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戦略が全て 瀧本哲史 by エシモの備忘録

前回の「僕は君たちに武器を配りたい by エシモの備忘録」に続き、これまた瀧本先生の著書「戦略が全て」をご紹介します。

◆この本で得たい知識
・日本人として売り出せる魅力
・コモディティ化された労働者から抜け出す方法
・資本主義というゲームの攻略法

◆備忘録

日本人として売り出せる魅力

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・無印良品のイズムが世界でウケる理由
商品、陳列、店舗、それぞれ統一されたシンプルさが、日本の禅の精神につながる美しさとして評価されている。
→世界中で定着した禅の精神は日本のブランドである。無印やユニクロの陳列ってアートかも。

★日本の才能(ポジショニング)
東洋西洋の違いを超え、技術と伝統を融合させることこそ、他国と差別化可能な日本の才能である。

コモディティ化された労働者から抜け出す方法

・高い報酬を得るには
とるべき行動は、資本=儲ける仕組みの形成に関わり、リスクとリターンをシェアすることで、大きな分け前を得られるようにする方法である。
→仕組みは大航海時代と同じ。自分で起業するか、ベンチャー企業の創業メンバーになってストックオプションをもらうとかの方法がある。

資本主義というゲームの攻略法

・本当に効果がある戦略は、ありふれた考え方ではなく、少し違う角度で世の中を見たり、もう少し深い部分や裏の面まで追求しようと言う思考態度の中から生まれてくる。手法論に拘泥するのは本末転倒である。
→身内だけで出したアイディアではなく、他業界のルールを取り入れたり、物事がなぜ求められていて、他のもので代替え可能か考えたりすることが正しい戦略だ。
ex)大平洋戦争時、アメリカ軍は前半戦で日本軍に思いのほか苦しめられたため、今までのスタイルを反省し、空からの攻撃に戦略を変更した。
メモリ半導体の品質競争に敗れたインテルは、早々とメモリ業界から撤退し、CPUに特化した。今川義元の軍に兵の数で大きく負けていた織田信長は、桶狭間に戦力を集中投下して義元本人を仕留める戦略に賭けた(どの組織もトップをいきなり失うと混乱状態に陥り無力化する)。
トップの判断が大事だ。

その他

人間の行動は戦略(ストラテジー)、作戦(オペレーション)、戦術(タクティクス)の3段階に分かれている。作戦ミスは戦略変更で補えるが、戦略ミスは組織全体の命取りになる。

ex)狩猟民族時代のマンモス狩り

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戦略
一度に大量の仲間の空腹を満たせるマンモス一頭を男手を集中投下して狩る

作戦
4方向からマンモスを包囲して落とし穴に誘う

戦術
武器は長距離まで飛ばすことができる投げやりと火を使用し、落とし穴へ追い込む。落とし穴の中には鋭い石と尖った木の枝を忍ばせる。マンモスが落とし穴に落ちたら一斉に投げ槍を急所に刺して息の根を止める。

各国の組織力の皮肉
最強の軍隊はアメリカ人の将軍、ドイツ人の将校、日本人の下士官と兵だ。最弱の軍隊は中国人の将軍、日本人の参謀、ロシア人の将校、イタリア人の兵。
→日本人は現場頼みで戦略下手ってことを揶揄されている。第二次世界大戦の頃から変わっていないのかも?

オーナー企業が活躍する理由
グローバルに勝ち続けている戦略的な企業はいくらでも存在している。実はこうした企業はオーナー企業であることが多い。経営者が環境変化や変曲点に対して戦略的な意思決定をし続けてきたことが共通点にある。

戦略思考の育て方
戦略思考を培うには多くの問題を解いたり、実践の場に出たりして、その成否を検証するプロセスを何度も経験することが重要である。
→まずは小さく始めていいので、副業などで仮説検証対策を繰り返せってこと。またはベンチャー立ち上げに参画とか。

なんにせよ、メソッドや理論を学んだだけでは身に付かない。それを実際に用いて自分ができるかどうか試し、自己修正を繰り返していくことで初めて能力が向上し、それを我がものにできる。

結論

この不安定な現代の資本主義社会で安い給料で買い叩かれたくないのであれば、コモディティ人材から抜け出す努力をするしかない。資本を形成する立場になりなさい。具体的には副業から個人事業主としてビジネスを始めるか、ベンチャー企業や新規プロジェクトの立ち上げメンバーとしてストックオプションをもらうかなどの方法がある。

