銃とくちづけ  薄荷飴


金木犀の花を集めて絵を描きたい

社員旅行のいちご狩りに誘われなかった

孤独な天使は家でひとり

涙色したリンゴを頬張り

ハッカの溶け出した夜に

呪い歌を口遊む。

ぼくらは一秒ごとに死にゆく

悲しき動詞の集合体だから

人に優しくできるはずだよ。

夜空を塗った爪の先に

あらゆる暴言を刺して

ここにいない神様と呼ばれる存在みんなに

思いっきり中指を突き立てて笑おう。

わたしだけがしあわせになれる夜を願おう。

アルコール度数9%のチューハイを飲み干して

ベッドにダイブしてスマホを開き

思いのままに欲望を吐露する夜が好き。

すべてを忘れて純粋に死にたくなれるから。

孤独という名の弾丸を詰めた

銃をこめかみに突きつける

真夜中の天使にくちづけを

今だけは肌色の温もりを愛して。


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