
 このような連動した動きはまだまだ足りないと思います。選手のアイデアに頼るのではなく、監督・コーチ陣で攻撃の状況に応じた決まり事、原則を設計してあげることが必要です。

・最後に

 前半序盤のように守備の嵌まらない時間もありましたが、ラインを高く設定し、前からプレスに行けたこと、取りどころがはっきりしていたことが勝利の要因だと思います。本来の姿を取り戻せた試合でした。
 次節は秋田戦です。異質なチームでジェフの苦手なタイプのチームだと思います。今年のJ2は例年以上の混戦で1試合の結果で順位が大きく変化します。ここで連勝して着実に勝点を積み重ねていきたいですね。私はその次の九州連戦は現地観戦の予定なので良い気分で九州に行きたいです!勝ちましょう!

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