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直線上で迷っているペンギンがいた。

 直線上で迷っているペンギンがいた。ペンギンは、タイルを一列に敷きつめた道を歩いていた。

 それぞれのタイルには白地に黒の点と線からなる模様がしるされていた。ペンギンは、足もとのタイルに目をやりながら歩いた。

 転びやすいために、ときどき翼を広げて左右のバランスを取り、とことこと進んだ。

 お腹がすくと足もとに魚が転がってきたので、くちばしで挟んですばやく飲みこんだ。

 魚を飲みこむときに空が見えた。空は高かった。転びそうになり、あわてて足もとへと視線をもどした。

 同じことをくり返している――。そんな考えが浮んだが、すぐに忘れた。

 ペンギンはタイルの模様を見ながら、とことこと進んだ。模様には関心はなかった。ただ歩いていることが気持ちよかった。

 眠くなると立ったまま眠った。別に不満はなかった。


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