「共創」―プロダクトとしての投資信託
アクティブファンドはインデックスファンドに勝てないっていうけど『xxxxファンド』もやっぱりそうなんですか?
気になるけど調べ方がわからない。
こんなツイート(ファンド名を伏字にしてます)を見かけました。
『xxxxファンド』の運用成果・パフォーマンスのモノサシになるインデックスファンドがこちらです。
ここ最近、同じようにモノサシとなりえる日本国内で気軽に買えるインデックスファンドが出来ていますが、運用歴が短い。そこで、この10年超の運用実績のあるETFを使いました。
2008年3月末を基準に月末の基準価額の推移をグラフにしたものです。このグラフは2008年3月末に一括投資した100が2019年3月末にいくらになるかというグラフです。『xxxxファンド』が2.68倍になっている一方、ACWIは2倍そこそこです。なお、ACWIは分配金に課せられる税金を考慮していませんので実際の投資家の手取りはさらに悪化することになります。
ただ、これは2008年3月末に始めた場合ということなので、これだけではほとんど参考になりません。始めるタイミングによって運用成果は変わってしまうからです。
そこで1年リターンの推移を調べてみます。2009年3月から2019年3月まで121個のサンプルがあります。
接戦のように見えますが、実は『xxxxファンド』が86勝しています。
マイナスリターンになったのがACWIが36回の一方、xxxxファンドは31回ということでした。
5年リターンを見ると、その差はさらに顕著に。
なんと、73個のサンプルありますが、xxxxファンドが全勝です。
と、ここまでご覧になって、上の3つのグラフ「だけ」で
xxxxファンドってどこで買えるの?
こう考えているアナタ、悪いことは申しません、ACWIに類するファンドを選んだ方が良いでしょう。
上記の結果は「過去」のものです。将来は分かりません。ですから、この成果を理由にしてファンド選びを行うことは大変危険です。
このxxxxファンドが上記の成果を挙げられたのは何故か、ということを考えて、それが今後も継続するかどうか、それを十分に納得することがxxxxファンドを選ぶ際に最も大切なことだと思います。
xxxxファンドが上記の成果を挙げられた理由は、主に2つあると私は考えています。
理由その1 規律、一貫性ある運用を目指してきた
xxxxファンドの目論見書にはこう書かれています。
短期的な市場の動向ではなく投資対象の価値を重視して選別投資を行うことにより、長期的な資産形成に適したファンドを目指します。
直近の運用報告書には次のようなレビューがあります。
価値があるものを安く購入することが高い収益を獲得することにつながり、価値を見極める能力と割高なものを保有しない規律を守ることが資産を失う可能性を減らすという認識のもと・・・
投資先の価格(=株価)では価値を徹底重視してきたことが窺えます。
理由その2 長い目線を持った投資家が支持している
このxxxxファンドですが、スタートから先月末に至るまで、ファンドから資金流出(解約が買付を上回った)月がたった5回しかありません。ちなみにサンプル数は144です。株価が騰がろうが、下がろうが、毎月新たな投資を行う、積み上げる資金がファンドに流入し続けたということです。すなわち、価格(=株価)に左右されない長い目線を持った投資家の支持を集めることが出来ている、ということだと私は考えています。
投資信託の成果は「共創」から生まれる
こちらのnoteをご覧ください。
ガトーショコラのお話です。
起点は何かというと、それは間違いなくプロダクトではないかと。
一見、投資信託とは無関係にも見えますが、この箇所に!!!となったのです。そこで、プロダクトとしての投資信託を考えてみたのです。そうしたら、投資信託のユニークな特徴に気づいたのです。
投資信託というプロダクト、それに関わる人たちが全て揃っている限り、その生命は永遠であり続けることができます。そして、日々、変化します。まず、この時点で普通のプロダクト、ガトーショコラとは異なっています。投資信託を形作るのは、ファンドマネージャーや投信会社だけではないのです。上記の通り、投資家も深くかかわっていますし、投信会社と投資家を媒介する販売会社の関わりも大きなものがあります。ファンドマネージャーの手腕が優れていても、そこに託されるお金がなければ存在しえないのです。
つまり、投資信託というプロダクトは「共創」なのです。
ファンドマネージャー(投信会社)、投資家、販売会社は直接的ですが、投資信託の「その先」を考えれば、投資先の会社、その取引先、顧客、環境、、、、様々な協業、協働、共想、協創があるはずなのです。
「共創」という視点で考えると、現状の投資信託はまだまだ発展途上です。ファンドマネージャーの想いや考えを知る機会は非常に少なく、それを伝えたいと思っていても、販売会社は「そんなの関係ねぇ」と考え、投資家もその想いや考え方に興味を寄せることなく儲かったかどうか、それだけを気にする。
でも、少しずつ変化が始まっています。
投資信託は、投資の初心者であってもプロにお金を託すことによって簡単に資産運用ができる、便利な金融商品です。でも、大切なお金をどんな人や会社に託しているのか知らない、という方は意外にも多いのではないでしょうか?
“お金”や“金融”というと、ドライな世界をイメージする方も多いかもしれませんが、そこにもやはり“人”がいます。投資家の皆さまの大切なお金を預かって運用を行うファンドマネージャーという仕事に就いているのはどんな人で、そこにはどんな想いがあるのか。
ファンドマネージャーの声にぜひ耳を傾けてみてください。
竹川美奈子さん、Shimoyamaさんのツイートです。
想いや価値観を伝えようとするファンドマネージャー、投信会社。
それらを何とかして投資家や関心を持ちそうな人たちに届けようとする販売会社。
受け取った想いや価値観に共感して、お金を託す投資家。
この循環が回り始める時、あちらこちらの投資信託で変化が起き始めた時、株式投資に対する見方って劇的に変わる・・・のかもしれないなあ、って想像しています。ジョン・レノンのImagineみたいな感じって言ってもいいかもしれない。(大袈裟かな)
何年も経った後でも「楽しいね」があれば
関係者で築き上げる「共創」という観点で、印象的だったnoteです。
サービス側の僕の立場として「美味しかった」だけではなく「楽しかった」と帰り際に一言、言って貰えたら嬉しいなとずっと思っています。
当然、お店として美味しいを目指す事は最低条件。
でも「楽しかった」の一言は、おいしい料理と気持ちのいい空間、お客さんが上手にマッチして初めて生まれるものだと思っています。
投資信託にも相通ずるところがある!って感じたのです。お付き合いが続くにつれて、この投資信託と付き合えて「楽しかったあ」と感じてもらえるか、もしそれが実現できればさらにその先の関係も続く、より良い関係へと醸されることになるかもしれない。
レストランで食事、パーティーは一期一会という面も多いと思います。しかし、投資信託は、それに関わる人たちが全て揃っている限り、その生命は永遠であり続けることができるのですから。
ご紹介した2つのnoteから、投資信託について考えを深めることが出来たよ、というお話でした。
山下貴嗣さん、宮下拓己さんに感謝です。
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