以下各章まとめの抜粋

1.ヒットコンテンツには仕掛けがある
・人を売るビジネスには、成功の不確実性、稼働率の限界、交渉主導権の逆転(人気タレントの立場が経営層より強くなる)の壁がある。
・プラットフォーム(AKB48などの派遣アイドルシステム)を作れば、リスク軽減と持続可能性の向上が期待できる
・才能勝負の世界ほど才能は事後的にしかわからないので、AKB方式で選ぶべき
・見える仕事には顔となる人材を、見えない仕事にはコモディティー化された人材を使う
・選抜を生き抜く厳しい競争に参加することがコモディティー化した人材から抜け出す道である
・プラットフォームビジネスの関係者は顧客、管理者、プレイヤーに分けられる
・管理者の仕事は集客、ビジネスモデルの提供、プラットフォームの管理だ
・人、モノ、カネ、情報をネットワーク化し、そのハブとして利益を上げる
・強いプラットフォームは、利益を独占し、リスクを回避できる
→YouTubeとかInstagramとかまさにそうだよね
・リアル空間においてもプラットフォームビジネスを構築することが可能である
・ブランドの打ち出し、スタイルやクオリティーの提案が成功の鍵
・プレゼンテーションは聴衆が何を求めているかで見せ方が決まる
・固定観念や過去の経験にとらわれず、時代や状況の変化からメリットを導き出す
・オリンピックは千載一遇の日本ブランド再構築の機会である
→日本ブランド再構築の大チャンスが失われたんだね
・日本独自のポジショニングは東西を超えた、技術と伝統、発展と環境の調和、融合である
・時間とともに成長するブランド価値こそが日本再生のカギを握る

2.労働市場でバカは評価されない
・給与の差は所属企業が社員に与える資源量で決まる
→大企業の社員は1人では扱える資源量が大きいから給料が高い
・儲ける仕組みの外にいるコモディティーは高い報酬を与えられない
・資本主義は資本家にお金が集まる仕組み
・漫画が描けたり動画を編集できたりなどの貴重なスキルを持っていても、より大掛かりな儲ける仕組みとの関係ではコモディティーになってしまう
→コンテンツメーカーは今後10年位でAIにとって代られる。仕組みを作れ!
・RPGには職業システムやショートカットなど資本主義社会の世界観、働き方が密かに組み込まれている。不確実な状況下で効率よく解を見つけ、自分の能力を差別化(勇者、魔法使い、賢者など)し、組織目標に貢献するというのは資本主義のルールと一致する
・RPGのルールを内面化させている人は、実際のビジネスでも良いパフォーマンスを上げられる可能性が高い
・スマホの課金で決まるゲームをやるより、勝ち方が多様な麻雀やポーカーをやるべき

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・企業は、商品市場、資本市場、そして人材市場で評価されている
・人材市場とは、内部情報を元にしたインサイダー取引なので内情がわかる
・優秀な人材が次々と辞めていく企業は傾きかけている可能性がある
→元〇〇会社出身という肩書の人が多数名活躍し出したら、その〇〇会社は危ない
・人の移動は定期的にモニターし、指標となる人物には定期的に会う
・熟知している業界で足りないビジネスを始めることで、起業の成功性が高まる
・上司を取り込んで仕事の主導権を握る技を身に付ける

3.革新なきプロジェクトは報われない
・楽勝できる土俵を見極め、徹底的にそこにリソースを投資する
・場を作ることで、人間が刺激し合い、ネットワークを作り、能力を高める
・舞台裏の人への投資が表舞台の人の成果につながる
・資金援助を切実に必要としている人に直接投資することが、カネの最も効率的な使い方
・合議制、効率性からイノベーションは生まれない
・選択と集中はハイリスクハイリターンのチャレンジ案件をつぶしてしまう
・社会の企業も個人も、一見非効率でみんなが賛成しない戦略的な投資を一定の比率で行う必要がある
・組織の方向性はトップではなく、トップが外部から招く人材で占うことができる
→内閣の総理を見るのではなく、内閣参謀の人材を見て国の行方を占うことができる。
・トップマネジメントにとって、異見を持つ多様な人材との関わりがすぐれた意思決定を生む
→三国志の曹操や、唐の皇帝煬帝は異見を取り入れる心の余裕があったから強かった
・付き合っている人間が同じような人間ばかりでは新しいものは生まれない
・北海道のように未来を読むための縮図や実験場を見つける
→札幌の一極集中、中国人による田舎の土地の買収は今後の日本の将来か?
・ドラスティックな変化は新しいビジネスのチャンスになる
→現代の大学の講義では、プロジェクターを見る生徒はほとんどおらず、みんながスマホやタブレットで授業の資料を見ている。
・日本人の知恵の部分を輸出すると言うビジネスモデルには商機がある
→北海道の農地開拓技術は、今ではオーストラリアの荒地の開拓ビジネスに貢献している

