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フルーティフルな夜

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フルーティフルな夜
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フルートという楽器は気品のある楽器だなあと小学校から思っていて、そのボディーから鳴る音色はどこか人を落ち着かせる。泣いている赤ちゃんがパッと泣き止むくらいに聴いていて心地が良い。

そんなフルートの演奏会があったので行ってみた。タイトルにある通り、まさにフルーティフルな夜だった。以前のブログでもコンサートに行った話を書いたのだけど、その時はセロ(チェロ)のコンサート。スタヴァンゲル大学の音楽系の学部?の学生が演奏会を不定期でやっているようで入場料はかからずに聴ける。大学規模のホールなので、街のコンサートホールと比較したら劣るけど、オーディエンスも少なくてアットホームな感じがしっくりくる。

これまでフルートのソロ(正確にはピアノの伴奏付き)は生で聴いたことはなかったけど、もともと、その細身のボディーからかおしとやかな印象を持っていた。だけれど、今夜そのイメージが崩れた。もちろんいい意味で。

オーケストラの一役としてフルートの音を聴くと、心地の良い高音が目立つのだけれど、目の前で聴くと意外と違ったところに耳がいく。フルートは息を吹き込んで音を出す楽器なので、ものすごい肺活量が必要。間近で聴いていると、「ふっ、ふっ」と息継ぎをする音がすごく良く聞こえてくる。そういえば小学生のとき、なぜか歌声委員会という委員会に入ってトランペットを吹いていたことがある。あの時を思い出した。フルートとは音色の違う楽器だけど、音の出し方は似ている。直接息を吹き込んで音を出す。唇を震わせながら大きく息を吹き込む。小学生ながらなかなかの肺活量と体力が必要だった。フルートも同じなのか、、幼少期の思い出に少し浸りながらフルートの澄んだ音色に耳を寄せる。

これまでフルートはしなやかで上品な楽器だとばかり思っていたけど、意外とそうでもないのかもしれない。あの綺麗な音の裏には力強さがすごくあって、そのギャップがまた良いなと改めてフルートの良さを確認できた。

音楽を聴いていると気づけば何かを考えていて、小学校の次はこの間聴いたセロのコンサートを思い出した。セロといえば大きい体をしていて、低くて渋い音色を奏でる楽器だと思っていたけど、これも意外とそうではなかった。力強さを兼ね備えつつも、どこかしなやかな音を感じた。

大きい楽器だから力強いのかというと僕にはそうは思えなくて、逆に小さいからと言ってか弱さを感じるわけでもない。あの大きな楽器のセロにしなやかさとおしとやかさを感じたように、それと同じようなことをフルートからも感じた。小さくて気品のあるどこか高嶺の花のような存在の楽器だと思っていたけど、近くで聴くとそうでもなくて力強さを一番に感じた。その次に空気に伝えられた振動がしなやかさを持ってこっちへとやってくる。こういうギャップって他の楽器にもあるんじゃないかな。もしかしたら、ティンパニーもシンバルも今まで思っていた楽器ではないのかもしれない。

生で聴く良さってもしかしたらこういうところにあるのかもしれない。僕は生来一度も音楽ライブに行ったことがないのだけれど、こういうライブにも同じことが言えそう。Spotifyごしに聞こえてくる音は、実は実際に聴くと必ずしもそうではなくてライブならではの一味違ったスパイスが隠し味として(無意識にも)付け足される。空気感もそうだし、歌い手のその日のコンディションによって鼓膜に振動する音は変わってくるはずだ。もちろんSpotifyで聴いていた方が音質は断然いいのだけれど、そこにはない発見ができるのが録音された音と、出来立ての音との違いなのかな。レンジでチンして食べるシナモンロールよりも焼きたてのシナモンロールの方が桁違いに美味しい感じ?

次のコンサートはいつだろう。ベタだけどヴァイオリンとかの演奏も聴いてみたい。音楽に造詣のない素人なりに音を楽しんでます。

最高にフルーティフルなひとときでした。

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今日の一枚。もちろんコンサートの様子から。5、6人くらいの学生がそれぞれ披露してくれたのですが、個人的にこの人の演奏に一番心を打たれました。力強さが人一倍感じられたのと、流れるように音を運んでいる弾き方が印象的。全身を使ってあたかも彼女自身がフルートの一部になっているかのように聞こえて聴いてもよし、見ても良しですごく好みの人でした。ほんとなんも音楽のこと知らないけど、いつかは白ひげを生やしながら正装をしてクラシックコンサートでも聴きに行きたいなあ。

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