企業価値に注目した「投資」を毎月学びたい人にオススメの月次レポートを選んでみました

月次レポート研究所 という試みを2021年9月から始めました。研究所のパートナーは吉田喜貴さんです。

テキスト記事だけでなく、ポッドキャストもつくっています。↑のnoteマガジンの記事の数は100を大きく超えました。

ここでいう「月次レポート」とは、投資信託を運営している投資会社、運用会社が毎月発信している、月次の報告書です。

月次レポート研究所の活動、そして自分自身の毎月の投資行動の過程で、結構な数の月次レポートを毎月、読んでいます。

月次レポートは投資信託、また、会社によって質量、かなりの大きなバラつきがあるのが実状ですが、中身の濃い月次レポートがじわじわと増えています。

中身の濃いレポートに共通しているのは、短期的な株価、市況の動きについての報告はほどほどに、ごく簡潔にとどめていることです。レポートのメインとなっていのは、実際に投資している会社の事業、ビジネスモデル、提供している価値。それらを投資判断でどのように活用したか、また投資を継続するに当たりどんな点を見守っていく必要があるか、についても具体的に述べられることがあります。

僕にとっての「投資」とは、投資している対象は自分自身が関わっている、会社であればその営む事業に参画していることです。投資からもたらされる果実を決めるのは、その対象が創り出した「価値」です。それがあってこその「価格」です。したがって「価値」が何かをしっかりと掴むことが極めて重要と感じています。

つまり、上記の内容で構成されている月次レポートを毎月チェックすることで、企業価値に関心を向ける株式投資についての学びや発見を得ることができます。最初は難しいかもしれません。でも、毎月読み続けることでその理解が深まっていくと思います。

そこで、企業価値に関心を向ける株式投資を毎月学ぶのに役立つ月次レポートを発信している投資信託を選んでみました。

結い 2101 (鎌倉投信)

鎌倉投信さんの発信される『結いだより』です。

運用状況の月次開示とあわせて、投資先の会社の情報、イベント情報、コラムなどを掲載しています。投資家の皆様、投資先の企業、鎌倉投信を結ぶことを目的として、投資のご経験が少ない方にもわかりやすい内容を心掛けています。

投資信託を通じて、投資している会社と関わっていること、その事業に参画していることを実感できるコンテンツが数多く収載されています。株式投資とはその会社の関係者になることなんだ、と実感させてくれます。

https://www.kamakuraim.jp/_files/10-327/yuidayori202305.pdf

コモンズ30ファンド (コモンズ投信)

コモンズ投信さんのレポートの最新号からのスナップショットです。

https://www.commons30.jp/pdf/fund30/report202304.pdf

投資先の会社について具体的なコメントが収載されています。取り上げた2社のコメントでは「株価」は触れられていません。どちらも業績や事業の内容、今後の展望です。過去のレポートを見ると、株価に言及されていることもありますが、その頻度は年々減っているように感じます。「価格」よりも「価値」。その「価値」の源になっている事業への関心を強めてくれます。

スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)

『厳選投資』の月次レポート、このレポートを毎月読むようになって、他の月次レポートの見方、読み方も変わりました。

現在、鎌倉投信さん(2010年3月にスタート)、コモンズ投信さん(2009年1月にスタート)は投資信託がスタートして以来の月次レポートが全て閲覧できるようになっていますが、実はこのようなケースは極めて稀です。

過去の月次レポートは、その投資信託がどのように運用されてきたのか、その歴史、プロセスを確認することのできる非常に重要な資料です。

しかし、ほとんどの投資信託は過去の月次レポートはごくわずかしか閲覧できないのが実状です。最新のものしかWebサイトに載せていないファンドが大多数です。

そんななか、スパークスさんは違います。過去の月次レポートを数多く閲覧可能にしてくれています。たとえば、この『厳選投資』です。

『厳選投資』の場合、2016年6月末基準のレポートまで遡ることができます。

このレポートの中身が非常に濃いのです。

2023年1月末基準の月次レポートのスナップショットです。

https://www.sparx.co.jp/mutual/uploads/pdf/gen_202301.pdf

先日の株主総会が注目を浴びたセブン&アイ・ホールディングスさんについて、非常に詳しく分析された内容が収載されています。

また、過去の月次レポートを振り返ることで、この月次レポートに掛ける熱量がどんどん高まってきたのを感じ取ることができます。遡ることができる最も古いレポートも十分な熱量ではありますが。

おおぶねシリーズ

フルサイズのレポートは現在、受益者限定になっています。おおぶねシリーズのレポートも、企業価値について考えるためのヒント、学び、発見が毎月提供されています。毎月の学びを積み重ねることで、普段の仕事の視点もふやしてくれています。


これらのレポートから感じるのは、投資先の会社の事業を、その事業が創っている価値を、伝えようとする熱意です。毎月その熱を浴びることで「企業価値」に対する関心が強まって、調べたい、学びたい、考えてみたい。毎月のレポートが楽しみになってきます。個人の感想ですけれど。

企業価値に注目する株式投資を学びたい、体得したい投資家の皆さんにとって、熱のこもった月次レポートは、毎月の学びの助けになる。そう思います。

企業価値を探究する楽しさを熱く伝える月次レポートがもっともっと増えるといいですね。

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