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参入障壁、競争優位、企業文化。 #アクティブファンド の役割と可能性。

先日も取り上げた対談です。

NVICの奥野一成さんの「利益も影」。

https://www.youtube.com/watch?v=Yb5N6cisnIE

この対談の中で奥野さんが特に注視しているのは、投資先、投資を検討している先の事業の持つ、参入障壁 とコメントされていました。

奥野さん率いるNVICの皆さんが運営している、日本の会社を投資対象にしている投資信託、 #おおぶねJAPAN 。12月発信の月次レポートで詳しく取り上げられていたのは投資先の #塩野義製薬  でした。

塩野義製薬 さんの業績推移です。

売上高は右側縦軸、利益は左側縦軸が目盛となります

2019年3月期で売上高、利益ともにピークに達して、その後は少しスローダウンしている印象です。

ROAのRは営業利益。総資産回転率の目盛は右側縦軸です。

2021年3月期の営業利益率は39.5%と非常に高い収益性です。2019年3月期末の総資産はIFRS移行により2018年3月期末よりも2,270億円増えたため、総資産回転率が下がりました。

頑健なバランスシートですね。

こうした数字も奥野さんのコメントからすると「影」なのでしょうね。

今回のレポートでは、塩野義製薬さんの「選択と集中の巧みさ」「特許等の知的財産に対するユニークな取組」を競争優位として紹介されています。こうした要素は他社との違いを生み出す参入障壁に近いものと捉えることができます。しかし、今回のレポートのメインは、塩野義製薬の手代木社長による京都大学での講義内容でした。

”経営改革の裏側” については2018年3月の東証での講演の資料でも詳しく説明されています。

転換期Ⅲ で示されたのが下のスライドです。

https://www.jpx.co.jp/equities/listed-co/award/nlsgeu000002dzl5-att/shionogi_document.pdf

さらにアップデートされた中期計画からです。

https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/investors/ir-library/presentation-materials/fy2020/p200601sts.pdf

NVICさんのレポートからあらためて感じたのは、企業文化の重要性です。

参入障壁、競合優位を、ある時点で、しっかりと築けていても、事業環境の変化は非常に早く、激しいものがあります。障壁やポジションを維持し、さらにより強化できるか、は企業文化に拠るところ大だろう、と。

企業文化が参入障壁を堅牢にしたり、競争上のポジションをより有利な場所に導く、そうしたことを考えると、
企業文化の影が利益だったり、市場の評価(株価)なのかもしれない
そんな風にも思いました。

ろくすけさんがブログで #前田工繊  さんの株主総会の様子を紹介されていました。

社外取締役の 山田さんが企業文化のことを強調されているのが印象的でした。

鎌倉投信さんと投資先の #サイボウズ  さんとの対話の様子がそのまま公開されていました。

こうした機会を通じて企業文化の一端を垣間見ることができます。

NVICさんのレポートにある「同じ船に乗る立場としての⻑期的な企業価値創造・向上に向けた問題意識の提起、対話」。こうした対話が企業文化を知ること、理解することに留まらず、さらに磨き上げていくことにもつながっていくかもしれません。投資先との対話は自分ごとになりますよね。

今日、こんな記事 が出ていたようですが、まったくピンと来ない内容でした。株価、価格、値札の話に終始していて「会社が好き」という要素は全く感じ取れませんでした。端的に言うと、すごーく他人ごとだと感じました。

「会社が好きな投資家」が一人でも増えるよう、ユニークな企業文化を持ち、独自のポジションから社会に価値を提案し届ける会社を紹介したり、その文化を一緒に磨き上げる存在としてアクティブファンドの役割、可能性はとても大きなものがあるように思います。

一緒に書いておこう!と思っていたのに書き忘れていたこと。

今読んでいる途中の ベイリー・ギフォードさんの”後を振り返って前に進む の2021年10月版。こちらでも企業文化の重要性が具体例とともに詳しく述べられています。「会社が好きな投資家」のみなさん、ぜひご一読を!


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