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投資信託だからこそ、投資信託でしか得られない「体験」

先日つくった記事です。

この記事の最後をこう締め括りました。

投資信託が提供する「体験価値とは何ぞや」というところに思考が向かいました。それについては、またあらためて記事をつくってみようと思います。

ということで、投資信託が提供する「体験価値」について、書いてみます。さらに絞り込んで、投資信託だからこその「体験価値」を考えてみます。

投資信託を保有すると、体験できること。多くの人が真っ先に連想することは、

保有しているファンドの評価、時価が騰がったり、下がったりする

ということでしょう。増えた、減った、儲かった、損した、という体験ですね。

投資信託をつくっている人も、売っている人も、保有している人も、ほぼ全ての人たちがその「体験」を話題にしています。投資信託の月次レポート、ブロガーの人たちの記事も。

しかし、当たり前のことですが、自分の資産の時価が増えた、減った、あるいは、儲かった、損した、という類の体験は、投資信託でなくても可能です。上場会社の株式を保有したり、(全然増えたって感じられないでしょうが)預貯金でも増えた!はあったり、FX取引、競馬等のギャンブルでも体験できます。つまり、資産の時価が増えた、減ったという体験は、”投資信託だからこそ”ではない、ってことです。

投資信託の最大の特徴は、何十、何百、場合によっては何千の投資先に分散投資するというところにあります。1万円分、投資信託を買うと、そのお金が分割されて、投資先の会社の株式に換えられます。結果、「オーナー」になるのです。投資信託によっては、投資先を取っ替え引っ替えしているものもあります。先月、A社の「オーナー」になったんだけど、今月には別のB社の「オーナー」なんだよねー、という投資信託もあれば、何年も「オーナー」で居続けるような投資信託もあります。

以前にこんな記事をつくりました。

お金で投資信託を買うと、そのお金は実質的にその投資先の会社の株式と交換されます。ですから、やっぱりお金が働いているわけではないのですが、「オーナー」としてその会社の関係者の一人となっているのです。しかし、多くの投資信託では、どの会社の「オーナー」になっているか、がよく分かりません。インデックスファンドであれば、数千という会社の「オーナー」になっているのです。日本中、あるいは、世界中の会社の「オーナー」なんですけれど、そのファンドを保有している人のほとんどは、その会社個々がどんな事業を営み、どんな価値を生み出しているか、は知らない、興味が無い、というか、そもそもそれは無理だろう、と思われます。結果、ファンド自身の評価、時価が増えた、減った、それが「体験」になってしまい、その時価に最も大きな影響を及ぼすフィーに関心が集中することになるのでしょう。

一方、ファンドマネジャーが投資先を選別するアクティブファンド 。こちらも、ファンドを保有している投資家が、どこの会社の「オーナー」になっているのか、が十分に把握できないケースが非常に多いのが実状です。当然ながら、自分が投資先の会社の「オーナー」という実感、自覚は持つことはほぼ不可能です。

私は思うのです、ここに、投資信託だからこその「体験」があるのだ、と。

「この人たちにお金を託してみたい」と感じられるプロのチームが、調査・分析を経て厳選の上、投資した会社の「オーナー」になり、その会社の事業活動、価値創造の関係者になっているんだ、と実感できる。その実感は時に新たな視点や出会いをもたらすことがあります。

「こんな会社があったの?!」

「あの会社、こんな製品つくっていたの?!こんなサービス提供していたの?」

「あの会社はここが同業他社と違うのか?!」

こうした「体験」は、投資信託でしか得ることができません。こうした「体験」をデザイン、演出し、「なるほど!」と実感させられるかが、アクティブファンドを運営するチームの腕の見せ所になるわけです。

投資先を厳選しているアクティブファンドが新しい投資先を公表したら、とてもワクワクさせられます。どんな会社がその基準をクリアしたのだろうか、どのように基準をクリアしていると判断されたのか、と興味をそそられます。そこでしっかりとそれらについて説明がなされていて「なるほど」と納得感が生まれると、それが信頼を深めていくことになります。

こうした「体験」を求めている人なんて少数派に過ぎない、業界の人たちはきっとそう考えているでしょう。投資家は、騰がった、下がったにしか、興味が無い、絶対に間違いない、どうせ、基準価額しか見てねーよ、そんな「体験」求めてないよ、と。

私はこの種の思い込みこそが、投資信託が世の中に広がらない、愛されない理由の一つだと考えています。投資信託でしか提供し得ない「体験」について真正面から向き合っている会社が、ほとんど見当たらないからです。

投資信託を通じて厳選された会社の「オーナー」になっているんだ!

この「体験」を提供しようと、真摯に取り組んでいる投信会社を、これからも積極的に応援します。


最近、レポート、発信をしっかりとやろう、という会社もちらほら出始めているような感じもあります。その意識の変化そのものは、非常に高く評価すべきことだと思っています。が、一方で、やっぱり「中身」あってこそ、とも感じます。

今朝の小川さんの記事を拝見して、「そうだよね」って深く頷きました。

量はほどほどにあるけれど、、、

空っぽ感。

発信するぞ、という意識が見られるだけに、余計に感じてしまう、というか。

投資先を短期間に取っ替え引っ替えしている投資信託は、無理に頑張って伝えようとしなくてもいいんじゃないかなあ、と個人的には感じています。

揺れ動く影(株価)だけを見て、実体を把握することができるか。
https://www.panrolling.com/books/gr/gr72.html

流石に「株価だけ」で判断しているプロのファンドマネジャーはほとんど居ないでしょう。でも、企業の実態価値を調査、分析し、十分な精査を基にして「オーナー」になると判断していれば、短期で取っ替え引っ替えする(1年経ったら、ポートフォリオが全然違っている、ほぼ総入れ替え)なんてことは、通常、無いでしょう。そういう行動は「オーナーになる」という体験とは程遠いですよね。そういう行動がメインのファンドの人たちが伝えることができるのは、結局のところ相場の予想とか、「騰がった、下がった」とかくらいになってしまうような気がします。

個人的な感想ですけれど、

投資信託を通じて厳選された会社の「オーナー」になっているんだ!

その「体験」をデザイン、演出して、実感してもらいたい!そう考えているファンドのチームの皆さんにこそ、「伝える」にもっと、もっと積極的に取り組んで欲しいな、と考えています。

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