4.情報に潜む企みを見抜け
・ネットメディアはスクリーニング機能がないものが多いため、情報の精度は低い
・ネットが炎上するような情報の方が収益を読みやすい構造がある
・怪しげな情報に引っかかる少数の信者を見つけることが、ネットビジネスにおいては重要な戦略となっている
・危険な思想でもごく1部の共感者が現れる恐れがある
・新聞などのメディアの取材は、結論ありきのものが多い
・誤報が増えたのではなく、発覚する機会が多くなった
・ネット媒体との競争で、質の低い記事や噂レベルの情報に振り回されることが増えた
・読み手側は自説と反対の考え方を検証すると言う自衛策を取ろう
・より破綻のない主張を支持すると言う意思決定も1つの手だ
・変換は日常の些細なところから始まっている
・環境の変化に応じてコミニケーションやビジネスのやり方は自然に変化する
・昔を知らない若い世代の方が、新しい環境を構築しやすい
・古い世代は未来の変化に敏感になり、若者とのコラボレーションを図るべきだ
・現在は情報をなるべく制限し、自分に都合の良い情報だけを吸収する風潮にある
・自分とは違う立場の考えがあり得ると知ることで狭い社会認識から脱却できる
・社会のつながりを再構築するには、普遍的な価値、教養を手に入れる必要がある
・イノベーションを生むには異なる複数の考え方を組み合わせろ

5.人間の価値は教育で決まる
・企業の採用には育成型のシステムA、競争型のシステムBがある
・自信があり、優秀で才能のある人材は、システムBに集中する
・企業は大学教育に求めているのは、思考力、多様な視点、コミニケーション能力である
・部活がその人のその後の人生を左右する事は意外と多い
→野球部は自らのアイディアよりも上司の指示に絶対従う大企業の中堅ポジションになったりする。ラグビー部は上場企業の社長や外資系の重役などアグレッシブで責任の重いポジションにつくことが多い。
・人は社会に出てから所属した会社、業界、組織の暗黙のルールを知らないうちに身に付けている
・自ら所属している部活の特徴、ルールを意識し、その変化に敏感であるべき
・英語入試によって、論理的思考力や判断推理力がある程度測定できる

7.政治は社会を動かすゲームだ
・資本主義は常に勝ち組と負け組を作る
・救済すべきなのは負け組の個人であって企業ではない
・東京と地方の格差だけではなく、地方の間にも格差が生じている
・地方自治体も提供するサービスをめぐる競争によって淘汰されるべき
・移転費用を援助して、住民の足による投票を行わせ、自治体の競争を促すべき
・現在の日本において政党や政策(マニフェスト)で差別化するのは困難である
・各党はニッチな政策か、ブランドイメージで差別化を図るしかない
・選挙を消費財マーケティングと捉えると全体の構図、問題点がわかりやすい
・細やかな政策より、ワンフレーズのインパクトや感情的なストーリー性の方が大衆受けは良い
・コモディティー化、マンネリ化によって、組織は構造的に無能な人であふれるのがセオリー
・先進的な政策に通じていて、国政の政治家にネットワークを持つ地方議員を、市民のためのロビイストとして活用することができる

8.戦略を持てない日本人のために
・戦略で勝つとは、横一列の競争をせず、他とは違うアプローチを模索すること
・日本の組織の多くは、意思決定能力の低い人が上に立つ構造になっている
・理論や手法を学ぶだけでなく、実践の場を何度も経験することが重要だ
・日常的に身の回りのことを戦略的思考(他業界のルールや文化を取り入れられないか、他のもので代用できないか、ニーズの背景はなにか)で分析する習慣を身に付けよ

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